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日々乃家日誌 まにまに・てい子の日々の発見

母まにまにが娘てい子と始めた、日々の発見を綴るブログです。

人生の果実

2019年10月04日 | 出会った人たち
仲のいい夫婦の晩年の映画を観た。

高齢になっても毎日畑に出て自分の手で食べものをつくる丁寧な暮らし。おいしそうなごはん。

寄り添って生きてきたふたりの歴史。年輪。

老いてやがて死んでいくことは生まれて育つことと等しく豊かな生だ、もちろん。

観ている私たちはふたりのうつくしさにため息をつき、旦那さんが死んだところでは泣き、文句を言わずにきちんと暮らそう、と決心する。

でもね、人って計り知れない。
スクリーンには何かが現れているようで、だけど本当のところは何もわからない。
何十年も一緒に暮らしてもそれぞれに見えていたものは別々だったはずだから。

そしてふと思った。
観ている私たちの気持ち。
人ってなんて欲ふかなんだろう。
どうしてもどうしても動物や虫みたいにただ生きて死ぬのは嫌なんだね。

心をこめて心をかけて心を背負って、生きて、死にたい。

(生まれてしまった心には丁寧に向き合うしかないものね)

いきあたりばったりにただ生きて、ころんとあるいはジタバタ死ぬのもありじゃないかと思うけど。


















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やっちまったかもしれない

2019年10月03日 | 日記
もしかしたら、いけないことをしてしまったのかもしれない。と、後から気がついた。

夕方、漁港で海を見ていたらカラスたちが何かしていた。

一羽が何かをくわえて飛び立ち、少し上から地面に落とす。それを調べるように降りてきては、またくわえて落とす。時々違うカラスがさっと横取りしてはまた上から落とす。

近づいてみてみたら、波に洗われて少し丸みを帯びた胡桃だった。

カラスは賢いから車が通る道(ちゃんとタイヤが通る場所)に胡桃を置いて割ったりするんだよね。ここでは落として割ろうとしてるんだね。

なんだ、私が割ってあげるよ。

胡桃は結構硬くて手強かったけれど、コンクリの塊を見つけたのでそれをぶつけたらさすがに割れた。

だけどカラスたちは遠巻きにしてる。

それから少し離れたところでまた別の胡桃を落として割ろうとしている。

私が割ってあげるって!

自転車で拾いにいって二個目も無事に割って置いてきた。

食べに来ないなあ。

でもカラスと遊んでもらったようで楽しい気持ちで漁港を後にした。

少したってから、は!と思った。

どうしよう、もしあれがみんなで見つけた大好きな遊びのためのボールだったら。






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まりあ・くらら

2019年10月02日 | 出会った人たち
まりあ・くららが天に召されたと聞いて私たちはみんなとても驚いた。
(クリスチャンということも知らなかった)

私たちよりずいぶん年上だしここ数年は会っていなかったけれど、死んでしまうなんて。

自信に満ちた強く有能な先輩で、どんなものにも負かされない笑顔をいつも浮かべてた。
そんな姿しか思い浮かばない。

連絡を回して服の相談をして私たちは小さな駅で落ち合った。

夏のように暑い日、目指す教会は幼稚園の中にあった。

綺麗な顔を覗きこみ、渡された色とりどりの花で棺を満たす。少し涙を流して知らない賛美歌を歌った。

出棺を見送ったあと、みんなでバスに乗り友人の家に寄り、友だちの焼いたチーズケーキを食べて次の仕事や旅行の話をした。

これもみんなまりあ・くららみたいに流れていく時間なんだろう。

きっとまりあ・くららにも、強くもなく有能でもなく何かに負ける側もあったんだろうと思う。

その側の彼女も知りたかったような。
知らなくていいような。












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