魔法が解けて一年も経って、ようやくいろんなことがわかったりもする
どんなに自分が自分に無理をさせてたかとか
まあ子どものためならね
(親のためなら)
(家族のためなら)
多くの人はそんなことするよ
あんまりに自分を後回しにするのが自動モードになってて自分優先に抵抗するのが難しい
何を食べようか、と思うだけのことが
食べたいものにたどりつかない
あの高い梨はフジワラさんちに持っていくケーキを焼こうと思って買ったんだもの
(だけどフジワラさんちは行かないことになった)
こんなに高価なものを自分だけで食べるなんて
(どうせこどもたちは食べない)
とても若く青く硬いからまだ食べられない
(それでも無駄にしたとしても今食べたい)
「いま、あの洋梨を食べたい」
そして切って食べたら
青くて硬くて絶対にまだだと思ったのに
すごく瑞々しく甘く香り高くまさに食べごろの素晴らしさ
