平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

みどりの日(1989年4月)

2005年04月29日 | バックナンバー
4月29日の「みどりの日」は昭和天皇の誕生日です。昭和天皇は1989年1月に崩御なさいましたが、その年にこの日が「みどりの日」に制定されました。

五井先生も昭和天皇をとても敬愛なさっていました。とくに終戦の御聖断は、イエス・キリストの十字架にも匹敵する人類救済の大偉業だとたたえていらっしゃいました。日本人がこのように、まがりなりにも平和で豊かな日本に住むことができるのは、昭和天皇のご恩を受けているからなのです。私たちは昭和天皇に心から感謝の念を捧げなければならないと思います。

****************************************
「もしも世界的な協力体制が整わなければ、地球救済への時間的猶予は、数十年どころか数年しかない」――ワールド・ウォッチ・インスティテュートが発表した『世界環境年鑑一九八九年度版』は、私たちにこう警告している。石油や石炭などの化石燃料の使用によって増え続ける二酸化炭素は、宇宙空間へ放射されるべき温熱を地球圏に閉じこめ、地球の平均気温を上昇させていると言われている。スプレーや冷蔵庫といった日用品ばかりではなく、半導体などの先端技術製品の製造過程でも用いられるフロンガスは、大気圏のオゾン層を破壊し、地表に到達する有害な紫外線の量を増大させるが、これは皮膚ガンを増加させるものと予測されている。海に流された有害な化学廃棄物は野生動物を奇形化させ、死滅させている。人類の滅亡は、核戦争という一挙の破壊によってではなく、知らず知らずのうちに進行する地球環境の変化によって生ずるのかもしれない。

 人類は自然界の中に生を営んでいる生物であるから、良好な自然環境なしには生きながらえることはできない。ところが近年の科学・技術の発展は、自然を破壊する方向に進み、また自然界の中には本来存在しなかった物質を大量に生産しつつある。これらの人工物質は自然界のリサイクル過程によって分解されることなく、そのまま地球に蓄積され、自然環境を変えてゆく。科学・技術によって人間は一時的な便利さを手にいれることができたが、そのかわり、自らの生存の基盤である自然環境を狂わせつつあるのである。

 私たちはこの辺で、目先の便利さの追求よりも、生命の母体である自然界の恩恵にもっと深く目を向けなければならない時代にさしかかりつつあるようだ。このような時に、昭和天皇の誕生日が「みどりの日」という国民の祭日にされたことはたいへん時宜にかなったことだと思う。昭和天皇は生物学者で、野の一木一草にまで深い愛情を注ぎ、「雑草などという草はない」とおっしゃる自然愛護の精神にあふれたお方であった。この日、国民一人ひとりが、植樹なり、生活排水の浄化なり、スプレーの使用の抑制なり、物品のリサイクルなり、あるいは砂漠緑化のための募金なり、自分が自然保護のために何ができるかを考え、実行するならば、この日の意義も生きてこよう。地球環境を保護するのも、破壊するのも、結局は一人ひとりの人間の生き方の集積で決ってくるのである。