平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

ダライ・ラマ 平和を語る(2000年4月)

2005年04月09日 | バックナンバー
ダライ・ラマが来日中で、各地で講演会が開かれます。

・東京講演
 2005年4月9日(土)『思いやりと人間関係』
 会場:両国国技館
 ☆東京のチケットは"完売"とのことです。どうしても聞きたい方は、会場の前で「チケット求む」という掲示を掲げるとよいでしょう。

・熊本講演
 2005年4月10日(日)『心の平和から世界の平和へ』
 会場:熊本県立劇場コンサートホール

 2005年4月12日(火) 法話会『智慧と慈悲』
 会場:蓮華院誕生寺の奥之院 ほか

・金沢講演
 2005年4月16日(土)・4月17日(日)
 龍樹菩薩の『菩提心の解説(チャンチュプ・セムデール)』
 会場:石川県立音楽堂

詳細はこちら
  http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2005japan/index.html

私は2000年に東京でダライ・ラマの講演を聞きました。2000年の来日のときに書いたバックナンバーを紹介します。

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 四月にダライ・ラマ一四世が来日し、東京と京都で講演をする。

 ダライ・ラマは亡命チベットの政治的元首であり、チベット仏教の最高指導者でもある。政治的権力と宗教的権威をかねそなえるという点において、ローマ法王と似た立場にある。

 チベット仏教には、高僧が何度も輪廻転生して人びとを教え導くという信仰がある。いわゆる「転生活仏」はダライ・ラマだけではない。パンチェン・ラマやカルマパなど、数百人の高僧が転生すると信じられている。その中でも、観世音菩薩の転生者とされているダライ・ラマは最高の権威を有している。

 今回の来日は、京都精華大学が同学人文学部に環境社会学科を開設することを記念し、ダライ・ラマ法王を招聘したことがきっかけである。ところが、今年の初め、一四歳の少年カルマパ一七世が、中国からダライ・ラマのいるインドのダラムサラに出国(おそらく亡命)したことから、チベット問題が日本のマスコミの注目を集めることになった。

 チベット民族にはチベット語という固有の言語とチベット仏教という固有の文化がある。中国語と漢文化を持ち、共産主義を支配的イデオロギーとする現在の中国とは明らかに別民族である。チベットが中国の一部であるというのであれば、漢文化の影響を受けた日本も中国の一部ということになってしまう。チベットでは中国による人権侵害やチベット民族弾圧が続いており、国際的な批判が高まっている。

 チベット人の中には、武力をもって立ち上がらなければ民族の独立は永遠に達成できない、と考える人びとも少なくない。しかし、仏教徒として絶対的非暴力の立場に立つダライ・ラマは、武力闘争を否定している。

 彼は、最近出版されたばかりのリンザー著『ダライ・ラマ 平和を語る』(人文書院)の中で、「私のもっとも重要な関心はチベットの将来に向けられています。そしてそれは私たちの隣人であるインドと、とりわけ中国との関係に強く依存しています。私たちが非暴力的でありつづければ、中国人の中に肯定的な印象が生まれ、それは将来の協力を容易にするでしょう。私たちはこのようにして良いカルマをつくり出しているのです」と述べている。

 彼は同書の中でさらに、「私の日々の実践の中で、私は中国人について瞑想し、彼らに対する尊敬の念を成長させ、慈悲心を開発するように努めています。なぜかといいますと、彼らもまた苦しんでいるからです」とも述べている。暴力に暴力で対しては、決して平和は生まれない。平和の根元は慈悲の心である。私たち日本人は、チベットと中国に真の平和が訪れるように祈らなければならない。