山の頂から

やさしい風

エピローグ

2008-09-14 21:19:03 | Weblog
 残暑が厳しいとはいえ、やはり里は秋の風。
空を行く雲は、目に痛いほど眩しい。
ふと空を見上げては小さな溜息を洩らす自分に気付く。

 初七日が過ぎて斎場への支払いを終える。
後の始末をきっちりとし、これほどまでに子の行く末を考えた父に、
改めて敬服をしている。
≪美田≫こそ残さなかったが、終の棲家に関しても甘えなかった父。
その、きっぱりとした姿勢に泪を零す。

 亡くなる数日前、弟の手を取って涙した父は、
恐らく、自分には許された時間のないことを悟っていたに違いない。
口にこそ出さなかったが「後を頼む!」と言いたかったのだと思う。

 今夜は十五夜。
けんちん汁を作って仮の祭壇にあげた。
小学校の6年生の時、宿題で出された十五夜の絵。
絵の上手い父が描いてくれたことを思い出した。
誰が見ても児童が描いたようには見えなかったっけ。
すっかり忘れていたことが鮮明によみがえった。

 暫くは、見るもの聞くもの全てに父を重ねる癖が付きそう・・・
今年は、どんな紅葉を目にすることが出来るだろうか。

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