山の頂から

やさしい風

宇礼内先生の白昼夢・5

2009-02-27 16:58:37 | Weblog
 散歩から帰った作家先生は、居間から漏れくる笑い声を聞いた。
妻が出版社の山田みなみとコーヒーを飲んでいたのだ。
「先生、お邪魔してます」と、みなみが挨拶をする。
渋谷で偶然に行き会い、夫に用事があるという彼女と帰宅したと昌枝が言った。
「あなた、渋谷は今や中国人がすごいんですって!」
「何じゃ、そのすごいって?」 作家先生は座り込んだ。
それを受けて山田みなみが口を開いた。

 彼女の親戚に元警視庁刑事の通訳捜査官が居て、
彼から日本人の殆どが知らない非常に深刻な実態を聞いたというのだ。
それによると、三年前から中国人の不法入国者が激減し、
二年前は来日外国人が過去最高の伸びを見せた。
そして昨年はやっと密入国者が僅かに減少したという。

 ところが実際には違う。
「なりすまし」という方法で彼等は不法入国をしているというのだ。
これは、中国国内のブローカーが来日条件を満たしていながら、
来日することのない中国人の戸籍を買うという方法で身分証明書類を手に入れ、
本来日本に来る条件を満たしていない来日希望者に、
その書類で出国の手続きを取らせる。
全く別人の真性旅券を準備することが出来るのだ。

 何故そんなことが出来るのか!?
身分を証明する公証役場や、旅券を発行する公安局が、みんなグルだからという。
そして本来日本に来ることの出来ない密航予備軍が、
真性旅券を持って堂々と来日している。
で、中国からの旅行者が爆発的に増え密航が殆ど無くなってしまったと言う訳だ。

 「先生、今、この≪なりすまし≫が、日本各地に爆発的に増えているそうです」
作家は聞いて日本の危機を強く感じた。
ということは、親戚を本国から日本に呼び込み、
日本各地にそのコミュニティを築く。
さらに、「国籍法」で日本人が際限なく認知したら、
あっという間に日本国民に匹敵する中国人が増えることになる。
変種党の党首が過去に、
「我が党が政権を取ったら中国ともっといい関係になる」と言ったが、
何を持っていいことなのかと改めて思った。

 書斎に戻った作家先生は次の章で、
今の事実をどう組み込んでいこうかと呻吟するのであった。
底知れぬ問題が山積みの日本を愛おしく感じる作家先生に、
モモが体をすり寄せた。


モモが咬んだぁ~

2009-02-27 09:18:01 | Weblog
  「コンチワ~~」いつも元気よく挨拶をしてゆく男性。
軽快に歩いていく傍らには強面のピット・ブル。(女子プロレスのダンプ松本似)
真夏の時期には半裸の背に汗を滲ませタトゥが印象的だ。
最初に見た時はギョッ!とした。 違う世界の人かと思った。

 我が家のモモは番犬としては忠実である。
自分のテリトリーへの進入者には激しく吠えたてる。

 一昨日、散歩から帰ったモモは僅かな時間店の前に繋がれていた。
そこを通りかかったのが件のタトゥ氏とブル嬢(顔からは想像できな~い)
激しく吠え合い取っ組み合うかと思いきや、
タトゥ氏が綱を引きつけ帰って行った。(その場に居合わせなかった)

 そして昨日、「コンチワ~」と店にタトゥ氏が立った。
ん??と思いながら出ていくと、
「うちの犬が、お宅の犬に咬まれたんよ」と言うではないか!
ヒェ~~と感じながら怪我をしたのかと問うと・・・
(何しろ、あちらの世界の人かと思っていたので内心ビクビクしたのだ)
「いや、大丈夫! 唯、予防接種はしているか確かめたかったんだよ」と。
微笑を浮かべ、きゃつ(失礼!彼女)を両足で挟みながら答えた。
ホッと感じつつ、接種は受けている旨を伝えると、
「そうか、それならば何でもない!」と実に爽やかに言う。

 軽い世間話を交わし、「桜が咲けば好いこともあるよ、頑張んな」と、
スタスタ帰って行った。人は見かけによらないもんだ!!



宇礼内先生の白昼夢・4

2009-02-26 15:06:43 | Weblog
  コーヒーのいい香りがしてきた。
作家先生は、少し前の個所の展開に逡巡していた。
妻にコーヒーを頼んでから随分と時間が経っている。
何をグズグズしておるのだと思いつつも、
頭の中で霧の晴れない部分が気になって仕方がなかった。

 「お待ちどうさま~」 妻はそう言って傍らのカウチに腰を下ろした。
珍しく一緒にコーヒーを飲もうというのか・・・
「生んでくれてありがとう~、なんて重い言葉かしらねぇ」と、
作家先生に目を向けながら昌枝は言った。
先生の頭の霧がスッと晴れた。 

 少しセンセーショナルな想像が思い浮かんだ。
何もかも≪打ち壊す≫ということを口にした泉川元首相。
政党ならず、日本の国までも解体に至らしめる≪郵政民営化≫
で、彼の父親は朝鮮人のハーフという設定にした。
つまり彼はクオータということになる。
更に、≪ぽんぽの宿≫を買い占める≪アレックスグループ≫の総帥も亦、
そちら系とした。 彼等に国を想う概念はない。
 少しづつ、日本列島は大陸に近付いているという説があるそうだが、
その前に人間の思惑や利権によって解体される危機にあるという設定が、
徐々にハードボイルドな域に達してきて、先生の血は騒ぐ。
何も知らない国民。子は両親にいや母親に「生んでくれて、ありがとう~」と、
口にする。この重い言葉を・・・  ああ、日本の運命や如何に・・・

折しも、[中国では高官の海外への脱走が加速しており、
     一部の高官が移民手続きを待たずに海外旅行の名目で失踪している。
     あらゆる方法で海外へ財産を移す。
     それは巨額な国有資産を持ち出すことを伴っている。
     このことは中央政府の統括力及び求心力などに影響し、
     「流民」社会で発生しうる壊滅的な破壊に人々は直面している]
とのニュースを先生は耳にし、なんや虚構も現実も境がないわいと思うのであった。

 カウチに目をやると妻はいなかった。その代りモモに占領されていた。
彼女は片目を上げ、フン!というような仕草を見せた。


お米食べよっ!!

2009-02-26 11:43:42 | Weblog
 軽トラックが止まった。
70歳代の男性が二人降りて来た。
どちらも足が少し不自由で、一方の人は杖を突いていた。
近郊で農業を営んでいると言った。
「だんご、旨んめえねぇ~」と言って、あっという間に食べた。

 以前は兼業農家だったが、足を痛めてからは米作のみで食べているという。
「農協なんどに出したら喰っていけねよ」と笑いながら言った。
で、生産した米は全て遠方で売ってしまうのだそうだ。
小さな軽トラックで何処までも行くという。

 彼の話を聞いていて或るサイトを思い出した。
それによると、農政は言っていることとやっていることが支離滅裂だと云うのだ。

    [農水省は食料自給率の向上を叫ぶけれども、
    高関税を維持するために、ミニマムアクセスを拡大しようとしている。
    それが実現すると、消費量の8%だったミニマムアクセスが13%になる。
    さらに財政負担はふえるばかりだ。しかし、
    生産調整をやめ減反政策を段階的に廃止し、コメを自由に作らせる。
    コメ価格は下落するが、その分を直接、主業農家に支払う。]

 これは生産調整のために農家に支払っている補助金と変わらないそうだ。
減反政策をやめ、コメを増産し、コメを輸出すれば、
食料安全保障に必要な農地を確保できるだけでなく、
国際的な食料安全保障にも貢献できるというのだ。 

    [兼業農家の主な収入はサラリーマン収入であり、
    農業収入は15%ほどでしかない。
    農地としておけば固定資産税の安いし相続税も安い。
    農業保護の名の下に年間2000億円もの補助金は、
    数の多い兼業農家の絶大な政治力によるもの。
    また、マスコミが作り上げる零細農家=弱者はデタラメである。
    酪農や野菜農家のように専業化を進めて輸入米との価格差を少なくし、
    高い関税は止めるべきだ。]

 「まっと、足が悪くなったら止めちまうよ」と言って男性は帰って行った。 
近い将来、本当に食糧危機は起こると言われているのを聞くと、
他国に食糧を依存している国民としては、多いに不安である。
ここ数日の天気のように、何だか気持ちが暗くなった。
オ~~イ、日本列島よ、負けまいぞぉ!!

宇礼内先生の白昼夢・3

2009-02-25 14:49:38 | Weblog
 
 「モモタ~ン、あら、ここね又!」
そう言って昌枝が入ってきた。
作家先生は、白髪のライオンが推し進めた「民営化政策」の、
魂胆の核心部分に筆を進めていたのだが、少し疲れてニュースショーを視ていた。

 番組では先ず、自慢党の良些恋三兼務大臣を持ち上げるコメントを発し、
又、全コメンテーターまでもが褒めちぎる。
さらに驚くことに、変種党の党首・口羽田氏や議員の官戸化氏、
斜面党の<お狐様>・辻穴議員等が挙って称賛しているのにキナ臭さを感じた。

 昌枝がいきなり、「宇宙人が既に地球に存在しているらしいわ」と口にした。
そして、[2007年7月に、
米国国家科学院に属する全国研究委員会が公表した、
「惑星に存在する有機生命の局限性」と題する報告書の中に、
地球外生命の形態は完全に地球生命と異なる可能性があると指摘している。]
とのコピーされたものを示した。
「なんじゃ、こりゃ~」作家先生はそれを手にした。
その中には、[米国アリゾナ州大学で、
宇宙生命を研究しているポール・デービス教授は、
地球上に人類が知らないある種の特殊な有機体により構成された生命体系が、
存在しているかも知れないと指摘し、
この種の神秘的な生命は地球上に既に知られている主に炭素、水素、酸素、
窒素と燐により構成された生命と違い、ヒ素から構成されているかもしれず、
現在の科学者達の掌握した生物を研究する技術で、
この種の神秘的な生命を識別することができないと推測した。]と綴られている。

 宇礼内氏はニヤニヤしながら用紙を妻に返し、
「これの方が身には安全だ」と言った。
昌枝は聞こえないふりをしながら、
「なんか、ワクワクしちゃうわ~」とクルリ一回り。
ピカソの≪ゲルニカ≫にも似た100号の抽象画を描き始めている妻の心は、
完全に宇宙空間を彷徨っていると作家先生は感じた。

 いつの間にか氏の膝で寝ていたモモが濡れた瞳で見上げる。
「おまえも、地球外生物かもしれんなぁ」そう言って、
ヌメヌメした毛並みを撫でるのであった。


失ったもの、そして取り返すもの

2009-02-25 00:39:45 | Weblog
  「おくりびと」のアカデミー賞獲得で日本中が沸いている。
確かに素晴しいことかも知れないが、
しかし、何かスッキリとしない。 何故か?
イスラエルの作品を抑えての受賞という点で引っかかるのだ。

 この世界規模の経済混乱の中、
アメリカは我が国に対して巨額な資金提供を要求する魂胆らしい。
其の為に、日本国内の関心を他に向け、そのすきに掠め取る算段なのでは・・・

 今や、日本国内の政治は収拾のつかない混乱の中にある。
戦後60年の余をかけて日本人の精神や国民性を破壊したアメリカ。
国益の為なら、いかなる手段も選ばない国際社会。
米・中・韓しかり。が、日本はあまりにふ抜けた存在だ。
売国に値する様な行動をする輩、
人権擁護の美名のもとに≪人権擁護法≫を立法化しようとする集団。
それは人民の声を塞ごうとする行為であり奴隷化の為の何ものでもない。
また、≪外国人参政権≫や≪国籍法≫等はテロにも匹敵するものだ。
そんな中、国益を主張する政治家が徹底的に打ちのめされていく現実。
日本が破壊されてゆくのは目に見えている。

 くだらないテレビ番組や、執拗に繰り返される個人攻撃報道。
中川元財務相を揶揄ったゲームまで作り出されたというから嘆かわしい限りだ。
地に堕ちた、いや、支配するにふさわしい民衆の体たらく振り。
 私たちが今取り戻さねばならないのは、日本人としての誇り。
毅然とした日本国民としての精神なのではないか。
この先の50年を見据え、国を想う人つくりこそ求められるものだ。
私達は浮かれ呆けている時間はないのではと、つくづく思う。

 桜は早く咲き出しそうな気配だが、今日はひとっこ一人来なかった。
景気の悪さばかりでもあるまいが、何とも溜息をつく毎日である。
頑張らなくっちゃ~~と気を奮い立たせるが厳しい現実。
≪フォトン≫にやられる前に、心がストンとなりそうだぁ~


ダイエットに興味のある方は御覧下さい。

http://mt.deluxcontents.com/
http://mt.deluxcontents.com/Metabolic_syndrome/
http://hitorimi1.sakura.ne.jp/dieting/



ああ、春が来て・・・ 妹よ

2009-02-24 12:49:15 | Weblog
  早朝、家を抜け出し長い田んぼ道を、
ひた走りに駆けてゆく娘の後姿を父はジッと見ていた。
ずっとその先には、こんもりとした鎮守の森が見えている。

 幾日かして妹の元に大学合格の通知が届いた。
数キロ先のお稲荷さんに油揚げを持って合格を祈願してきたと、
その夜の食卓の席で妹が笑いながら打ち明けた。
父は、自殺でもするんじゃないかと心配し、
家に向かって駆け戻ってくる妹を確認して安心したと言った。
皆で大笑いしながら喜びあったあの日を、
≪受験の春≫と聞くたび思い出す。 もう数十年も前のことだ。

 妹は、小学生の時から優秀だった。
ガリ勉をする風でもないのに常にトップクラス。
が、遅刻の常習犯ではあった。
そして一校しか受験しない大学入試で遅刻した。

 友人等と誘いあって駅で待ち合わせ、ところが友人等が来ない。
電車を一本見送って待った。が、いっこうに友人等は現れない。
仕方なく学校の恩師に電話をし事情を告げた。
先生は兎に角会場ヘ行くよう指示、その間大学と交渉してくれた。
試験会場へ急ぎたいがタクシーは数人待つ人が・・・
妹は最前列の紳士に事情を説明し譲って貰ったという。
だが、試験はすでに始まっていた。しかも、苦手な数学。
無我夢中で問題を解いたと後日語っていた。
多分、合格は無理だろうと感じたという。
発表を待つ日の辛さは喩えようもなかったに違いない。

 そうして出た結果が≪桜咲く!!≫
抜け駆けした友人達は皆不合格だったというから皮肉である。
義理堅くて、社会性があって、人情家のいもうと。
現実的に物事を判断できる彼女に、姉である私は何度も助けられた。

 ありがとうと何度で言いたい。
そして誕生日、おめでとう~~
健康で年を重ね、先の未来も仲のいい姉妹でありたいと、
心から願う不肖の姉であります。


ソクラテス・漱石そして宇礼内の妻

2009-02-23 15:44:48 | Weblog
  「ちょっと、アナタ、これって真実?」
宇礼内先生の書斎のドアをノックも無しに昌枝入ってきた。
両手にはノートパソコンを抱えているではないか。

 昌枝は中学校で美術を教えていた。
しかし、作家先生が直木賞を取って忙しくなってから、
退職をし、ボランティアで老人大学の油絵の講師を務めている。
最近になってパソコンを習い始め夢中になった。
世界が広がったと興奮の一年が過ぎたところだ。
時折、興味あるサイトからサイトへと覗き入って、
夫に話題を提供する。と言うよりも議論を吹っ掛けるのだ。
元来、正義感が強く曲がったことが許せない性格ゆえ、
ハッキリものを言うのが玉に瑕と言えなくもないと作家先生は思っている。

 で、先生は手を止めて悪妻いや昌枝に向き直った。
彼女の開く≪dynabook≫のサイトにはこんなことが書いてあった。
  [嘗て、経済学者ステイグリッツ氏が、
  「世界を不幸にしたグローバリズムの正体 」という話の中で、
   ある国の公共資産や、国家資産などを「民営化」という美名で、
  「安価に売らせるビジネス」が在していることを暴露していたが、
   多国籍企業が相手国の政府高官 をくどくには、
  「あなたにその価額の10%をコミッションとして支払います」と、
  囁くのだそうである。すると相手の目が 輝くのだという。
  そうした目の輝いた人々がニュースに登場してくるたびに、
  心が暗くなってくる。]

 「これって本当のことなのかしらね? 売国奴じゃないの!!
それに、最近の報道って何か酷くしつこくて尋常な感じがしないわ。
あの中里財務相を、これでもかこれでもかって、まるで潰しているみたい。
本来の日本人の感性ではない、何か狂気にも似た肉食獣の感じよ。
彼は国益に沿った発言をしていたって云うじゃない。
そうそう、あの何とかいう辞めさせられた幕僚長も、
莫迦高い戦闘機の購入を米国でなく英国からと主張してたって。
 ってことは、チンピラの奥に巨大な闇が控えてる!?
国益を主張すると葬られる・・・・ 実に怖ろしい。
そう思わない? みんな腐ってる。卑しくておぞましい!!」
 先生は頷くも、今ここで議論の展開は避けたい。
「おいおい、過激だな。気をつけろよ。怖い目にあうかも知れんぞ。」と言って、
くるりと背を向け原稿にペンを走らせた。 昌枝は珍しく引き下がって行った。

 が、内心、その通りだ! 国民を愚民化し利益を貪る輩集団と、
それに属するメディアは権力と金に靡いておるのが現実かも知れんと思った。
そんな作家特有の想像力が働き、創作意欲を掻き立てられるのであった。

 足元で居座り猫・モモが丸くなって寝込んでいる。
どういうわけか作家先生のどこかに触れているのが好きなようだ。
最近、先生も悪く感じないでいるから不思議。 
その時モモが小さく噛んだ。 「イテテ~~、このくそ猫め!!」



バスが来た~~

2009-02-22 23:53:56 | Weblog
  今朝は酷く寒かった。
カメラのシャッターを切る指先が痛くて堪らなかった。
見れば足元の地面いっぱいに霜柱が立っていた。

 店のガラス戸を開け放しておくには風が冷たすぎて、
午前中、庭の縁台に座る人はいなかった。
昨日、予約を受けた9名のご婦人方は山から未だ戻って来ない。
ああ、今日の日曜日はお茶引きかと溜息をついていたその時、
まるで申し合わせたように3組のお客様が入店。
時計を見れば間もなく12時になろうとしていた。

 さぁ、それからが豪いこっちゃぁ~~
入れ替わり立ち替わりテーブルを片付けるヒマもない。
何しろ夫と二人、頑張らねばならないのだ!
身が二つあれば、どんなにか救われるのにと思いつつ、
内心、この混乱がワクワクとして闘志にも似た気分が堪らない~~
どこかにマゾヒスティックな部分でもあるのかしら・・・んな、莫迦な!!

 そうこうしている中、予約のご婦人等が戻ってみえた。万事休す。
こうなると更なる闘志が湧く私メ、なんでもござれ~~ってなもんだ。
乗り切った、また又、その時、
「今から42人のお客様の立ち寄りを頼む」と馴染みの添乗員からの電話。
ちょ、ちょっと待って~~せめて1時間後に願いたい!
了解!!とは言ってくれたものの、豈図らんや30分で御到着。
てえへんだぁ、バスが来たぁ~~
それから、それから・・・頑張った。
結局、昼飯抜きと相成った。朝ごはんをタップリ摂っててよかったわい。

 そんな騒ぎの最中に団子の土産を買いに寄ってくれた若い女性客、
新規のお客様のお茶入れをせっせとしてくれるのだ。
私のは手が空いてからでいいとまで言って・・・驚いた。
やっと、包装して手渡した時の笑顔の素敵なこと。
今日は、なんて好い日なんだろうと疲れなど素っ飛んでしまった。



宇礼内先生の白昼夢・2

2009-02-21 15:46:03 | Weblog
 
 「ム・ム・ム~ッ、止めろ!やめろ!辞めろ~~!?」
宇礼内先生は、いつの間にか≪嵌められ辞任大臣≫に入れ替わっていた。
「ちょっと!どうしたのよ、アナタァ!!」 ハッと目が覚めた作家先生は、
何が何やら分からなかった。「おぅ、夢か・・・」
どうやら先生は夢を見ていたようだ。 「モモちゃ~ん、どうしたの?」
妻は居候猫(ある日突然居すわった野良猫)を抱き上げ頬ずりをした。
「何だ、くそ猫め!」 猫好きな妻の昌枝が夫を睨みつけた。
居すわった猫をモモと呼び、グッチの首輪まで着け可愛がっているのだ。
そいつが、転寝をしていた作家先生の首の上で寝そべっていた。

 夢の中で大臣になっていた作家先生は、後悔と怒りの混じった感情を爆発させていた。
大きな組織の闇に呑み込まれる政治家の足掻きを書き進める筆は、
連日速さが増していた。で、ついついアルコールの勢いも借りることとなる。

 昌枝は料理が上手く評判の美人ではあるが、思ったことを何でも口にする。
よく言えば天真爛漫。だが、気風がよく性格は悪くはなかった。
悪妻の昌枝(秘かに先生はそう呼ぶ)が、猫を抱いて書斎を出ると入れ替わりに、
出版社の山田みなみがドアから顔を出した。
「先生、調子はいかがですか?」 決して美人ではないが愛嬌のある顔だ。

 自分が書こうとしている構想が現実と同時に進む不思議を、
彼女に話してみた。すると、「あの美人記者、友人の元カノです」と言うではないか。
「おお~~、どんな女だ?」 先生は身を乗り出た。
女にしては野心の塊で、美人を形容する「バラに棘あり」そのものだそうだと言った。
作家先生は山田の顔をマジマジと見つめ、
俺は間違ってもこの手の編集者には丸め込まれんゾ!!と思った。
「厭だ!先生、私にダブらせないで下さい」と言われ、然り・・・と頷いた。

 「みなみさん、これ美味しいのよ」と団子を差し出す悪妻・昌枝。
奇しくも今日は≪漱石の日≫ 権力や肩書を嫌うのは文豪と同じ宇礼内氏。
しかも、悪妻とあれば尚のこと。
件の大臣と比較し共通するものは酒だけだと改めて思う作家先生であった。