山の頂から

やさしい風

新・桜情報

2010-03-29 21:16:36 | Weblog
 
 このところの寒さは尋常ではない。
今朝は6時半頃まで雪が降っていた。
散歩の道々、薄らと積もった雪に危うく滑りそうになったほど。
桜は咲くのが我慢しきれないような状態なのだが、
季節外れの雪に呆れかえっているようだ。

 だが150年前の安政7年3月3日に起きた桜田門外の変では、
江戸市中は朝から雪で覆われていたという。
それは新暦の3月24日にあたるらしい。
季節外れとはいえ、雪が降ることは満更あり得ない話でもないようだ。
静岡県では昭和33年以来、もっとも遅くに雪が降ったと、
夕方のニュースで報道されていた。
が、当県では過去4月8日に降雪があったと夫は記憶しているいう。

 いずれにしても春先の天気は不安定である。
旅行会社からは開花の問い合わせ電話がひっきりなし。
確かに桜の名所巡りとうたっての募集だから気が気ではあるまい。
「大山寺」の枝垂れ桜は2~3部というところ。
桜のトンネルの見頃は4月6~7日あたりではなかろうか。
今年、桜の花持ちは好いに違いない!

桜情報

2010-03-24 08:44:47 | Weblog
 
 東京では開花宣言がなされたようだが、
この地、太平山では未だ蕾はかたい。
東京に遅れること約一週間から十日と云うところだ。
しかし、日当たりのいい<つつじ園>の桜の樹の一部は、
既にピンクの膨らみが観測されている。

   斑鳩らの群れて啄む春の里

   開花には未だ時の要る桜かな   初桜

 散歩の道々には名を知れぬ野の草が花を付けている。
立ち止っては眺めるので散歩に時間がかかってしまう毎日である。
鮮やかな萌黄色にハッとしていると2~3日後には小さな花が咲く。
まさに生命の吹き出る季節の到来だ。

   野辺の道みな花をつけ今朝の春  

   野辺行かばひと群れゆかし花大根     初桜

 散歩の毎朝200段の階段始めの随神門で一礼をして上がって行く。
結構息が切れるが、その日の体調のバロメーターでもある。

 昨日の日中、少年とその祖父らしき人が参道を降りてきた。
後2・3段と云う処で二人は揃って神社の方角に向かい、深々と一礼をした。
それを見て思わず、「僕、偉いわねぇ~。すばらしい!」と声をかけた。
見えないものに向かい礼を尽くす態度こそ、人の生き方の基本姿勢だと感じる。
それを大人が無言で示すことはとても大切なことだと思う。
少年は少しはにかみつつ、連れの祖父らしき人も頬笑みながら、
軽く頭を下げて歩き去った。 いい光景に出合った。

 伯母が亡くなった。母の姉である。
家庭を持つ娘が一人。独居を貫いた伯母だった。
伯母は転倒で骨折をし1・2年ベッドでの生活を余儀なくされた。
高齢者の独居は何かと心配なことも多い。
が、その人らしく生活をすることは素晴しいことだと感じる。
母には安否の確認を怠らず、サポートをし元気な生活をエンジョイして欲しい。

   娘を案じ伯母は彼岸に旅立ちぬ   初桜

命あってのものだね

2010-03-14 23:00:24 | Weblog
 「命をとりますか?地位をとりますか?」
新任地で陣頭指揮をとる立場を約束された弟。激務ではある。
誰もが称賛してくれた。
が、ここ数年抱えていた持病が、
思いもかけず重篤な状態である事実を突き付けられた。

 家族はもちろん、老いた母を残して逝くわけにはいかない。
況してや新任地で多大な迷惑をかけつつ名誉にしがみ付くやり方は
自分の生き方にそぐわないと判断し、今回の人事を辞退したようだ。
岐路に立ち軌道修正することを余儀なくされた。
その潔さ、実にあっぱれ!! 
病気療養に努め、残された人生を全うするために頑張って欲しい。

  弟が岐路の決断春疾風   初桜

 様々な問題を抱えて悩む数人の友人と会食をした。
夫の心無い一言で傷つき、一か月も口をきいてないという人。
認知症の姑の言動に家族で振り回されている人。
その事によって家庭内がギクシャクしてしまっているという。
悩みを吐露して、こころの軌道修正をする。
数か月ごとに、こんな風に互いを励まし合うのだ。

  佐保姫がしめす彼方のうす明り   初桜

 先日の強風で、鎌倉の大銀杏が倒れてしまったという。
ここ太平山内でも太い松の木が根こそぎ倒れ道路をふさいだ。
自然の脅威、風による破壊力の強さに震えあがった。
しかし、そこ此処に春の兆しを感じる朝の散歩。
モモといつまでこんな時間が持てるのか、ふと、立ち止まり、
しみじみ今あることの愛おしさを思う。

 やはり春は気持ちが前向きになるようだ。
さぁ、花見も近い。 がんばろう~~ 

  強東風や年経る大樹なぎ倒す   初桜

あっぱれな人

2010-03-12 00:58:11 | Weblog
 
 一昨日の雪にはウンザリしたが、
それにしても今年は何と雪の多いことか。

  佐保姫のひと筆淡き白ひ画布   初桜 

 **** 佐保姫は俳句の季語で春をつかさどる女神を指す

 ウェーザー・ニュースの予測では桜の開花が早いという。
しかし、余り早すぎるのも困りもの。
矢張り4月に入ってからでないと人の出は今一つなのだ。
どうやら長年の所為で花見は4月という概念があるらしい。

夫は悪天候を利用して他県に商用に出かけた。
「あんな仕事の仕方をする人を初めて見た」と帰宅早々に言った。
小山駅のトイレで小便器の中に顔を突っ込むようにして、
便器を磨いている女性の清掃員がいたという。
そのあっぱれな仕事っぷりに感心をした。
余程、その会社の社長に知らせてやりたいと思ったという。

 「『貴女の仕事っっぷりは素晴らしいですね!』って、
その人に直接言えばよかったのに」と夫に言ったが、
口下手な夫ゆえ言えなかったようだ。
だが、そんな光景を目にして一日中元気を貰ったらしい。

 自分の仕事に誇りを持つプロ意識の高い女性なのだろう。
その話を聞いてブータラ文句を言う自分を恥ずかしく感じた。

とりあえず・・・

2010-03-09 15:42:00 | Weblog
 アメリカ人らしき若いカップルが来店した。
メニューを指して、「とりあえず、お団子を二つね」と言った。
「まぁ、とりあえずなんて言葉が使えるなんて素晴らしい!」と、
思わず口にしてしまった。
「あっ、あぁ~ありがとう!」青年はハニカミながら言って、
【親子重】も二つと追加した。
団子の追加は直ぐに出来るから、とりあえず一つにしては?と、
余計なこととは思いつつ勧めると、
「そうね、そうします。ありがとう」と微笑んだ。

 出来あがった【親子重】を届けると、
彼らは、箸を起用そうに使って食べ始めた。
緑茶を何度かお代わりし、「○△×□❤・・・」と、
早口の英語の会話が弾んでいる。

 「親子重が、と~っても美味しかった!!。それに、お団子も!」
青年は、「ほんとに、ほんとに・・・」と何度も繰り返した。
「あの・・・お味は如何でしたか?って・・・How feel・・・」
いつもそうであるが、外国の方に短い言葉を教えてもらうのだ。
「ネイティブ・アメリカンでは何と言うの?」
すると彼は流暢(あったりまえ!)に、「How did a taste.」と言った。
「あっあっ、didを使うのね。駄目ねぇ、勉強が役立っていない!」
本当に咄嗟に英語変換が出来ないことを情けなく感じた。

 それにしても語学センスって差があるのかも・・・
「また、お団子を食べに来てね!」と彼等を送り出しが、
白菜とキュウリの漬物は苦手だったのか残されたままだった。

父子

2010-03-06 23:50:40 | Weblog
  弟は亡き父と同じ道を歩んだ。
しかし、その世界での生き方は真逆であった。
父の、仕事に対する姿勢は職人気質。
子煩悩で家庭を大事にした。
足利から転勤してきて、この地で一生を終えた。
だから私と弟は一回だけ学校が変わった。

 弟は若くして出世街道を突き進んだ。
転勤は数え切れない。で、単身赴任が長かった。
任地1年と云うことも多かった。
大変なストレスであったろう。
いつの頃からか性格が頑固になっていた。

 子供の頃の優しいがひ弱でメソメソしていた彼は、
すっかり消えていなくなっていた。
競争の激しい、ストレスの多い職場で勝ち抜いていくには、
そう変化せざるを得なかったのだろう。

   栄転の君が肴の鰆かな    初桜

 朝の散歩で時折挨拶を交わす父子がいる。
小学4年生くらいの少年が父親と紫陽花坂を上がってくるのだ。
平日の早い朝もある。
「ボク、こんな早くに偉いのね~」と今朝は声をかけた。
父親が随神門の前に立ち、送れて上がってくる少年を待っていたのだ。
「無理に連れてくるんですよ」 父親は笑いながら言った。

 四季の移ろいや朝の新鮮な空気、
早朝の神住む山を数百段の石段を登り切って額づく清々しさ。
必ずや少年の心に降り来るものがあると思う。

 「きっと、いい大人になるわね」と言うと、
「そうなってくれるといいんですけど・・・」と父親が少年を見つめた。
「大丈夫!!きっと、なるわ~~」 私は少し大きな声で答えた。
気持ちのいい啓蟄の朝だった。

   啓蟄の柏手弾む神の山    初桜

斑鳩・いかる

2010-03-05 06:25:24 | Weblog
    名を知らぬ鳥群れ遊ぶ春の庭    初桜

暫く前から我が家の庭に、
見たこともない鳥の集団が飛来するようになった。
スズメには大きく、ハトよりは小さい。

 この時期、桜が花芽をつける。
それを狙ってウソがやってくる。
しかし、ウソではなさそうだ。

 鳥の集団は盛んにモミジの種を啄ばみ、
庭に降り立ったり木々を渡り交っている。
夫が調べたいので鳥を撮影しろと言うが、
警戒心が強く、また私のボロなカメラではズームがきかない。
盛んに囀り啄ばむ鳥たちを遠くから観察するより術がないでいた。

 すると昨日、野鳥を撮っているというアマチュアカメラマンが来店し、
あの鳥は<斑鳩・いかる>と云う名の鳥だと教えてくれた。
嘴が黄色くて羽の色は灰色と黒色の斑。
確かに目を凝らすとそうであった。

 山奥に餌が不足をしているのだろう。
人間にも住み難い世相だが鳥たちも受難な環境らしい。
民主党よ、外国人参政権や夫婦別姓の法案化を強行させないぞ!!
カメさん、がんばれ~~

     鳥の名は斑鳩と云いし奈良を訪ひたき   初桜

 

女の子

2010-03-03 00:25:50 | Weblog
 
 二八と云われるこの時期、山は客足が少ない。
夫と二人、炬燵の番をしながら日を過ごすことが多い。

 「三人ですけど、いいですか?」
幼稚園児と思われる女の子を連れた家族がみえた。
ホールに案内すると、「ママ、帰ろう~~」と盛んに女の子が言う。
大人二人がやっと宥めると、今度は寒いを連発。
ストーブのあるコーナーへ移動してきた。
すると着ていたコートを床に投げ捨て熱い々と繰り返す。
母親は躾がゆかなくてと小さく言った。
父親と思われる男性は、何故かヤレヤレといった表情をしている。
少し我儘な子なのかとハラハラした。

 食事を終えて帰り支度をしていると、
母親が団子の土産を買うから先に車に乗っているよう女の子に言った。
すると女の子は、「あのおじさんの車に乗るの?」と、
少し甲高い声を上げた。 私はハッとして女の子を見た。
キツイ目をしているが、顔立ちの可愛い女の子。
何より利発そうで繊細な感じがした。

 女の子は不安な気持ちを訴えたかったのかも知れない。
車を見送りながら、女の子が幸せになるよう祈らずにはいられなかった。

   いつからか娘は留守ばかりひいなの日   初桜

   切るような風に枝ふる桃の花       初桜