山の頂から

やさしい風

二つの石

2007-11-22 01:36:58 | Weblog
 徐々に寒さを感じるようになった或る日、1通のハガキを受けとった。
麻紀宛に届いたそれを見てハッとした。
なんと鳥居の絵が描かれたハガキは、あの画廊で観た絵であった。
絵の個展への案内状だった。
差し出し人の名は岡本正吾。ああ、あの人・・・
そう、確か住所と名前を記帳してきたと思い出した。
期間は来週から2週間とある。しかも会場は隣街。
麻紀は行ってみてもいいなと思った。
あの絵の作者の印象が悪くなかったし・・・
不思議と是非行ってみようという気になった。

 隣街はその昔は織物で栄えた場所だった。
何軒もの機家があり着道楽の街と言われた。
しかし、現在はその機家も殆どが衰退したらしい。
活気のない街だが落ち着いた雰囲気が以外にも若い女性達には魅力だった。
麻紀もそこに在る美術館には何度も訪れている。
お気に入りの喫茶店もあった。

 会場はすぐに分かった。
少しドキドキしながらドアーを開けた。