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華族将軍の「タンネンベルク信仰」が玉砕精神を生み出した――日米開戦80年目の真実

2023-03-26 17:48:59 | 日記
華族将軍の「タンネンベルク信仰」が玉砕精神を生み出した――日米開戦80年目の真実

執筆者:フォーサイト編集部 2021年12月7日カテゴリ: 社会

 
 今年12月8日、日米開戦すなわち真珠湾攻撃から80年を迎えます。日本はなぜ「必敗」の対米開戦に踏み切ってしまったのでしょうか――。

 思想史研究者の片山杜秀氏が著した『未完のファシズム 「持たざる国」日本の運命』は、ある華族出身の陸軍将軍が「劣勢の日本軍が優勢なアメリカ軍を“必勝の信念”で包囲殲滅できる」という狂気じみた論理を生み出してしまう過程を描いています。

小畑敏四郎の「タンネンベルク信仰」
 
 華族出身の陸軍軍人で、「作戦の鬼」の異名を取った小畑敏四郎は、第一次世界大戦時に観戦武官としてロシア軍に付いた経験がありました。

その際、強い影響を受けたのが、大戦最初期にドイツ軍の寡兵がロシアの大軍を包囲殲滅した「タンネンベルクの戦い」です。

いわば「短期決戦+包囲殲滅戦」の戦法ですが、じつはこれが成功したのはタンネンベルクの戦いぐらいで、あとは一度も実現されませんでした。

 ところが、「タンネンベルク信者」であった小畑は、参謀本部作戦課長として陸軍の戦争指導マニュアル『統帥綱領』『戦闘綱要』の改訂を主導した際に、この「短期決戦+包囲殲滅戦」を一般的戦闘法として綱領化します。

 すなわち、速戦即決の殲滅戦で一気に決める。突然に天佑神助のように訪れるかもしれない勝機を絶対逃さず敵を叩き潰す。

そういう戦争をしたいときは、外交や政治は無視して、将帥の独断専行を認めないと敵の意表もつけない。

兵隊や兵器や弾薬が足りなくても、気力と創意工夫と作戦で補えば、いかに劣勢でも勝てると大胆に主張したのです。

 この改訂からは、後の日米戦争における補給なき戦闘やバンザイ突撃や玉砕の情景が透けて見えてくるようです。

殲滅戦思想の顕教と密教
 
 ところで、「作戦の鬼」と呼ばれ、陸軍大学校の校長まで務めた小畑は、こんな戦争指導で本当に勝ち目があると信じていたのでしょうか。

 片山氏は前掲書で、じつは小畑もそんなことは不可能だと確信していたと分析しています。

タンネンベルクの戦いを熟知していた小畑は、ドイツ軍がロシアの大軍を包囲殲滅できたのは、ロシア軍が素質劣等だったからであって、素質優等な相手には通用しないと考えていたというのです。

 新『統帥綱領』は建前、いわば“顕教”でした。

陸軍には一流国の大軍と戦う能力はないので、アメリカやソ連と一戦を交えるなんてヴィジョンは端からない。

速戦即決の殲滅戦で勝てる弱い相手としか戦うつもりがない。

でも、最初からそのように公言してしまうと軍の自己否定になってしまうので、表向きは「強敵相手でも包囲殲滅戦で勝てる」と強弁する。

要するに「強い相手とは戦争しない」という本音は“密教”として、参謀本部の幹部の胸の内にとどめておくつもりだったのです。

皇道派の失脚が生んだ「玉砕精神」
 
 ところが、小畑にとって想定外の事態が発生します。1936年の「二・二六事件」です。

この事件の余波で、小畑らが連なる「皇道派」の軍人が要職からことごとく外されてしまいます。

その一方で、『統帥綱領』『戦闘綱要』の文言はそのまま生き残りました。

 その結果、密教として文章化されていない教義は忘れ去られ、顕教として書かれてある文言だけがそのまま信じられて、暴走していきます。

かくして、装備劣悪で寡勢の日本軍が、装備優秀で多勢のアメリカ軍等を「必勝の信念」で包囲殲滅しようとする、いかにも無理筋の戦いが始まってしまったのです。

 さらには、「必勝の信念」がエスカレートして、「敵を殲滅できずとも味方が殲滅されるまで戦い続ける」というとんでもない哲学が生み出されていきます。いわゆる玉砕精神です。

 相手の強さ弱さの次第によって殲滅精神は容易に玉砕精神へと転倒してしまう――片山氏は前掲書でそのように指摘しています。小畑の失脚により、想定外の用いられ方をされた『統帥綱領』『戦闘綱要』は「狂気の沙汰」の教典と化してしまったのです。



知られざる皇道派の思想…その“密教”と“顕教”とは

2023-03-26 17:33:22 | 日記
知られざる皇道派の思想…その“密教”と“顕教”とは

戦前日本の『未完のファシズム』と現代(6)

皇道派と統制派の対立

片山杜秀

慶應義塾大学法学部教授


戦前日本の運命を考える上で、皇道派と統制派の対立は重要である。

特に強国の経済力を目の当たりにした皇道派のビジョンが失敗に終わったことは、その後の日本の運命を決めることになる。

(2020年2月26日開催・日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「戦前日本の『未完のファシズム』と現代」より9話中6話)時間:11:36

収録日:2020/02/26

追加日:2020/07/21

≪全文≫

●皇道派の思想は天皇を崇める精神主義である

 陸軍の話に少しだけ補足をします。これは『未完のファシズム』という本の中の一つの本題なのですが、第一次世界大戦を知れば知るほど、その中心人物である軍人が、二・二六事件を起こしていたことがわかります。彼らが、二・二六事件を起こす皇道派の核心をなす将軍たちになるのです。

 例えば、荒木貞夫や小畑敏四郎です。さらには、真崎甚三郎が二・二六事件に大きな役割を持ちます。皇道派とは、「天皇の道」と書くので、天皇陛下を最上の存在として考え、天皇のための軍隊を編成しようとする立場です。こうした皇道派の将軍たちは、天皇陛下のために精神を鍛えて訓練をすれば、強い陸軍ができると考えました。

●経済力を重要視する統制派が皇道派を強く批判
 こうした発想は、日露戦争や第一次世界大戦後の時代を考えれば、「何を言っているんだ。そんなことで勝てるような時代は終わったぞ」と言われるでしょう。実際にいかに装備を近代化して、数を持つかということに尽きているではないかと批判されました。こうした批判は、田中義一から永田鉄山の流れに至る、陸軍における統制派の考え方です。

 彼らからすれば、やはり陸軍は装備がきちんとしていなくてはなりません。そして、後に「統制派」と呼ばれる永田らのグループは、こう考えました。それは陸軍だけでは実現できない。日本の経済成長を図るような、内閣をはじめとした機能と陸軍が共同して工業生産力を高め、いざというときは、民間企業で多くの鉄砲の弾や軍のための車両が造れるような生産体制が求められます。日本は社会主義国ではないので、普段は民間の需要の中でさまざまなものをつくっています。そうした生産ラインを、いざと言うときに戦車や弾に変更できるような工場を、民需の中で維持できる国家を、軍と内閣が共同でデザインしていくことを提唱したのです。統制派は、こうして国家総動員体制をつくることを目指しました。


●統制派の思想は日本では実現不可能だった
 ところが、この統制派の思想は、日本では実現できないと見なされました。なぜなら国力に開きがありすぎるので本気になってやろうと思っても、アメリカやソ連に勝ち目はないだろうと考えられたからです。そう見限っていたのは、実は皇道派でした。

 皇道派は、「精神力で勝てる」などと言うので、よくバカにされます。陸軍に詳しい方ほどバカにするのですが、私は全くバカにはしません。それどころか、彼らのほうが統制派よりもはるかにリアリストです。統制派は、日本の工業生産力を、短期間でアメリカやソビエト、イギリス、フランスに拮抗させられるくらいまで育てようと考えましたが、それは無茶です。そうした国家デザインをしつつ、さらに軍備も増強しようとすると、国家予算そのものも、そのうちの軍事費の割合も増加していきます。

 戦争をする前に仮想敵国に勝とうとして、軍備を整えつつ、その軍備をキープするような巨大な第二次産業を育てていこうとしても、日本は第一次産業中心の国なので、成立しません。大正期に工業化がさらに進んだといっても、当時の日本はまだ圧倒的に農民の方が多い時代でした。そうした人達に負担を掛けながら税金も増やして軍事費を増やし、財閥とか大企業を中心とした都会を重視して地方を切り捨てるという方針は、成り立ちません。


●農民を犠牲にしたイングランドの近代化
 イギリスの近代化は、そのようにしてスコットランドやウェールズ、アイルランドを犠牲にし、イングランドの工業生産に国力を集中させることで実現していきました。しかし、イギリスが実現したのも、長い時間をかけたからです。統制派的な思想で短期的にこれを実現しようとしても、農民が怒るのです。

 さらに、そのための巨大な軍事費を注ぎ込んでも、イギリスやアメリカに勝てるような軍事規模を持つことは不可能に近いのです。国内に不満を溜めながら、いざというときには勝てないかもしれない軍備を増強するような統制派ビジョンというのは、国を滅ぼすことにつながります。これが皇道派の思想です。


●ロシア革命の現場を見た皇道派が恐怖した日本のシナリオ
 どうして皇道派がそう思ったのでしょうか。皇道派の中心人物である荒木貞夫と小畑敏四郎という2人の陸軍の将軍は、第一次世界大戦の時にロシアに行っていました。第一次世界大戦の時のロシアは、日露戦争と違って日本の味方で、ドイツと戦っていました。そこで日本の陸軍は、大量に観戦武官をロシアに送り込みました。ドイツとロシアが戦っている前線まで行き、見聞してきたのです。荒木と小畑もその一員として、ロシアにいました。そしてロシア革命の状況に詳しくなりました。

 そこで分かったことは、次のようなことです。ロシアは第一次世界大戦の時...


「脱北者を違法に強制送還」文在寅政権の外相ら在宅起訴 韓国検察

2023-03-26 16:47:04 | 日記
「脱北者を違法に強制送還」文在寅政権の外相ら在宅起訴 韓国検察

2023/2/28 17:55時

吉 達也
  • 国際
  • 朝鮮半島

韓国統一省が昨年7月に公開した、北朝鮮漁民を北朝鮮側へ強制送還する場面=2019年11月、板門店(同省提供・共同、画像の一部を加工しています)


【ソウル=時吉達也】

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前政権で2019年、脱北漁民の男2人を北朝鮮に強制送還した措置をめぐり、ソウル中央地検は28日、職権乱用などの罪で、当時、国家安保室長を務めた鄭義溶(チョン・ウィヨン)前外相ら、大統領府の元高官4人を在宅起訴した。

検察当局は、北朝鮮との関係改善を望む文政権への「政治的配慮」から4人が、憲法上は韓国国民とされる北朝鮮住民を違法に送還したと判断。

鄭氏は声明を発表し「報復を目的とする政治捜査だ」と反発した。

他に起訴されたのは、金錬鉄(キム・ヨンチョル)元統一相、盧英敏(ノ・ヨンミン)元大統領秘書室長と情報機関、国家情報院の徐薫(ソ・フン)元院長。

起訴内容は19年11月、漁船内で船長ら16人を殺害し、韓国側に逃げたとされる北朝鮮漁民の男2人が亡命の意思を示したにもかかわらず、北朝鮮に送還するよう関係機関の職員らに指示したとしている。

昨年5月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、検察当局は対北朝鮮融和政策を進めた文政権高官への捜査を加速。

昨年12月には、黄海で漂流中の韓国人男性が北朝鮮軍に射殺された事件で、早期の幕引きを図るため捜査情報の削除を指示したとし、国情院の朴智元(パク・チウォン)前院長と徐旭(ソ・ウク)前国防相を在宅起訴した


韓国左派は、旧徴用工賠償問題で反発し、ソウル都心で反対集会

2023-03-26 14:53:23 | 日記
韓国左派は、旧徴用工賠償問題で反発し、ソウル都心で反対集会を繰り広げている。日本の謝罪がないことで、韓国の自尊心が傷つけられたという理屈である。日本は、過去40回も謝罪してきたが、それでも満足できないというのだ。

経済面から見た韓国は、日本へ度重なる謝罪を要求するほど余裕ある状況にない。主力産業の半導体が、米中対立で厳しい局面に立たされているのだ。韓国は、中国で数兆円を投資してきた半導体が、今後の満足ゆく操業が不可能になったことだ。先端半導体は、10年間で5%の増産枠を認められただけだ。当然、採算悪化は間違いない。

米中関係は、10年後に改善する見通しがある訳でなく、逆になる可能性の方が大きいであろう。となると、半導体は最終的に中国撤退すら起こり得る。韓国は今、それに備えた動きを始めた。日韓融和への動きである。

『韓国経済新聞』(3月25日付)は、「韓日輸出規制解除の意味『ビジネス同盟復元』半導体サプライチェーン構築に役立つ」と題する日本大経済学部教授の権赫旭(クォン・ヒョクウク)氏へのインタビュー記事を掲載した。

韓国は、日本から多くの素材、部品を輸入している。2019年以降の輸入規模は、再び増加に点じている。韓国は現在、米国の主導で再編されるサプライチェーンに注目しなければならない。日本による輸出手続き規制の解除は、韓国が主要プレーヤーとして参加できることを意味する、と強調する。

(1)「韓国は包括的および先進的なTPP協定(CPTPP)に事実上、日本の反対で加入できなかった。今回の措置の効果が国際協定でも有効に作用して、近くCPTPPや米国主導のクアッド(日米豪印)にも参加することになるはずで、発言権を持って主要プレーヤーとして活躍することができる」

韓国が、TPP参加をためらった理由は二つある。一つは、中国への遠慮である。もう一つは、日本製造業との競争に敗れることを懸念したものだ。農水産物の競争力も日本より劣っている。福島産などの海産物を未だに輸入禁止している理由だ。TPPに参加するとなれば、韓国産業は「丸裸」になる。対日貿易に限れば、韓国の輸入赤字はさらに膨らむであろう。

クアッドへ参加する前に、先ず韓国海軍艦艇が行なった海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射に対して謝罪することだ。旭日旗を蛇蝎のごとく嫌う韓国が、クアッドへ参加できるだろうか。クアッドの問題は、韓国がひっくり返るほどの反対論が出るだろう。

(2)「韓国は、米国と中国の間のあいまいな戦略的位置でなく、米国側でオーストラリアや日本と共に重要な軸になることを意味する。これを確実にするのが、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の回復だ。中国と対立するのではなく、中国が圧力を加えてきた場合の交渉カード、バーゲニングパワー(交渉力)が生じる。韓国が今回、日本へ先に握手の手を出したのは、米国側に立ったものと解釈できる」

韓国は、長年にわたり「二股外交」を行なってきた。韓国は、ここから「足を洗い」米国の陣営に馳せ参じるというのである。これは、左派が猛烈な抵抗するだろう。左派は、親中朝ロ路線である。先ずこれを国内で解決することだ。

(3)「韓国が、日本とビジネスパートナーになる場合の利益について、半導体産業を例に挙げてみよう。中国は原油の輸入よりも半導体の輸入による赤字がはるかに大きい。中国が半導体産業育成に注力する理由だ。半導体産業で頭角を現した韓国も悩みは同じだ。韓国は他国に比べて今でも製造業の比率が高いが、中国のおかげで維持されてきた側面がある。それだけ中国への依存度が高く、中国の立場に従うしかない状況もあった。これが韓国のジレンマだった」

韓国の輸出トップは、中国である。対中輸出は、昨年後半からマイナスが続いている。これは、一時的な減少でなく、中国の素材生産が増えてきた結果、輸入代替が進んでいると見るべきだ。韓国は、対日貿易で赤字を出し、対中貿易で黒字を出すという構造が変わってきたのだ。
(4)「米国が、中国排除政策を進めるこの時期、韓日ビジネス同盟に向かっていけば、半導体産業のサプライチェーン、次世代技術の側面で優位の競争力を確保できるとみる。世界最大半導体ファウンドリー企業TSMCと深い関係を結ぶ日本とのシナジー効果を期待できる」

韓国は、日本が台湾のTSMCと密接な関係を構築していることに危機感を見せている。そこで、韓国にも「利益を分けて欲しい」というのが率直なところだ。韓国を巡る国際情勢は急変している。左派は、それを全く理解しようとしないのだ。 


4月から公務員定年引き上げ 国・地方、人手不足に対応

2023-03-26 14:32:48 | 日記
4月から公務員定年引き上げ 国・地方、人手不足に対応

3/25(土) 20:34配信


総務省が入る中央合同庁舎第2号館

 現在60歳となっている国家公務員と地方公務員の定年が、4月1日から61歳に引き上げられる。 

公務員の定年引き上げのイメージ  その後も2年ごとに1歳ずつ引き上げ、2031年度に定年を65歳とする。シニア層の職員が持つ知識や経験を生かすとともに、少子高齢化が進む中、深刻化する人手不足に対応する狙い。

民間企業でも同様の動きが広がるか注目される。

  年金支給開始年齢が65歳に引き上げられる中、60歳で定年退職すると無収入の期間が発生する。

現在この期間は再雇用制度で対応しているが、政府は定年延長によりシニア層の職員の働く意欲を維持しつつ、経験を生かし若手のサポートなどに当たってもらう考えだ。

厚生労働省によると、65歳以上への定年引き上げを実施している民間企業は22年6月時点で25.5%。  

21年に成立した改正国家公務員法は、定年を23年度から段階的に引き上げることや、60歳に達した職員は原則として管理職から外す「役職定年制」の導入を盛り込んだ。

給与は当面の間、60歳時点の7割水準とする。

地方公務員も同様の対応を講じる。  

定年が2年ごとに1歳ずつ延長されると、定年退職者がいない年が生じるが、従来のような退職者を補充する形の採用では、若い人材を安定的に確保できなくなる恐れがある。

このため政府は定年の引き上げ期間中も継続して一定数を採用する特例的な措置を検討。

地方公務員についても、総務省が自治体に対し、複数年度で採用者数を平準化するなどの対応を求めている。