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「韓国=安い」はもう過去の話。値上げにうんざりな日本人もびっくり、韓国のリアルな「物価事情」

2023-03-03 18:24:12 | 日記
「韓国=安い」はもう過去の話。値上げにうんざりな日本人もびっくり、韓国のリアルな「物価事情」

2/28(火) 20:35配信

安い旅行費で行ける海外旅行先としては韓国が挙げられると思うが、現地の物価は決して安くない。

安くショッピングが楽しめたのももう過去のこと。

しかも暮らすとなると、相当な物価高に悩まされることとなる。

このところ韓国では、ママ友数人集まれば、決まって話題はガス代のことから始まる。

オンドルと呼ばれる床暖房がフル稼働するこの季節、ガス料金高騰の現実を突き付けられている。

 なんと韓国では2022年、1年の間に実に40%もガス料金が値上がりしたのだ。

わが家も前年の同時期と比べ、2倍の額が印字された請求書を見てその高騰ぶりに驚いた。

「出かけるときは暖房のスイッチをオフにする方がいい」と左隣のママ友が言えば、「いや違う、つけっぱなしの方が実は省エネだ」と右隣のママ友が言う。

ああだこうだと節約テクニックの話で盛り上がり、最後は「来月の請求書が来るのが怖いね」と顔を見合わせため息をついた。

◆韓国は安くない


もしかして韓国はなんでも「安い」というイメージを持っている人がまだいるだろうか? 

それはもう過去のこと。

 例えば定番の観光地・明洞(ミョンドン)の屋台フードや地下街で売っている洋服が特別安いかというと、実はそこまで低価格だとは言えない。

 今の韓国に「かわいいモノ」を求めるのは正解だが、ひと昔前のように「安いモノ」を求めてやって来るのはもう間違いなのだ

安くてそこそこの品質のものなら今どき日本でもたくさん売られている。

むしろ韓国は何かと高い。もちろん韓国料理は日本で食べるよりは安いかもしれないが……。

◆今や物価の高い国、それが韓国


韓国料理「キンパ」も値上げが続いている

年々物価の上昇は続いていたが、ロシアとウクライナの戦争の長期化による国際情勢の影響も含め、現在の韓国の物価の高さは恐怖レベルだ。 

例えば牛乳約1リットルで2900ウォン(299円)、卵10個入りは約4000ウォン(413円)(ソウル江北エリア大型スーパー商品一例)。

これはあくまで高級商品ではない一般的な食品の例だ。

もちろん地域や商品、時期、栽培法などによりさらに値段は大きく変わってくるが、別に良いものを選ばなくても、基本安くはない。

 もう少し例を挙げると、ブロッコリーが約2800ウォン(289円)、ホウレンソウは1把約3500ウォン(361円)、リンゴ4個入りで8000ウォン(826円)。

これがソウルの江北の大型スーパーでのある日の最安値である。ということは、もっと高い値段の商品の方が圧倒的にたくさん陳列棚には並んでいるということだ。

とにかくパン、ラーメン、菓子類など、もともと高い上にさらに価格上昇、値上げラッシュが続いている。

  韓国料理を例に挙げてみよう。手軽に食べられることで人気のキンパ(キムパプ)は基本の具材だけが入った普通タイプのものが1本2500ウォン(258円)。

ちなみに物価が高いとされる江南地区では普通のキンパの平均価格が3000ウォン(309円)を超えている。

筆者が初めて韓国に遊びに行った2000年は普通のキンパが1000ウォン(103円)、チーズキンパが2000ウォン(206円)だった。

 観光客の間で絶大な人気を誇るサムゲタン専門店「土俗村」のサムゲタンは10年前は1万5000ウォン(1549円)だったが、今は1万9000ウォン(1963円)。

まあ、20年もたてばそんなもんか、と思っていたが、最近の値上げ幅急上昇ぶりにはちょっとついていけない感がある。

 チーズキンパも1年前は3500ウォン(361円)だった店が、先日久しぶりに注文したら4000ウォン(413円)になっていてレジで驚いた。

「チーズキンパが4000ウォンだなんて!」と思わず口に出そうになった。

言葉にするのはなんとか抑えたものの、顔はムンクの叫びのような表情になっていたと思う。短期間で随分と値上がりしたものである。

◆交通料金も値上がり


観光客にも大いに関係あるところでいうと、 2023年2月1日からタクシー料金は、初乗り料金が3800ウォン(392円)から4800ウォン(495円)に。

模範タクシー、大型タクシーも6500ウォン(671円)から7000ウォン(723円)に引き上げられた。

 深夜料金は2022年、適用時間帯が長くなったばかりで、通常の2割増以外に、乗客の多い23時から翌2時まで4割増が適用になっている。

このままさらに値上げが続いたらと思うと恐ろしい。

 タクシーも今までのように気楽に乗れなくなる日が来るのだろうか……。

気軽に乗れるのが韓国タクシーのいいところだったのに……。

地下鉄や市内バスも年内にさらに値上げされる予定だ。

基本的には、公共交通機関はそれでもまだ日本と比べるとリーズナブルと言えるけれども……。値上げは値上げだ。

◆値上げはこんなところでも……

先日久しぶりに近所の銭湯にアカスリに出かけた。 コロナ前は1万7000ウォン(1756円)だった料金は、コロナ禍後となる2年後には2万ウォン(2066円)になっていて、久しぶりに出かけた当時、その値上がりぶりに2つの意味で焦った。

1つは2年で3000ウォンも値上がりしていたこと。

もう1つは値上がりを知らなかったため、現金の持ち合わせがなかったこと。

なぜならアカスリの料金は基本現金で支払うからだ(あるいは後で送金も可)。

 実は今回もちょっと慌てた。きっちり2万ウォンだけ用意して浴室に入ったからだ。

アカスリおばちゃんのところに依頼に行き、壁に貼ってある料金表を何気なく見ると、なんと2万1000ウォンになっているではないか! 

しばらくご無沙汰していた半年ほどの間にまた1000ウォン(103円)値上がりしたらしい。

慌てて脱衣所に戻り、ロッカーを開け、財布から足りない1000ウォンを取り出しまたアカスリコーナーへと戻ったが、余分に現金を持っていて良かった。

◆教育費も値上がり続き

銭湯からの帰り道、携帯電話が鳴った。娘の音楽の塾の先生からだった。「お母さんどうしましょう~。

来月から授業料が14万ウォン(1万4465円)になるんです~」「どうしましょうはこっちのセリフ……」と言いたいのはぐっと我慢。

辞めないなら払うしかなかろう。

 その塾はそれまで1週間に1回25分授業で1カ月12万ウォン(1万2398円)の授業料だった。

つまり一気に2万ウォン(2066円)もの値上がりだ。

ここ数年子どもの塾の授業料は1万ウォン(1033円)単位でどこも少しづつ値上げが続いていた。

だから授業料引き上げ自体には驚かないが、一気に2万ウォンの大幅引き上げにはさすがにたまげた。

 注意深く読んでくれている読者はそもそも本来の授業料が高いことに驚かれたと思うが、韓国の塾授業料は日本のそれ以上に高い。

ピアノ、水泳、バレエ、学習塾、韓国にもいろいろとあるが、どれも基本的に日本と同授業時間、同授業回数で比較すると授業料は少なく見積もっても日本の2倍は高額だ。

それがさらに値上がりしているのだからいかほどかご想像いただけるのではなかろうか。 

韓国統計庁によると、韓国の2022年の合計特殊出生率は「0.78」とOECD加盟国の中でも最低だったそうで(※1)、その要因は不動産の高騰、就職難などさまざまだ。

とはいえ、その数字に思わず納得しながら筆者、ぼそりと呟いたのであった。

「なんせこれだけ子どもの養育費がかかっちゃあなあ!」

 日本も値上がりが続いていると思うが、韓国も同様。値上げ。値上げ。値上げ! 値上げうんざりは日韓の国民共通の頭痛の種である。

 ※レートは2023年2月20日時点 参考
 ※1:聯合ニュース 2023年2月22日 松田カノンプロフィール 翻訳家・カルチャーライター。

在韓16年目、現地のリアルな情報をもとに韓国文化や観光に関する取材・執筆、コンテンツ監修など幅広くこなす。著書に 『ソウルまるごとお土産ガイド(産業編集センター)』などがある。All About 韓国ガイド。

松田 カノン

政府「孤独・孤立対策推進法案」閣議決定 長引くコロナ禍で深刻化

2023-03-03 17:56:32 | 日記
【速報】

政府「孤独・孤立対策推進法案」閣議決定 長引くコロナ禍で深刻化

3/3(金) 9:36配信

TBS NEWS DIG Powered by JNN

政府は、コロナ禍でより深刻化した“孤独・孤立”の問題に対して、国や自治体の役割を明確にし、官民の連携を強化する法律案を閣議で決定しました。

 閣議決定された「孤独・孤立対策推進法案」は、長引くコロナ禍で深刻となった孤独や孤立の問題について、政府が予防的な取り組みなどを強化するものです。

 自殺者の数は年間で2万人を超えていて、孤独・孤立の問題が増加の要因の一つとされています。

 このため、

法案では、国や自治体が施策を実施する「責務を有する」と明記し、総理をトップとする「孤独・孤立対策推進本部」を内閣府に設置します。

自治体に対してもNPO法人などを含めた官民で作る「地域協議会」の設置を要請し、個人の状況に応じた支援などに国、自治体、民間が一体となって取り組むことが狙いです。 法案はこの国会に提出され、成立すれば来年4月に施行される予定です。

韓国人を襲うポピュリズムのツケ、ガス・電気代暴騰の次は「年金保険料」激増

2023-03-03 17:39:44 | 日記
韓国人を襲うポピュリズムのツケ、ガス・電気代暴騰の次は「年金保険料」激増

李 正宣

2/15(水) 6:02配信

 ひときわ寒さが厳しいこの冬、ウクライナ戦争などの影響によるエネルギーコストの急騰に、世界の人々が喘いでいる。

韓国も例外ではない。

平均で5%程度の物価上昇に直撃されているが、とりわけガス料金、電気料金、公共交通料金などが暴騰している。これに韓国国民の間から大きな不満が漏れ始めている。

 ■ 「文在寅政権の時の方が暮らしやすかった」  この1年で、韓国の都市ガス料金は実に40%以上も急騰した。

韓国では冬の暖房には主に都市ガスが用いられている。

そのため、まさに今現在、都市ガス料金の高騰は韓国の一般家庭の財布を直撃している。

筆者が先日会った知人もガス料金暴騰に怒りを爆発させていた。

「去年と比べるとガス料金は倍になった。やはり尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は金持ち優遇の政権だよ。

ただでさえ物価高騰で暮らし向きが厳しいところに、金持ちが納める総合不動産税や法人税は減免しているのに、われわれ庶民も払わなければならない電気やガスの料金は一気に引き上げた。

なぜこんなことをするのか。私のような庶民には、むしろ文在寅(ムン・ジェイン)政権の頃の方がずっと暮らしやすかったよ」

  大学生の息子を持つこの知人は、文在寅政権当時、曺国(チョ・グク)法務部長官の子供の入試不正疑惑が浮上すると、光化門で繰り広げられた「曺国退陣デモ」に加わった。

そして常日頃から、文在寅政権の「ネロナンブル」を強く批判していた彼は、去年の大統領選挙では躊躇なく尹錫悦候補を選んだと私に明かしていた。

  それが、尹錫悦政権発足からわずか8カ月後には「文在寅政権時代のほうが良かった」と嘆いている。

そんな彼の豹変ぶりを見ていると、都市ガス料金の引き上げが国民世論にどれほど深刻な影響を及ぼしているかを実感させられる。

 実際、昨年末40%まで上がった尹錫悦政権の支持率は、今年に入って再び下落傾向が続き、いつのまにか30%台半ばまで下がってしまった。

専門家たちはその最も大きな要因として「ガス料金の引き上げ」をあげている。

  しかし、都市ガス料金の引き上げ問題において、尹錫悦政権にはやや同情すべき側面がある。

 ■ 「都市ガス料金爆弾」は誰のせい?

   国際エネルギー価格が急騰した2021年、文在寅政権の産業部は、韓国ガス公社の都市ガス料金の引き上げ要請を8回も黙殺した。

逆に、文在寅政権は新型コロナのパンデミックに襲われていた2020年7月にガス料金の引き下げを断行し、2022年3月までの1年8カ月間もそのガス料金を据え置いた。

  一方、その間、都市ガスの原料であるLNGの輸入単価は3倍も上昇、韓国ガス公社の未収金は9兆ウォンにまで達する事態となった。

  しかも文在寅政権下の「脱原発」政策によって、LNG輸入量は増加していた。  

ところが、大統領選挙で文在寅大統領が敗れ、退任を翌月に控えた2022年4月になると、政府は一転してガス料金の引き上げ要請を受け入れ、産業部は5月、7月、10月のガス料金引き上げ予定まで決定してしまった。

5月に発足した尹錫悦政権と与党「国民の力」は、この点をとらえて、「現在の“都市ガス料金爆弾”は文在寅政権のせいだ」と主張している。

  これに対して、野党「共に民主党」は、「尹錫悦政権こそ庶民の生活に配慮しない金持ち優遇政権だ」と批判している。

「文在寅政権のガス料金凍結はコロナのパンデミックで経済的打撃を受けた庶民の苦痛を減らすための苦肉の策であり、現在は国際LNG価格が下落傾向に戻ったにもかかわらず、尹錫悦政権がガス料金を引き上げているのは庶民のことなど眼中になく、ひたすら企業側の利益だけを考えているからだ」との批判だ。

 このように韓国政界では「都市ガス料金暴騰」という“爆弾”の責任をお互いに転嫁する世論戦がヒートアップしている。

ただ、筆者が周囲の人々の様子を眺めていると、韓国国民の多くは「現政権の責任が大きい」と考えているようだ。

一度も経験したことのない物価高騰のさ中だが、中でも公共料金の暴騰は生活と直結した現実問題であるためだ。

緊急の対処が求められる状況なのに、前政権のせいにして責任回避を図るような尹錫悦政権の態度には世論も批判的にならざるを得ないのだ。

 ■ 電気料金も地下鉄運賃も  韓国はこの1年で電気料金も約30%暴騰した。

脱原発を唱えた文在寅大統領は電気料金の引き上げを心配する声に対して「私の任期中は電気料金の引き上げはないだろう」と断言し、実際にその言葉通りの行動をしたのだが、やはり政権交代後に電気料金も暴騰した。

このままでは、電力消費量が急増する夏に、今度は「電気料金爆弾」を巡って政治攻防が再現されることになりそうだ。

  ソウル市が運営するソウル地下鉄の料金も今年に入って料金引き上げを示唆した。

吳世勲(オ・セフン)ソウル市長は、「過去8年間、料金引き上げはなかった」として、料金引き上げが避けられないことになったと訴えている。

ソウル市はまた、「65歳以上の高齢者の無料乗車」についても中央政府に支援金を要請している。

  ソウル市は共に民主党出身の朴元淳(パク・ウォンスン)氏が市長を務めていた10年間、地下鉄料金を極力凍結していたが、そのしわ寄せが呉世勲市長にやってきた格好だ。

■ 人気取りのポピュリズムは国民のためになってきたのか  筆者は文在寅大統領が退任直前まで40%台の支持率を維持できた点や、朴元淳ソウル市長が3期連続当選できた原動力は、まさにこの「ポピュリズム」のおかげだと思っている。

もっと言えば、あらゆる疑惑に塗れた共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が当時与党の大統領候補となって47%の得票を得ることができた理由も、検察捜査で数多くの不正疑惑が追加されても次期大統領候補として最も高い支持を得ているのも、このポピュリズムのおかげだ。 

 李在明氏はそのマニフェストに「無償シリーズ」というバラマキ福祉をあげてきた。

今回の暖房費論難では「7兆ウォン程度の補正予算を通じて全国民に暖房費を支給しなければならない」と主張し、国民の共感を得ている。

結局、「貧困層にだけ暖房費を支援する」と言っていた尹錫悦政権も、国民の60%に暖房費を支援する案に苦心している。

たとえ保守政権だとしても、選挙を考えるのなら、ポピュリズムから決して自由になれない。 

 だだ、当然の結果だが、ポピュリズム政策は、遠くない未来に必ずブーメランとなって戻ってくる。

現在、韓国社会で「ホットポテト(手に負えない厄介な問題)」として浮上している「国民年金改革」はまさにそのケースだ。

  韓国の国民年金制度は1988年、盧泰愚(ノ・テウ)政権の時、給料の3%を払えば老後に給料の70%を受け取るという仕組みで誕生した。

だがIMF通貨危機下の金大中(キム・デジュン)政権の98年、所得代替率が60%に、08年には40%に引き下げられた。

 保険料率は金大中政権で9%に引き上げられた後、25年間縛られている。

この保険料率はドイツ(18.7%)、日本(17.9%)、英国(25.8%)、米国(13.8%)よりはるかに低く、このままだと2055年には基金が底をつくという。

毎年最悪の出生率の更新する現実を考慮すれば、2050年以前に枯渇するという見通しもある。

 国民年金改革の必要性は韓国の歴代政権を通じて続いてきたが、その都度改革に失敗してきた。

朴槿恵政権はすでに積立基金が底をついていた公務員年金の保険料率を7%から9%に引き上げたが、低い支持率のゆえ国民年金にまで手を出すことができなかった。 

 歴代政権の中で最も高い支持率を誇っていた文在寅政権も国民に人気のない年金改革を無視し続けた。

政権発足2年目の2018年に、保険料率を13%に上げる国民年金改革案を担当部署の福祉部が発表したが、「国民の目線に合わない」という理由で大統領室が拒否し、以後、国民年金改革に対する言及さえしなかったのだ。 

 そして現在の尹錫悦政権は、10月に国民年金改革案をまとめるという目標をめぐり、民間諮問委員団の議論が真っ最中だ。

韓国メディアによると、保険料率を15%まで引き上げる案が有力だという。

 ■ OECD加盟国で一番高い高齢者貧困率、今後はますます悪化の予想  しかし、早くも若年層の間では「自分たちが老後に受け取ることができるかどうか確信がもてない国民年金の保険料は払わない」と反発が広がっている。

低い支持率に悩む尹錫悦政権では、このような反対世論を押し切って、年金改革に成功できるかどうか未知数だ。 

 韓国の高齢者貧困率はOECD加盟国の中で最も高く、4人に1人が貧困層だ。

出生率は世界で唯一1%未満という0.8%台で、世界で最も子供を産まない国となっている。

このまま、少子化と年金改革問題を解決できなければ、現在の20代の若者が高齢者となった時には3人に1人が貧困層に転落するという予想もある。  

先進国入りしたばかりの韓国だが、もしかしたら今が最盛期で、この先には下り坂だけしか用意されていないのかもしれない。

李 正宣









韓国で反日感情高まる「独立運動記念日」に“訪日韓国人”急増の理由

2023-03-03 16:45:21 | 日記
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韓国で反日感情高まる「独立運動記念日」に“訪日韓国人”急増の理由、元駐韓大使が解説


武藤正敏 


全国建設労働組合が
ソウル市内で大規模集会

 ソウル市内で2月28日と3月1日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)傘下の全国建設労働組合が、市の中心部の世宗大路一帯で組合員4万6500人が参加する集会を開催した。

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、「任期中に建設現場での喝取(「恐喝」の意)・暴力行為は必ず根絶したい」「建設現場における法治を確固たるものとして打ち立てるべきだ」「建設労組など既得権労組の違法行為は暴力団レベル」と非難しており、強力な取り締まりを指示している。

 これに伴い、尹錫悦政権と建設労組は厳しい対立関係に入っており、日韓関係改善を進める尹錫悦政権に対応し、建設労組は3・1独立運動記念日に大規模集会を開催することにしたのであろう。

 また、保守系政党の「自由統一党」も1日午後に市内で数万人規模の集会を開き、複数の保守団体によるデモ行進も行われた。

 しかし、市内でこうしたデモが行われた以外、今年の3・1独立記念日の韓国の雰囲気は例年とは異なるものであった。

日本政府の水際対策緩和後

訪日韓国人が急増

 日本政府が昨年10月、新型コロナウィルスの感染拡大以降約2年7カ月ぶりに水際対策を緩和してから、韓国人の訪日客はうなぎ上りに増加している。

 10月は12万3000人、11月31万5000人、12月45万6000人、1月は56万5000人を超えた。韓国人は訪日外国人の37.7%を占めており、今後も増加が見込まれている。

 韓国の独立運動記念日「三一節」である3月1日も、日本行きの航空便はほぼ満席状態である。

旅行大手、ハナツアーの関係者は「最近売れたパッケージツアーと航空券の3分の1が日本行きであり、独立運動記念日もほぼ同様」だという。

 そのあおりを食ったのが済州島であり、格安航空会社(LCC)各社は済州行きの便を日本に回し始めたほどである。その影響で、済州島の高級ホテルやレンタカーの利用料金は急速に低下している。

 韓国人にとって三一節は訪日を自粛する要因にはならないようだ。

日本を訪れる予定の会社員も、

「そのようなこと(日韓問題)のせいで日本に行かない人がいるだろうか」

「周りでも、近頃海外旅行をした10人中7人は日本に行った」

と述べたそうである。

 2月25日には日本で「竹島の日」の記念行事が行われ、島根県で行われた式典には内閣府の和田政宗政務官が出席した。

韓国外交部は日本大使館の公使を呼びつけて記念行事開催に抗議した。

 竹島問題は韓国の国民感情を最も刺激する問題である。

韓国政府はその時期に東京や大阪を訪問する韓国人に対し、右翼が韓国大使館前などで抗議活動を行うので、こうしたところには近づかないよう注意喚起をしていた。

しかし、そうした時期にも日本に旅行する韓国人が増えているのは過去とは異なる様相だという。

 上の世代になるほど歴史・政治問題に敏感に反応するが、世代交代でそうした面はかなり薄れてきた。

20代の人は「政治問題のために日本旅行をためらったり、周囲を気にする人はほとんどいない」と述べている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2019年、

日本政府が韓国への戦略物資である半導体素材の輸出を包括許可から個別許可に規制強化した際に、日本製品不買運動が起こり、訪日自粛ムードが広がったのとは好対照である。

特に若い世代では、日韓の政治問題に対し冷静であり、日本との交流を楽しむ姿が新鮮である。

日本への印象について
「肯定的」が「否定的」の2倍超に

 韓国の経済団体、全国経済人連合会(全経連)が20代、30代を対象に16日から21日までオンラインで実施した調査によれば、

日本に対する印象について「肯定的(ポジティブ)」が42.3%で、

「否定的(ネガティブ)」の17.4%の2.4倍となった。「普通」は40.3%であった。

 日本を肯定的に感じる人が否定的に感じる人の2倍以上というのは、これまでの韓国の世論調査の常識を覆す結果である。

しかも、3月1日の独立運動記念日が間近に迫っている2月後半に、こうした結果が出たことは驚きである。

 回答者の半数を超える51.3%に訪日歴があり、日本での体験が好印象の重要な要因のようである。日本に対する好感度は10点満点で平均5.7点であった。

 さらに注目すべき点は、日韓関係改善に向けて優先的に考慮すべき価値としては「未来」(54.4%)が「過去」(45.6%)を上回ったことである。

 それを反映するかのように、韓国政府が提案する徴用工問題の解決策である、日韓の民間・企業の自発的な寄付金で被害者に補償する案について、52.4%が「日韓関係に肯定的な影響を及ぼす」と評価している。

 こうした結果は、韓国政府にとって解決案を推進していく強い後押し要因となろう。

 3月1日の独立運動記念日に、

抗日デモに参加するより、訪日を選んだ若者、

日本を肯定的に評価する若者、

こうした若者層を見ている限り、

従来の既得権世代の反日を叫ぶ声は聞こえない。

既得権世代の人々は、今年の「三一節」を見てどのように感じるのだろうか。

これまでは「周りが反日を叫ぶので自分も呼応しなければならない」との雰囲気があった。

今後は若者に引っ張られ、こうした雰囲気が失われていくことが望まれる。

今年の大統領演説は
過去よりも未来志向

 尹錫悦大統領は「三一節」で行った演説で、独立運動の精神の継承を強調した。

老後のおひとりさま、保証人対策にPR心託

 尹錫悦大統領は演説で、「104年前の三一万歳運動は、己未独立宣言書と臨時政府憲章に見られるように、国民が主の国、自由な民主国家を立てるための独立運動だった」と規定した。

 さらに

「104年が過ぎた今日、われわれは世界史の変化にまともに準備できず国権を喪失して苦痛を受けた過去を振り返ってみる必要がある」

とし、

「われわれが変化する世界史の流れを正確に読めず、未来を準備できなければ、過去の不幸が繰り返されるのは自明」と述べ、世界史の流れを正確に読み、未来を準備することの重要性を強調した。

 その背景には、文在寅前政権が現実を無視し、北朝鮮の脅威に適切に立ち向かわなかったことがあるのだろう。

文在寅政権は、北朝鮮の核ミサイルの脅威を極小化し、偽りの平和を宣伝して韓国の安全を脅かしてきた。

北朝鮮の核ミサイルの脅威によって、韓国は北朝鮮に従属する国になりかねない危険性を直視する必要がある。

尹錫悦大統領は、それを国権の回復を目指した三一節に合わせて指摘したものと考える。

 日本については

「三一運動から1世紀が過ぎた今、日本は過去の軍国主義侵略者から、われわれと普遍的価値を共有して安保と経済、そしてグローバルアジェンダで協力するパートナーになった」

とし

「特に複合危機と深刻な北の核の脅威など安保危機を克服するための韓日米3カ国協力が(今まで以上に)重要になった」

と強調し、日本とのパートナーシップを前面に打ち出した。

 演説では徴用工問題や慰安婦問題などの懸案には触れず、日本に対して謝罪や反省を要求していると捉えられるような言及もなかった。

 尹錫悦大統領の演説を、文在寅前大統領が2018年に行った三一節の演説と比べれば、後者は独立運動について詳細に述べ、「加害者」「反人倫的人権犯罪」などの表現を用いて日本に反省を促したのと対照的である。

 高麗大学政治外交学科の朴鴻圭(イ・ホンギュ)教授は、三一独立運動の始まりとなった独立運動宣言は、「古い時代の遺物である侵略主義と強権主義が支配する世界観を抜け出し、人道主義と正義が実現される世界観を提示し、日本を包容する知的勇気を発揮した。輝かしい文化知性の灯の下、彼らが先に日本に向かって腕を広げ、その結果、武断統治から文化統治へと転換を引き出した」ものであると指摘する。

 三一独立運動の精神が、尹錫悦大統領に近いか、文在寅前大統領に近いか、朴教授の説明を聞けば自明である。

 また、尹錫悦大統領の精神は、日韓関係で優先すべきものは「過去」ではなく「未来」だとする、前述の全経連調査に表れた若者の認識とも一致する。

 尹錫悦大統領になって以降、過去のしがらみから抜け出し新しい韓国を志向しようという雰囲気が出始めている。

尹錫悦大統領が目指すのは

首脳会談による日韓関係の全面的修復

 尹錫悦大統領が三一節の演説で日本との協力を前面に打ち出したことは、早期に日韓首脳会談を開催し、日韓を緊密な協力関係に引き上げたいとの思惑がにじみ出たものと考えられる。

 日韓首脳会談は、徴用工問題の解決にめどがついた時点で開催されるだろう。

 5月にはG7広島サミットがあり、北朝鮮の核問題が討議されるので尹錫悦大統領も招かれ、日米韓首脳会談が開かれると思われる。

したがって尹錫悦大統領としては、G7以前に日本を訪問、徴用工問題にけりをつけるシナリオを描いていると思われる。

 韓国国内では、2月28日に朴振(パク・チン)外相が元徴用工の遺族と面談、これまでの日韓の協議について説明した。遺族からは肯定的・否定的双方の意見が聞かれたという。


 しかし、2月28日は個人面談でなく、集団での面会だった。それでは、韓国企業などから集められたお金を受け取って終わりにしたいと考える元徴用工とその遺族の本音は聞けないだろう。

 前述の通り、全経連が若者を対象に行った調査でも、政府の解決策について52.4%が日韓関係に肯定的な影響があると評価している。

韓国政府としても、元徴用工の手前、「ぎりぎりまで交渉した」との体裁を繕う必要があるが、解決策の最終的とりまとめに近づいているように思う。

 今年の3・1独立運動記念日は、新しい日韓関係の創造に向けた大きなステップだったように思われる。

(元駐韓国特命全権大使 武藤正敏)