勝又壽良のワールドビュー
好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。
韓国、「怨恨」徴用工賠償問題、左派が政権取れば“第二の慰安婦合意破棄”「可能性」
2023年03月07日
- 韓国経済ニュース時評日本経済ニュース時評
韓国左派は、今回の旧徴用工賠償問題が韓国財団による「第三者弁済」になることで猛烈な非難をしている。
左派が政権に付けば、この決定を破棄しかねないほどの反発を見せているのだ。
今回は、韓国政府独自の決定であるから、簡単にひっくり返される可能性を残している。
韓国左派の機関紙的存在であるメディアの社説を見ておきたい。
『ハンギョレ新聞』(3月6日付)は、「加害者と被害者の位置逆転させた尹政権の強制動員『解決策』」と題する社説を掲載した。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は6日、「第三者弁済」方式の強制動員被害者問題の「解決策」を発表する予定だ。
韓国企業が日本の加害企業に代わって被害者に賠償する案だ。
加害企業は謝罪も、賠償も、参加もしない。
(1)「韓国政府が「解決策」として示した「第三者債務引受」案とは、最高裁(大法院)確定判決により賠償責任を負った日本の加害戦犯企業の債務を韓国の日帝強制動員被害者支援財団が引き受け、1965年の韓日請求権協定で恩恵を受けたポスコなどの韓国企業を相手に寄付金を募り、被害者に配るというものだ。
加害者は「対岸の火事」を見物するだけで、被害者同士が慌ただしく動いている格好だ。尹錫悦政権はこの金を「判決金」と呼ぶ。言語道断だ」
旧徴用工賠償に関する韓国大法院(最高裁)判決は、国際法違反判決である。
司法が条約に関して判決を下すことは国際的に忌避されている。
これは、「司法自制の原則」と言われているものだ。大法院は、文大統領の意向を忖度し、このような違法判決を下したのである。
日本が、韓国の違法判決に従う義務はない。韓国国内の問題なのだ。
韓国政府は1965年、日本から無償3億ドルを受取りながら、徴用工に支払わず「ネコババ」したのが事件の発端である。
日本を批判する前に、自国政府を責めるべきなのだ。
(2)「2018年の最高裁判決は、韓日請求権協定が国家を対象にしたものであるため、「大韓民国国民個人の請求権が消滅したわけではない」として、三菱など戦犯企業が被害者個人に「違法行為に伴う損害賠償」の責任を果たすべきだと明示した。
今回の「解法策」によって、政府は最高裁の判決を全面否定しているわけだ。
また「植民支配は違法」という大韓民国の憲法秩序を政府自ら損ねている。
韓国の全経連と日本の経団連の「未来青年基金」造成案は、論点が大きくずれている。
強制動員の被害と、韓日企業の奨学金をもらって日本に留学することに一体何の関係があるというのか。
典型的な争点ぼかしに過ぎない」
もともと、大法院の判決が無効である。
自国の最高裁が、こうした判決を出したことを恥じ入るべきであろう。
1965年に解決済みの問題が、50年以上も経って持出されることは国家としての在り方を問われているのだ。
(3)「このような「解法策」を示した理由は分からなくもない。
安全保障分野における韓米日安保協力、輸出規制の緩和、韓日関係の解決などが急がれるのに、日本はびくともしない。
しかし、白旗を掲げる「解決策」はむしろ韓日関係をさらに悪化させる恐れがある。
2015年12月28日、朴槿恵(パク・クネ)政権と安倍晋三政権の「慰安婦合意」当時も今回と似通った状況だった。なぜ失敗から教訓を得られないのか」
下線部は、重要である。左派が政権に付けば再び、第二の「慰安婦合意破棄」に持込むであろう。
これが、どれだけ日本の韓国観を冷ややかにするか。
これについて、考えたことはあるだろうか。
韓国左派は、民族主義に凝り固まっており、外交音痴ぶりは明白である。
それを証明する「寄稿」を紹介したい。
「合同演習に日本を引き込んではならない。『韓米日共同訓練』はますます既成事実化する雰囲気だ。
日本の合同演習への参加は、対北朝鮮を越えて朝鮮半島に対する軍事介入を意味する。
複数の政府にわたって熟慮した上で決定されなければならない事案だ」(3月5日付『ハンギョレ新聞』寄稿
筆者はムン・ジャンリョル元国防大学教授)である。
日本が、朝鮮半島へ自衛隊を送る可能性はゼロである。こういう言分は、時代錯誤の典型である。
(4)「韓国政府が強制動員問題の解決策をまとめれば、岸田文雄首相が歴史に対する反省が盛り込まれた過去の談話の継承を表明する方向で調整に入ったと、読売新聞が4日付で報じた。日本政府はこれまで、過去の談話を継承しないと言ったことがない。日本政府の方針は、韓国政府が「解決策を用意すれば」、日本の首相は「これまで通り」(過去の談話を継承すると)述べるという意味だ。政府はこれまで強制動員賠償問題の解決に向けた日本の「誠意ある呼応」を求めてきたが、むしろ韓国の方が日本に「誠意ある呼応」を示し、日本の処分を待っている格好だ。歴史問題は「速度戦」では解決できない。歴史は一介の政権の専有物ではない」
こういう論調の韓国左派メディアは、大法院判決が国際的に笑い者であることを知らないで、自国の正統性を主張している。何とも不可思議な主張に映るのだ。
韓国の法律専門家は、大法院判決が、国際司法の場に持出されれば敗北すると認めているのだ。視野を広く持つべきであろう。
こういう論調の韓国左派メディアは、大法院判決が国際的に笑い者であることを知らないで、自国の正統性を主張している。何とも不可思議な主張に映るのだ。韓国の法律専門家は、大法院判決が、国際司法の場に持出されれば敗北すると認めているのだ。視野を広く持つべきであろう。