日本と世界

世界の中の日本

近衛上奏文 昭和20年2月14日

2023-03-04 17:02:29 | 日記
近衛上奏文

近衛上奏文 昭和20年2月14日
 近衛上奏文

 敗戦は遺憾ながら最早必至なりと存侯
 以下此の前提の下に申述べ侯、

 敗戦は我国体の瑕瑾たるべきも、英米の輿論は今日までのところ、国体の変更とまでは進み居らず、(勿論一部には過激論あり、又将来いかに変化するやは測知し難し)随て敗戦だけならば、国体上はさまで憂うる要なしと存侯。 国体護持の立前より最も憂うべきは、敗戦よりも、敗戦に伴うて起ることあるべき共産革命に侯。

 つらつら思うに我国内外の情勢は、今や共産革命に向って急速に進行しつつありと存侯。即ち国外に於ては、ソ連の異常なる進出に御座侯。我国民はソ連の意図は的確に把握し居らず、 かの一九三五年人民戦線戦術、即ち二段革命戦術採用以来、殊に最近コミンテルン解散以来、赤化の危険を軽視する傾向顕著なるが、これは皮相且安易なる見方と存侯。ソ連は究極に於て世界赤化政策を捨てざることは、最近欧洲諸国に対する露骨なる策動により、 明瞭となりつつある次第に御座侯。

 ソ遅は欧洲に於て、其の局辺諸国にはソピエット的政権を、爾余の諸国には少くとも親ソ容共政権を樹立せんとし、着々其の工作を進め、現に大部分成功を見つつある現状に有之侯。ユーゴのチトー政権は、その最も典型的な具体表現に御座侯。ポーランドに対しては、 予めソ連内に準備せるポーランド愛国者連盟を中心に新政権を樹立し、在英亡命政権を問題とせず押切侯。

 ルーマニア、ブルガリア、フィンランドに対する休戦条件を見るに、内政不干渉の原則に立ちつつも、ヒットラー支持団体の解散を要求し、実際上ソビエット政権に非ざれば、存在し得ざる如く強要致侯。 イランに対しては、石油利権の要求に応ぜざるの故を以て、 内閣総辞職を強要致侯。スウェーデンがソ連との国交開始を提議せるに対し、ソ連はスウェーデン政権を以て、親枢軸的なりとて一蹴し、これがため外相の辞職を余儀なくせしめ侯。

 占頷下のフランス、ベルギー、オランダに於ては、対独戦に利用せる武装蜂起団と、政府との間に深刻なる斗争が続けられ、且つこれら諸国は、何れも政治的危機に見舞われつつあり、而してこれら武装団を指導しつつあるものは、主として共産系に御座侯。 ドイツに対してはポーランドに於けると同じく已に準備せる自由ドイツ委員会を中心に、新政権を樹立せんとする意図なるべく、これは英米に取り今日頭痛の種なりと存ぜられ侯。(P148-P149)

 ソ連はかくの如く、欧洲諸国に対し、表面は内政不干渉の足場を取るも、事実に於ては極度の内政干渉をなし、国内政治を親ソ的方向に引きずちんと致居候。ソ連のこの意図は、東亜に対しても亦同様にして、現に延安にはモスコーより来れる岡野を中心に、 日本解放連盟組織せられ、朝鮮独立同盟、朝鮮義勇軍、台湾先鋒隊等と連絡、日本に呼びかけ居候。

 かくの如き形勢より推して考うるに、ソ連はやがて日本の内政に、干渉し来る危険十分ありと存ぜられ侯。(即ち共産党公認、ドゴール政府、バドリオ政府に要求せし如く、共産主義者の入閣、治安維持法及び、防共協定の廃止等々)

 翻って国内を見るに、共産革命達成のあらゆる条件、日々具備せられ行く観有之侯。即ち生活の窮乏、労働者発言権の増大、英米に対する敵慨心昂揚の反面たる親ソ気分、軍部内一味の革新運動、これに便乗する所謂新官僚の運動、 及びこれを背後より操りつつある左翼分子の暗躍等に御座侯。

 右の内特に憂慮すべきは、軍部内一味の革新運動に有之侯。少壮軍人の多数は、我国体と共産主義は両立するものなりと信じ居るものの如く、軍部内革新論の基調も亦ここにありと存侯。皇族方の中にも、 此の主張に耳を傾けられるる方あり、と仄聞いたし侯。

 職業軍人の大部分は、中以下の家庭出身者にして、その多くは共産主義主張を受け入れ易き境遇にあり、又彼等は軍隊教育に於て、国体観念だけは徹底的に叩き込まれ居るを以て、共産分子は国体と共産主義の両立論を以て、 彼等を引きずらんとしつつあるものに御座侯。

 抑々満洲事変、支那事変を起し、これを拡大して遂に大東亜戦争にまで導き来れるは、これら軍部内の意識的計画なりしこと、今や明瞭なりと存侯。 満洲事変当時、彼等が事変の目的は国内革新にありと公言せるは、有名なる事実に御座侯。支那事変当時も、「事変永引くがよろしく、事変解決せば国内革新はできなくなる」と公言せしは、此の一味の中心的人物に御座侯。

 これら軍部内一部の者の革新論の狙いは、必ずしも、共産革命に非ずとするも、これを取巻く一部官僚及び民間有志(之を右翼というも可、左翼というも可なり、所謂右翼は国体の衣を着けたる共産主義者なり)は、 意識的に共産革命にまで引ずらんとする意図を包蔵しおり、無智単純なる軍人、これに躍らされたりと見て大過なしと存侯。

 この事は過去五十年間、軍部、官僚、右翼、左翼の多方面に亘り交友を有せし不肖が、最近静かに反省して到違したる結論にして、此の結論の鏡にかけて、過去十年間の動きを照らし見る時、そこに思い当る節々頗る多きを、感ずる次第に御座侯。

 不肖は、この間に二度まで組閣の大命を拝したるが、国内の相剋摩擦を避けんがため、できるだけこれら革新論者の主張を容れて、挙国一体の実を挙げんと焦慮せる結果、彼等の主張の背後に潜める意図を十分看取する能わざりしは、全く不明の致す所にして、 何とも申訳無之、深く責任を感ずる次第に御座侯。

 昨今戦局の危急を告ぐると共に、一億玉砕を叫ぶ声、次第に勢を加えつつありと存侯。かかる主張をなす者は所謂右翼者流なるも、背後よりこれを煽動しつつあるは、これによりて国内を混乱に陥れ、遂に革命の目釣を達せんとする共産分子なりと睨み居候。 一方に於て徹底的米英撃滅を唱う反面、親ソ的空気は次第に濃厚になりつつある様に御座侯。(P149-P150)

 軍部の一部には、いかなる犠牲を払いても、ソ遅と手を握るべしとさえ論ずる者もあり、又延安との提携を考え居る者もありとのごとに御座侯。以上の如く、国の内外を通じ共産革命に進むべき、凡ゆる好条件が日一日と成長しつつあり、 今後戦局益々不利ともならばこの形勢は急速に進展致すべくと存侯。

 戦局への前途につき、何らか一縷でも打開の望みありというならば、格別なれど、敗戦必至の前提の下に論ずれば、勝利の見込なき戦争をこれ以上継続するは、全く共産党の手に乗るものと存侯。随って国体護持の立場よりすれば、 一日も速に戦争終結の方途を、講ずべきものなりと確信仕侯。

 戦争終結に対する最大の障害は、満洲事変以来今日の事態にまで時局を推進し来りし、軍部内のかの一味の存在なりと存候。彼等は已に戦争遂行の自信を失いおるも、今までの面目上、飽くまで抵抗可致者と存ぜられ侯。

 もしこの一味を一掃せずして、早急に戦争終結の手を打つ時は、右翼左翼の民間有志、この一味と饗応して国内に大混乱を惹起し、所期の目的を達成し難き恐れ有之侯。従て戦争を終結せんとすれば、先ずその前提として、此の一味の一掃が肝要に御座侯。

 此の一味さえ一掃せらるれば、便乗の官僚並びに右翼左翼の民間分子も影を潜むべく候。蓋し彼等は未だ大なる勢力を結成し居らず、軍部を利用して野望を達せんとするものに他ならざるが故に、その本を絶てば、枝葉は自ら枯るるものとなりと存侯。

 尚これは少々希望的観測かは知れず侯えども、もしこれら一味が一掃せらるる時は、軍部の相貌は一変し、米英及び重慶の空気は緩和するに非ざるか。元来米英及び重慶の目標は、日本軍閥の打倒にありと申し居るも、軍部の性格が変り、 その政策が改らぱ、彼等としても戦争の継続につき、考慮する様になりはせずやと思われ侯。

 それはとも角として、此の一味を一掃し、軍部の建て直しを実行することは、共産革命より日本を救う前提先決条件なれば、非常の勇断をこそ望ましく奉存侯。

(『論争』1962年8月号)

任命の歴史的経緯 ( 韓国最高裁長官に人権派の金命洙氏)

2023-03-04 16:19:26 | 日記
韓国最高裁長官に人権派の金命洙氏 徴用工裁判へ影響も
人事案承認、政権は安堵

2017年9月21日 23:33

【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の国会は21日、大法院長(最高裁判所長官)に金命洙(キム・ミョンス)前春川地方裁判所長を任命する人事への同意案を可決した。

地裁の判事をいきなり最高裁の長官に任命

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が指名した金氏は人権派の判事として知られる。過去2代の保守政権下で最高裁は日本統治時代に朝鮮半島から動員された徴用工についての判決を見送ってきたが、金氏の就任で裁判への影響を指摘する声もある。

金氏は地裁、高裁の判事を歴任し、2016年に春川地裁の裁判所長に就任した。

人事聴聞会の報告書では「実務に精通した適任者」との肯定評価と、文政権に近い進歩的な政治信条から「司法の中立性」を疑問視する否定評価が併記された。

人事聴聞会での事前の書面答弁書で金氏は、12年5月に最高裁が1965年の日韓請求権協定にかかわらず、元徴用工個人の請求権は消えていないとの判断を示し、それを機に三菱重工業など日本企業が韓国の地裁や高裁で敗訴している現状を説明。ただ、個人的な見解には言及しなかった。

従軍慰安婦問題も「国民の一人として、被害者の傷を癒やす方法が速やかに設けられることを心から願う」と述べるにとどめた。

金氏を指名した文大統領は8月の記者会見で、最高裁の判断を引用し「韓国政府もそのような立場で臨んでいる」と発言。

日本との間で徴用工問題は解決済み、との歴代政権の認識を覆した。その後の安倍晋三首相との電話で「国家間では解決済みという、これまでの韓国政府と同じ立場だ」と述べ、問題の沈静化に動いたが、最高裁の判断を尊重する姿勢は崩していない。

最高裁では現在、元徴用工らが三菱重工と新日鉄住金を相手取った損害賠償訴訟3件が審理中。文氏は7日の安倍首相との会談で「裁判で合理的な結論が出るとみている」と伝えている。

金氏は「法理を適用して結論を出すだけ」と語るが、判決次第では日韓関係に影響する恐れもある。

金氏の人事案が採決されたことで、文政権や与党「共に民主党」には安堵が広がっている。

憲法裁判所長、中小ベンチャー企業相と、文氏が指名した主要ポストの候補者が野党の反対で続けて就任できない状況となっており、文氏自らキャスチングボートを握る中道系野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表に協力を要請していた。与党との全面対決は避けたい国民の党の多くの議員が賛成に回った。

「徴用工問題」の原因は日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定を韓国最高裁が否認したことにあります。

2023-03-04 15:58:02 | 日記
鈴置高史論文の論点


「徴用工問題」の原因は日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定を韓国最高裁が否認したことにあります。

最高裁は判決で日本企業に「不当な植民地支配下で働かされた朝鮮人労働者に賠償せよ」と求めました。

賠償に応じれば、正常化交渉で日本が認めなかった植民地支配の不法性を認めたことになるという見え透いた罠でした。

 この判決は条約を否定する国際法違反と尹錫悦政権も分かっている。

判決など無視して「徴用工」に対し、韓国政府がカネを払えば済む話なのです。

ところが「誠意ある呼応措置」と称して日本に植民地支配の不法性を認めさせようとしている。新たな「罠」です。

 左翼政権だろうと保守政権だろうと、「植民地支配は不法だった」つまり「我が国は法的に植民地になった歴史はない」ことにしたいのは同じなのです。

フランスは18世紀末の時点でヨーロッパではロシアに次ぐ大きさの人口ブロック

2023-03-04 15:46:34 | 日記
ナポレオン戦争以前のヨーロッパの絶対主義諸国は、傭兵を主体とした軍隊を有していた。

フランス革命を経たフランス軍は、革命の成果たる共和国を防衛しようという意識に燃えた一般国民からなる国民軍へと変質していった。

フランスは18世紀末の時点でヨーロッパではロシアに次ぐ大きさの人口ブロックであったため、徴兵制度の実施において有利であった。

だがナポレオン戦争の過程でドイツをはじめとする各国にも国家主義の運動が高まり、戦争後期には各国軍とも国民軍の性格を強めた。

世界で少子化対策に成功した実例集 〜フランス〜

2023-03-04 15:34:12 | 日記
4,世界で少子化対策に成功した実例集 〜フランス〜

2)フランス
フランスは、1世紀にわたり少子化に取り組んできた国です。
出産育児にかかわる問題をひとつづつ解決し、たえず家族政策の改革、改善に取り組むことにより、少子化問題に向き合おうとしています。
 

グラフ24
 
フランスの社会制度は、「産めば産むほど有利なシステム」になっています。
 
○家族手当
所得制限なしで、2子以上を養育する家庭に給付される。20歳になるまで、こどもの数によって支給されます。
日本の児童手当と近いですが、1子の家庭には支給されない点が違います。
 
○N分N乗方式
子育て世代、特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して、大幅な所得税減税がなされ有利な仕組みになっています。
 
○家族補足手当
第3子から支給される。所得制限はありますが、制限は緩やかなので多くの世帯が受給しています。
 
○年金加算
子どもを3人養育すると年金が10%加算されます。
 
○職業自由選択補足手当
子育ての為に仕事を全面的に休むのか、週4日や3日勤務、午後3時までと言ったように時間短縮するかなど、個人に合わせて労働の有無や、労働時間数を選択することができる。
 
○保育方法自由選択補足手当
保育ママに子どもを預ける場合に支給されます。
 
○出産費用
産科の受診料、検診費、出生前診断、出産費用など妊娠出産から産後のリハビリテーションを含め無料。
 
○父親の出産休暇
母と同様の有給扱いで賃金の80%が保障されています。
 
○不妊治療と人工中絶
治療は公費で行われていますが、43歳までと年齢制限があります。
 
○高校までの学費は原則無料となっています。
公立大学の学費も、数万程度の登録手続き費と健康保険料のみで、ほぼ無料です。
また、多くの学生が奨学金を支給されています。
学費や教育費にお金がかかるから子どもを産まないという考え方は、ほとんど存在しないといえるでしょう。
 
○事実婚と婚外子
フランスでは、ユニオンリーブル(自由縁組み)というカップルの生き方が一般化しています。
法律婚にとらわれないカップルが社会的に認知されるようになった背景には、フランス人の家族観とそれに伴う法の整備があげられます。
1970年に6%だった婚外子が、1980年代半ばから急速に増加し、2008年52%に達しました。
産まれるこどもの半分が婚外子となり、社会的な受容度は高くなっています。
婚外子の法律についても、自然子(非嫡出子)の権利は嫡出子と同じになり、嫡出子、自然子という用語そのものが民法から削除されました。
 
○保育サービス
公立保育所の充足率は低いですが、3歳までは自宅で子どもをみてくれる認定保育ママや低額のベビーシッターが比較的簡単に利用できます。
3歳以上になると公立の保育学校に入学できるようになり、保育学校は初等教育体系に位置づけられている為、100%就学保障されています。
 
○余暇保育
日本の学童に相当するものです。
ほほとんど費用がかからない仕組みになっています。
 
3)家族政策は少子化に有効なのか
スウェーデンとフランスでは、家族計画は一定の効果を上げたようです。
しかし、この二つの国の政策は、十分に手厚く、とても長い時間をかけて行われており、その成果がやっとこの程度の回復をもたらしたと言えます。
他の国を見てみると、ドイツは同様に家族政策に力を入れていますが、合成特殊出生率は1.4(2010年)です。
ドイツの問題点は、理想子ども数が、人口置き換え水準を割ってしまっていることです。
これは低出生率が「文化」になってしまったと言うことで、回復は非常に困難と言わざるを得ないでしょう。
日本の場合は、多くの人が、実は結婚と出産を望んでいます。一方、出生率の低下を食い止める有効な対策はほとんどなされていません。
逆に言うと、やる事がたくさん残っていますから、既に対策済みだがなかなか回復しない国々に比べるとまだ期待が持てるとも言えます。
OECDが2005年に行った、家族政策による出生率回復シミュレーションによると、日本は、提言された4つの主要な育児支援・両立対策を強化した場合、合計特殊出生率は2.0まで回復するとされました。
 
①育児費用のため税金の控除や児童手当の増額を行うこと
②育児休暇期間を延長すること
③正式な保育施設を整備強化すること
④フルタイム就業に比較して少ないパートタイム就業機会を増やすこと
 
このうち、日本は①~③までが程度が低く、①、③を改善すれば回復するということです。
まだまだ不十分なこれらの対策を十分行うようにするべきです。
家族政策が、低出生率の改善に有効かどうかは、はっきりしませんが、少なくとも日本の場合は、多少の効果が見られる可能性があると言えると思います。