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韓国、なぜ反日から日本人ウェルカムに大転換?「ノー・ジャパン」を諦めた経済的な理由=勝又壽良

2023-03-19 17:13:17 | 日記
韓国、なぜ反日から日本人ウェルカムに大転換?「ノー・ジャパン」を諦めた経済的な理由=勝又壽良

2023年2月9日ニュース出生率低下に矛楯噴出

韓国は、「国が消える」という切羽詰まった事態に遭遇している。

合計特殊出生率が、史上最低の「0.81」(2021年)に落ち込んでいるからだ。

この危機的な状況下にありながら、文政権は何らの手も打たずに傍観していた。

それよりも、南北接近に政治的な情熱を傾けていたのだ。

こういう異常な出生減状況を打破するには、年功序列賃金の是正が大きなテコになるであろう。

それは、年功序列賃金の是正によって転職市場が広がることである。

自由に転職できる環境ができれば、「自営業」という不安定な状況から抜け出して、「雇用者」という身分が保証される場所を得られるからだ。

韓国の自営業者比率は、24.64%(2019年)である。

GDP世界10位の韓国には、似つかわしくない不釣り合いなデータである。

年功序列賃金のもたらす歪みが、こういう形で噴出していると見るほかない。

就業構造の前近代性をものの見事に現しているデータと言うべきだ。

年功序列賃金制が崩れれば、終身雇用制も意味をなさなくなる。

新入社員と退職直前社員との給料差が、EUのように1.65倍程度に縮小されれば、1つの企業に「粘っている」こともなくなろう。

自分の適職を求めて移動を始める。それが、韓国の雇用構造を変えるのだ。

同時に、若い時代に「貧乏生活」を余儀なくされるケースも減って、結婚・出産がより可能になるであろう。

就職して、従来よりも高い給与が得られれば、親が学費の面倒を見る必要も減る。

学生ローンを就職後に払える余裕が生まれるからだ。

年功序列賃金制の見直しは、従来の桎梏を解きほぐす有力な手段になる。

本人はもちろんのこと、親も経済的に助かるはずだ。

韓国では、老後資金の蓄えがほとんどない層が増えている。

子どもの教育費や結婚資金に使い果たしたのが理由である。

韓国労組は、年功序列賃金制の見直しに強力なストライキを構えて対抗するであろう。

既得権益を守る立場からだ。

企業が、この反対運動に屈して従来の路線を踏襲すれば、韓国の未来はゼロになろう。

韓国は2019年夏に「ノー・ジャパン」の狼煙を上げて反日不買運動を大々的に行なった。

その韓国が、今や様変りである。

各自治体が続々と日本に向かっている。

韓国の観光名所を広報し、投資誘致に乗り出しているからだ。

その背景には、韓国経済を支える「輸出」の異変がある。(『 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

(『 勝又壽良の経済時評 』勝又壽良)

【関連】韓国、世界一の「借金癖」で3回目の通貨危機へ。救済されてもまた繰り返す=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2023年2月6日号の一部抜粋です。


プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

「ノー・ジャパン」から大転換?

韓国が、2019年夏に「ノー・ジャパン」の狼煙を上げて反日不買運動を大々的に行なった。

ソウルのメインストリートには一時、「ノー・ジャパン」

「ノー・安倍」という幟が立てられる騒ぎまでに発展。

文在寅大統領(当時)は、「二度と日本に負けない」と感情むき出しの発言をするほどエスカレートした。

その韓国が、今や様変りである。

各自治体が続々と日本に向かっている。韓国の観光名所を広報し、投資誘致に乗り出しているからだ。

昨年10月、東京で開かれたクルーズ・ポートセールスでは、世界18カ国の船会社やクルーズ旅行会社などが参加した行事では、韓国からも多くの自治体が参加した。

釜山市、仁川市、済州島(チェジュド)、忠南(チュンナム)、瑞山市(ソサンシ)などだ。

韓国の自治体は、観光名所や祭りなどを紹介した。


反日からウェルカムへ……その背景は?


韓国の自治体が、ここまで「反日の旗」を降ろした裏には、韓国経済の落ち込みがある。

もはや「ノー・ジャパン」とは言っていられないほど、内需の低迷が明らかである。

IMF(国際通貨基金)による23年韓国経済見通しが、3回も連続下方修正されるなど悪化している点に窺えるのだ。

IMFは1月31日、今年の世界主要国の経済成長率の予測値を上方修正した。

だが、韓国経済の成長率は、昨年7月、昨年10月、今年1月と予測値を発表するたびに引き下げている。

つまり、2.1%→2.0%→1.7%である。

これに対して、主要国では次の通り上方修正されている。

米国(1%→1.4%)、中国(4.4%→5.2%)、ドイツ(マイナス0.7%→0.1%)、日本(1.6→1.8%)など、相次いで上方修正された。

これらに比べても、韓国の連続引き下げは「重症」と見るべきであろう。

このIMFの予測の中で、最もショックなのは韓国が、日本の予測値を下回ったことである。

IMFの予測が現実となれば、日本と韓国の成長率が通貨危機(1998年)以来25年ぶりに逆転する。

過去65年間で韓国の成長率が日本より低かったのは、1980年のオイルショックと1998年の通貨危機だけだった。

日本が長い間、低成長経済を経験しているが、韓国はそれよりも低い成長率を記録するとなれば、並大抵の危機ではないという認識をしているのである。

潜在的な経済成長率を示唆する「生産年齢人口比率」(2021年)は、日本(58.44%)、韓国(71.46%)である。

韓国は、日本を13ポイントも上回っている。

それにも関わらず、23年のGDP成長率が逆転すれば、韓国経済に「異常事態」が起こっていると疑って見ることが正しいはずだ。

GDPは輸出が支える

韓国の人口は、5,174万人(2021年)である。

世界28位の人口規模で、実質GDPは10位(2021年)という高ランクに位置している。

これは、輸出で経済規模を嵩上げしてきたことを示唆する。

事実、韓国輸出の対GDP比は、36.14%(2021年)と高く日本15.13%(2021年)を大幅に上回っている。

韓国は、輸出で稼ぎGDPを押し上げているのだ。

輸出で稼げなければ、韓国がGDP世界10位に止まれないことを覗わせている。

問題は今、この輸出で急変が起こっているのだ。

韓国の輸出先1位は中国である。

これまで、中国の輸出が伸びれば、韓国の対中輸出も伸びる関係にあった。

韓国の対中輸出の9割が、中間財であることで、その関係性を示している。

ところが、中国は2015年に発表した「中国製造2025」で、大規模な輸入代替策に転換した。

つまり、中国製造業の自給率向上によって、海外からの輸入を国内生産で賄う「輸入代替」で、中間財輸入を減らしているのだ。

韓国は、この事態の急変に気づかなかったもの。

これまで、中国のGDPが1%ポイント伸びれば、韓国のGDPも0.5%ポイントの増加と見込まれていた。

最近では、韓国は0.2%ポイントへと低下していることが分かってきた。

0.12%ポイントという厳しい試算も出ているほどだ。


中国に代わる市場を探す必要
韓国は、こういう局面転換を迎えて大慌てしている。

中国に代わる市場を探さねばならなくなっているのである。

韓国が2022年、最も多くの貿易黒字をあげた国はベトナムだ。

最大の貿易相手国である中国は、黒字の規模で22位にまで低下した。

中国が、2018年時点で韓国にとって黒字1位であったことを考えると深刻な事態だ。

ベトナムの人口は、9,747万人(2021年)である。

中国河南省に匹敵する人口のベトナムが、14億人規模の全中国をカバーできるはずもない。

韓国が、短期的に「ネクスト・チャイナ」を構築することは極めて難しい問題である。

今回韓国では、「輸出不振を克服するために根本的な変化が必要」と強調するものの、具体的な代案がないのだ。

韓国は最近、アラブ諸国で大口の輸出商談をまとめている。

だが、中国の穴をカバーするまでにはなっていない。

中国の人口高齢化に備えて、高齢者サービス市場へ積極的に進出しなければならない、という提言も出ている。

この面では、日本が中国ではるかに先行しているのだ。

韓国経済のガンは年功序列賃金制

韓国は、輸出に支えられた経済である。

全輸出の25%も占めていた中国に異変が起これば、当面は内需でカバーするほかない。

内需の柱と言えば個人消費(民間最終消費支出)である。

その名目個人消費の対GDP比が46.14%(2021年)と5割に達していないのだ。

日本は53.83%(同)、米国68.21%(同)である。

ついでに、中国を見ると38.37%(同)である。

これは、絶望的なほど低い状態に放置されている。

総資本形成(インフラ投資・民間住宅投資・民間設備投資)が、経済を牽引する発展途上国型経済であり、「未富先老」を地で行っている形だ。

個人消費の対GDP比の多寡は、その国の活力の原点を見せつけている。

米国が7割近い個人消費比率に達しているのは、国内の規制を取り払っている結果であろう。

その点で、日本はまだまだ改善の余地がある。

労働市場の流動化を促進するべく、年功序列賃金と終身雇用制の徹底した見直しが必要だ。

韓国の場合は、日本以上に遅れている。労組の強い抵抗で年功序列賃金の手直しがまったく手つかずの状況にある。

韓国ユン政権は、こうした異常事態にメスを入れようとしている。

年功序列賃金を改めて、職務・成果中心の体系に切り替えるというもの。

韓国では初めての試みだ。

これによって、労働市場二重構造の改善を目指すとしている。

4月に賃金制度の改善企業支援策を発表し、9月には職務・成果中心の賃金体系定着のロードマップを示す計画だ。

韓国大企業で勤続年数30年目の社員は、新入社員に比べて2.87倍の賃金を受け取っている。

日本の場合は2.27倍、EU(欧州連合)では1.65倍に過ぎないという。

日本は、韓国とEUの中間に位置しているが、出生率引き上げにはEU並みのなだらかな賃金上昇カーブに均すことが必要である。

韓国の問題は、日本にも通じる側面があるのだ。

49歳での「早期リタイア」が増加?

韓国企業では、年功賃金制による賃金コストの上昇回避目的で、生産性が劣る中高年労働者を減らそうとしている。

その結果、40代後半~50代前半の年齢で、早期退職が日常化している。平均退職年齢が、49歳という「早期リタイア」になっているのだ。

強力な労組のため人員削減が難しい大企業や公企業では、代替案として青壮年の新規採用を減らすので企業組織が老化する事態を招いている。

このように、長い目で見れば企業や労働者の双方に利益にならない年功序列賃金が、労組による既得権益主義の反対で手つかずにきたのだ。

政府委員会は、賃金体系を職務・成果給制へ変えた企業に対し、税制上のインセンティブを与えるという。

一方、年功序列賃金を固守する企業には、税制上の不利益を与えることを検討する。

企業は、法人税の優遇措置が受けられるかどうかという選択を迫られよう。

若者世代は、圧倒的に「生産性に見合った賃金」を要望している。

韓国も、ようやくその方向へ動き出すのかどうか。分岐点に来ている。

出生率低下に矛楯噴出

韓国は、「国が消える」という切羽詰まった事態に遭遇している。

合計特殊出生率が、史上最低の「0.81」(2021年)に落ち込んでいるからだ。

この危機的な状況下にありながら、文政権は何らの手も打たずに傍観していた。

それよりも、南北接近に政治的な情熱を傾けていたのだ。

こういう異常な出生減状況を打破するには、年功序列賃金の是正が大きなテコになるであろう。

それは、年功序列賃金の是正によって転職市場が広がることである。

自由に転職できる環境ができれば、「自営業」という不安定な状況から抜け出して、「雇用者」という身分が保証される場所を得られるからだ。

韓国の自営業者比率は、24.64%(2019年)である。

GDP世界10位の韓国には、似つかわしくない不釣り合いなデータである。

年功序列賃金のもたらす歪みが、こういう形で噴出していると見るほかない。

就業構造の前近代性をものの見事に現しているデータと言うべきだ。

年功序列賃金制が崩れれば、終身雇用制も意味をなさなくなる。

新入社員と退職直前社員との給料差が、EUのように1.65倍程度に縮小されれば、1つの企業に「粘っている」こともなくなろう。

自分の適職を求めて移動を始める。それが、韓国の雇用構造を変えるのだ。

同時に、若い時代に「貧乏生活」を余儀なくされるケースも減って、結婚・出産がより可能になるであろう。

就職して、従来よりも高い給与が得られれば、親が学費の面倒を見る必要も減る。学生ローンを就職後に払える余裕が生まれるからだ。

年功序列賃金制の見直しは、従来の桎梏を解きほぐす有力な手段になる。

本人はもちろんのこと、親も経済的に助かるはずだ。

韓国では、老後資金の蓄えがほとんどない層が増えている。子どもの教育費や結婚資金に使い果たしたのが理由である。

韓国労組は、年功序列賃金制の見直しに強力なストライキを構えて対抗するであろう。

既得権益を守る立場からだ。企業が、この反対運動に屈して従来の路線を踏襲すれば、韓国の未来はゼロになろう。


韓国経済の柱「半導体輸出」42.5%減の衝撃。12か月連続の貿易赤字で経済成長“急失速”

2023-03-19 16:39:37 | 日記
韓国経済の柱「半導体輸出」42.5%減の衝撃。12か月連続の貿易赤字で経済成長“急失速”

2023年3月9日ニュース

韓国輸出の最新状況を紹介したい。

2023年下半期から韓国輸出は減少傾向にあるにもかかわらず、2022年は半導体特需で過去最高の貿易額を叩き出したこともあって、韓国政府はずっと楽観論で語っていた。

しかし、その楽観論も今年2月で消え去った。

韓国政府は景気後退局面に入ったことを認めたのだ。(『 2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済) 』)

ひどい結果だった2023年2月の貿易統計
まずは概要を書いておこう。

現在の韓国輸出は、2020年3月から8月まで続いた減少傾向に似た状況にある。

2023年2月も減少となり、昨年10月以来5か月連続の減少となった。

輸出は昨年同月に比べて7.5%減の501億ドル、輸入は3.6%増の554億ドル。

貿易収支は53億ドルの赤字を記録した。

1~2月の累積貿易赤字は179億5,000万ドルで、昨年の年間赤字規模(477億8,500万ドル)の38%に達する。

同時に、貿易収支は12か月連続で赤字を記録しており、1年連続の貿易赤字は1995年1月から1997年5月までの最長記録を更新している。

産業通商資源部は、グローバルな景気減速による主要国の輸入需要の減少と半導体価格の下落が原因で、輸出減少傾向が続いていると説明している。

品目別では、半導体輸出が大幅に減少し、対中輸出も24.2%減少している。

自動車の輸出は増加しているが、貿易収支の改善には至っていない。

このように輸出はギリギリ500億ドル台。輸入は554億ドルとなっている。

しかし、累積赤字がひどい…。

179億5,000万ドルで、まだ今年は2か月しか経過していないのに、もう昨年の38%に達しているという。

このように韓国輸出は絶望的な状況が続いているわけだが、次は個別に見ていこう。

韓国の半導体輸出が42.5%も減少

まずは韓国ハンギョレの記事を引用する。

品目別では半導体輸出が42.5%も減少した。

半導体業況の不振による価格下落のためだ。

 韓国の最大の輸出品目である半導体輸出額は59億6千万ドルで、昨年2月に比べて44億ドル減。

この月の全体輸出減少額(41億ドル)を上回る規模だ。

ディスプレイ(-40.9%)やパソコン(-66.4%)など、ほかの情報技術(IT)品目の輸出も振るわなかった。

石油化学の輸出は18.3%減。

一方、自動車の輸出は47.1%増の56億ドルに達し、半導体輸出に匹敵するほどの実績を上げた。

石油製品(12.0%)と二次電池(25.1%)も輸出増加品目に名を連ねた。

出典:韓国の2月の半導体輸出、「-42.5%」…12か月連続で貿易赤字 : 経済 : hankyoreh japan(2023年3月2日配信)

半導体輸出が大幅に減少して、その結果、自動車輸出と大して額が変わらなくなっているのだ。

一方、自動車輸出は増加したが、輸入額と釣り合うには53億ドル足りない。

そもそも、貿易が経済の柱である韓国にとって、ギリギリ貿易黒字になればいいってことはないだろう。経常収支も赤字になりそうな状況である。

地域別では中国への輸出が24%減少

地域別にみるとやはり、中国への輸出が24%減少している。

半導体が39.0%減り、ディスプレイ(-43.5%)、石油化学(-29.5%)も大幅に減少したようだ。

この流れは昨年からずっと続いてるのだが、これが中国の景気回復で持ち直すかどうか。

東南アジア諸国連合(ASEAN)に対する輸出は16.1%減少。

輸出が増えたところは、米国と欧州連合(EU)でそれぞれ16.2%と13.2%増加した。

インド(11.0%)と中東(20.2%)地域への輸出も増えたようだ。まあ、微々たるものである。

このように自動車以外はほとんどダメなのが韓国の輸出状況といえる。

「トランプの本性を隠すのに必死でした」安倍元首相が生前に語っていた"日米外交交渉の舞台裏"

2023-03-19 16:28:28 | 日記
「トランプの本性を隠すのに必死でした」安倍元首相が生前に語っていた"日米外交交渉の舞台裏"

3/17 18:17 配信

2017年2月10日、アメリカのホワイトハウスで共同記者会見を行う安倍首相とトランプ大統領 - 写真=EPA/時事通信フォト

2022年7月8日、選挙演説中に凶弾に撃たれ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相。生前、その肉声を読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏らが聞き取っていた。あまりに機微に触れる――として一度は安倍元首相が刊行を見送った36時間にわたる未公開インタビューをまとめた『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)より、「外交交渉の舞台裏」について紹介する――。

 ※本稿は、安倍晋三【著】、橋本五郎【聞き手】、尾山宏【聞き手・構成】、北村滋【監修】『安倍晋三 回顧録』(中央公論新社)の第9章「揺れる外交 米朝首脳会談、中国「一帯一路」構想、北方領土交渉 2018年」を再編集したものです。
※肩書は当時のものです。

■北朝鮮に制裁を続けるべきだと思っていた

 ――日本は長年、北朝鮮に対して圧力路線で臨んできました。輸出入の全面禁止や船舶の入港禁止といった制裁を行ってきたほか、ミサイル発射に対しては、国連安全保障理事会の非難決議採択を各国に働きかけた経緯があります。韓国側の説明を受けて、日本も対話路線に転換した方がいいと思いましたか。

 私は、制裁を続けるべきだと思っていました。米国の軍事的な圧力は北朝鮮に効いている。だから北朝鮮は韓国の仲介に乗ってくるわけで、もう少し制裁を続けるべきだ、と。でも、トランプはそうではなかった。米朝は直前までツイッターで互いに激しく罵倒し合っていたにもかかわらず、突如として対話路線に舵を切ったわけです。3月、トランプが「金正恩に会う」と明言したので、すぐにトランプと電話で会談しましたが、トランプの頭の中は、すでにディール・モードになっていました。

■トランプ氏は米国の安全保障チームの主張を聞き入れなかった

 ――4月17~18日にかけて米フロリダを訪問し、トランプ氏の別荘で首脳会談を行いました。核・弾道ミサイルの「完全、検証可能かつ不可逆的な廃棄」を目指す方針で一致したと伝えられています。

 私はトランプに、「在韓米軍を撤退させてもらっては困る。米朝首脳会談をやるならば、拉致問題解決の必要性もしっかり言ってもらいたい」と述べました。「完全、検証可能かつ不可逆的な非核化」を意味するCVID(Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization)は、日米共通の目標であり、しっかり実現しなければならない、とも強調しました。実は会談前に、米国の国家安全保障会議(NSC)のメンバーから、「ミスター安倍からトランプに、しっかりCVIDを守るように言ってほしい」と繰り返し要請されていたのです。トランプは米朝首脳会談に前のめりになっていたので、米国の安全保障チームの主張を聞き入れようとしなかったのでしょう。

 でも、この時の会談で、トランプは私の話に対して「分かった」とは言わないのです。大きなディールを控えている時に、俺の背中に荷物を乗せるな、という感じでした。

■警戒されていたが、じつは軍事行動に消極的な人物

 ――史上初の米朝首脳会談は6月12日、シンガポールで行われました。日米首脳は電話会談を繰り返し、6月7日には、ワシントンで再び直接会談しました。頻繁に連絡を取り合ったのは、トランプが安易に妥協して北朝鮮と関係を改善することを危惧したからですか。

 日米が北朝鮮への圧力を主導する。そういう政策を何とかトランプに取ってもらいたかったのです。私は「金正恩が最も恐れているのは、突然トマホークを撃ち込まれて、自分の命、一族の命が失われることだ。武力行使のプレッシャーをかけられるのは、米国だけだ」とトランプに言い続けました。

 トランプは、国際社会で、いきなり軍事行使をするタイプだ、と警戒されていると思いますが、実は全く逆なんです。彼は、根がビジネスマンですから、お金がかかることには慎重でした。お金の勘定で外交・安全保障を考えるわけです。例えば、「米韓合同軍事演習には莫大(ばくだい)なお金がかかっている。もったいない。やめてしまえ」と言うわけです。

■日本海への空母打撃群派遣に反対していた

 米軍が2017年、日本海周辺に空母打撃群を派遣した時も、トランプは当初、私に「空母1隻を移動させるのに、いくらかかっているか知っているか?  私は気にくわない。空母は軍港にとどめておいた方がいい」と言っていたのです。

 確かに、空母打撃群は、空母1隻に加えて、イージス艦や補給艦など数隻の艦艇と、潜水艦や約70機の航空団などで編成されているので、それらの移動には相当の経費がかかるでしょう。でも、私は「いや、空母をパールハーバーやサンディエゴ、横須賀の港に置いておくだけでは、空母の意味がないでしょう。空母打撃群は、海洋で活動するためにあるのです。大西洋、太平洋、インド洋、アラビア海。アメリカの戦略的な利益に合致する場所にいるべきです。たまたま今はその場所が、日本海だということです」と反論したのです。

 そうしたら、トランプは、国家安全保障担当大統領補佐官のハーバート・マクマスターに向かって、「マクマスター、どうなんだよ」と。マクマスターは「安倍さんの言う通りです」と答えていました。それでもトランプは「俺は納得がいかない」とぶつぶつ言っていました。何とかその場は収めてもらいましたが、苦労しました。

■トランプ氏の本性を隠しておこうと必死だった

 しかしもし、「トランプが実は軍事行動に消極的な人物だ」と金正恩が知ってしまったら、圧力が利かなくなってしまいます。だから、絶対に外部には気づかせないようにしなければならなかったのです。「トランプはいざとなったらやるぞ」と北朝鮮に思わせておく必要がありました。私だけでなく、米国の安全保障チームも、トランプの本性を隠しておこうと必死でした。

 米朝首脳会談前に繰り返し対話したのは、CVIDを堅持しようとしたためです。でもなかなかうまくいかない。4月27日に南北首脳会談があり、金正恩は初めて板門店(パンムンジョム)の軍事境界線を越えて韓国に入りました。文在寅韓国大統領は「もう戦争は起きない。朝鮮戦争の終戦を目指す」と言い、米朝首脳会談に向けた環境を整えようとしたわけです。私はトランプに「文在寅は楽観的過ぎる」と言ったのですが、分かってもらえなかった。

■拉致問題の提起を優先しようと決めた

 そこで私は、米朝会談の直前、論点を絞ったのです。CVIDは、そもそも世界が共有している基本的な方針だから、トランプへの要請から外そうと。日本としては、拉致問題の提起を優先しようと決めました。

 私はトランプに、「拉致問題を解決できなければ、北朝鮮支援の金を出せといわれても、日本は出せない。日朝の国交正常化は、普通の国同士の正常化とは事情が全く違う。日本は税金を使って、過去の清算をしなければならない。国民の納得感が得られなければ、支援は無理だ」と話しました。「かつて韓国が『漢江(ハンガン)の奇跡』と呼ばれる経済成長を達成したのも、1965年に結んだ日韓請求権協定・経済協力協定に基づいて、日本が5億ドルを援助したおかげだ」ともね。するとトランプは、日本が北朝鮮を支援するという話に興味を示したんです。

■歴史に名を残すことを考えていたトランプ氏を止められなかった

 ――米朝首脳会談では、CVIDが共同声明に盛り込まれませんでした。北朝鮮が「完全な非核化」に取り組む代わりに、米国は北朝鮮の体制の「安全の保証」を約束しました。ミサイル問題が事実上放置されてしまいました。

 私は核兵器だけでなく、ICBMや中距離ミサイル、生物兵器もすべて廃棄させるべきだとトランプに言っていましたが、トランプは聞く耳を持たなかった。彼にとって、外交は新しい分野であり、北朝鮮問題に長年携わってきたわけでもない。歴史に名を残すことを考えていたトランプを、米国務省、ホワイトハウスの安全保障チーム、そして私も、止められなかったのです。

 ――米朝首脳会談を踏まえ、安倍さんは「拉致問題について北朝鮮と直接向き合う」と述べるようになり、金正恩との直接会談に意欲を示し始めました。対米追従、対米従属といった見方も出ましたが、どう受け止めていましたか。

 対米従属と言われても、米国が米朝首脳会談をやるという決断をしてしまったら、変えられません。トランプの思考は、我々の考えている論理とは違うから、交わらなかったのです。現実に米朝首脳会談が行われるのであれば、それを前提に、我々は最良の選択をするしかなかったのです。米国を批判したって、何の実利も生まれない。ならばこの機会を利用して、拉致問題を何とか前進させることを考えなければならない。トランプは19年2月にもベトナムで金正恩と会談しましたが、その時も拉致問題を取り上げてくれました。

■拉致問題に言及してもらうことが大切だった

 南北首脳会談では文在寅が、19年6月の中朝首脳会談では習近平中国国家主席が、ともに拉致問題の解決を金正恩との会談で提起していました。外交は一対一だけではない。米国だけを見ていても、うまくはいきません。各国にそれぞれ思惑がある中で、多元的に進める必要があります。

 「安倍も所詮、米国頼みかよ」と言われたのだけれど、米国は、日本にはできない戦力投射をやれるわけでしょう。私が、用心棒役のトランプと良好な関係を築いて、「大統領、いざという時は頼みますよ」とお願いすることは、北朝鮮にとっては脅威なわけです。

 私が北朝鮮に「この野郎、ふざけるな」と言ったって、北は、日本が軍事行使できないことを知っているから、「お前なんか、どうせ弱いだろう」と、日本の足元を見てくる。だから、トランプに踏み込んでもらって、彼の口から拉致問題に言及してもらうことが大切だったのです。そうすれば、北朝鮮も日本との関係を正常化しなければならないという意識が強まるでしょう。

■「交渉の情報はすべて私に集約し、判断は私がする」

 ――18年の夏から秋にかけては、北村滋内閣情報官が、モンゴルやベトナムで北朝鮮の情報部門である朝鮮労働党統一戦線部幹部と接触した、と繰り返し報じられました。北朝鮮との交渉にはどのような方針で臨んだのですか。

 北朝鮮は独裁政権ですから、外務省の局長や閣僚レベルで協議を重ねて、首脳合意につなげていく、という一般的な外交交渉が通じません。独裁者1人が判断するのだから、独裁者に近い人物に接触し、日本側の考えを正確に伝えていくことが重要になります。

 拉致は犯罪ですから、基本的に北朝鮮の外務省のテリトリーではないのです。工作員やスパイの情報を扱っている情報部門を交渉相手にしなければならない。その中で、金正恩や、妹の金与正に近い人物を探ったわけです。

 もちろん北朝鮮外務省の中にも、日本との交渉は大事だと考えている人物がいました。例えば、外交官の宋日昊(ソン・イルホ)国交正常化交渉担当大使は、危ない橋は渡ろうとはしないけれど、交渉をまとめようという意欲がありました。日本と関係を改善し、02年に小泉純一郎首相と金正日国防委員会委員長が合意した日朝平壌宣言を履行することになれば、北朝鮮は大きな経済協力を引き出せるわけです。宣言には、無償資金など様々な経済協力が盛り込まれていますから。

 使えるルートはすべて使う。そして、交渉の情報はすべて私に集約し、判断は私がする。そういう考えで臨んでいました。

 ただ、時を経るごとに交渉が難しくなっていくとも感じていました。拉致に関与した関係者は、いなくなっていくわけですから。発生当時にもう少し政治が適切に対処していれば、と悔やまれます。



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安倍 晋三(あべ・しんぞう)
元内閣総理大臣
1954年東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科卒業後、神戸製鋼所勤務、父・安倍晋太郎外相の秘書官を経て、1993年衆議院議員初当選。2003年自由民主党幹事長、2005年内閣官房長官などを歴任。2006年第90代内閣総理大臣に就任し、翌年9月に潰瘍性大腸炎を理由に退陣。2012年12月に第96代内閣総理大臣に就任し、再登板を果たした。2020年9月に持病の悪化で首相を退くまでの連続在職2822日と、第1次内閣を含めた通算在職3188日は、いずれも戦前を含めて歴代最長。2022年7月8日奈良市で参院選の街頭演説中に銃撃され死去。享年67。
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橋本 五郎(はしもと・ごろう)
読売新聞特別編集委員
1946年秋田県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。読売新聞論説委員、政治部長、編集局次長を歴任。2006年より現職。主な著書に『総理の器量』『総理の覚悟』(以上中公新書ラクレ)『範は歴史にあり』『宿命に生き運命に挑む』『「二回半」読む』(以上藤原書店)など。2014年度日本記者クラブ賞受賞。
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尾山 宏(おやま・ひろし)
読売新聞論説副委員長
1966年東京都生まれ。早稲田大学法学部卒。1992年読売新聞社入社。政治部次長、論説委員、編集委員を歴任。2022年より現職。主な共著に『安倍晋三 逆転復活の300日』『安倍官邸VS習近平』(以上新潮社)『安全保障関連法』(信山社)『時代を動かす政治のことば』(東信堂)など。
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北村 滋(きたむら・しげる)
前国家安全保障局長
1956年東京都出身。東京大学法学部を経て、1980年警察庁入庁。2006年内閣総理大臣秘書官、2012年内閣情報官、2019年国家安全保障局長・内閣特別顧問(いずれも安倍内閣)。2020年米国政府から国防総省特別功労章を受章。著書に『情報と国家』『経済安全保障』(以上中央公論新社)など。
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プレジデントオンライン

“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!

2023-03-19 16:05:24 | 日記
2022.09.3

“先進国”韓国が「経済崩壊」のカウントダウンで…! もはや「日本超えできない」“危ないシナリオ”が浮上してきた…!

田中 美蘭ライター

プロフィール


ウォン高、物価高、金利高の「三重苦」に苦しむ韓国で、いま新たに高齢者問題が浮上してきている。

最新の調査では、60代以上の女性で「メンタルの不調」と訴えるケースが急増していて、その原因の一つが「孫育て」だということがわかり、いま話題になっている。

よもや家族を支える高齢者が“離脱”すれば、韓国で新たな家族問題に発達しかねない。

そこへ追い打ちをかけるように、韓国では高齢者をめぐって新たな問題も浮上してきた。

「先進国」になったと騒ぐ韓国にあって、いま危ない危機が進行し始めているわけだ。

その最前線をレポートしよう。

高齢女性たちの「深刻すぎる貧困問題」

韓国では、高齢世代の女性たちの「貧困問題」も深刻化している。

映画『ミナリ』でアカデミー賞助演女優賞を獲得したユン・ヨジョンが主演を務めた『バッカスレディ』は、生活のために売春を行う高齢女性の姿を赤裸々に描いた作品である。

「バッカス」は韓国を代表する栄養ドリンク剤の名前であり、ソウルなど都市部の高齢者が集まる場所に現れ、「バッカス」を中高年相手に売りながら、売春を行うというというものである。

一見すると都市伝説のような話であるが、現実であるからこそ、映画にもなり、社会問題としても注目されるのである。

年金、金利、不動産、高齢労働…

最近では高齢女性に限らず、高齢男性がタクシー運転手や配達員、警備員などをして働く姿も目にする。

かつての韓国では50代で仕事をリタイヤするケースがほとんどであった。

それでも、今とは比較にならないほど、物価は安く、銀行の金利は高かった時代でもあり、小さくとも不動産を所有し、それを貸し出すことで得た収入の利息でも受けて蓄えを増やす人も多かった。

そして、老後の生活や介護は子ども、特に長男が無条件に見ることが当然のこととされていた。

つまり、「年金や蓄えがなくとも子どもがいれば何も心配はない」ということだったのだ。

しかし、現在ではどうであろうか――。

子どもたちも自分の生活を支えていくだけで精一杯であるうえに、とても高齢の親の家計や介護までを担うことは困難である。

500万世帯に迫る「独居高齢者」

年金制度も開始されて30年ほどで、公務員や教員、軍人といった一部の職業を除けばあとは国民年金であり、その支給額にはやはり大きな差がある。

このため、現在、60代以上の高齢者は少しでの生活の足しを得るために、働かざるを得ない状況なのである。
また、独居高齢者の数は2020年に161万8000世帯で、年々増加傾向にあり、30年後の2050年頃には467万1000世帯にまで増えると見られている。
この背景には、核家族化が進んだことや、日本でいうところの「熟年離婚」の増加が挙げられる。

女性が結婚生活に不満や理不尽さを感じても、昔であれば「離婚はマイナスイメージ」というのが強い上に、女性が一人で生きていくことはほぼ不可能であり、じっと耐えるしかできなかった。
それが、今では迷わず離婚を選ぶことも普通になった。

完全に崩壊した「人生のモデルケース」
とはいえ、公的年金や高齢者向けの職業斡旋も充実しているとは言い難い。

まして、家族や親族に頼ることが当たり前であった韓国で、いまや子どもに頼ることもできず、高齢者たちにとっては非常に厳しい時代であるといえる。

韓国のみならず、中国でも長きにわたる「一人っ子政策」の弊害が少子化を加速させ、貧困の高齢者問題も深刻化している。

日本も韓国や中国と比較すれば、まだマシと言えるかもしれない。

が、それでも、筆者と同世代の40代は「就職氷河期世代」と言われ、この世代が高齢者の仲間入りをする20~30年後の生活や日本の状況は厳しいと予測されている。

韓国も日本も親世代が歩んで来た「結婚し、子どもを生み育て定年まで勤め上げれば老後は安泰」というモデルケースが完全に崩壊したのだ。

「日本を超えた」などと言っている場合ではない

いま、高齢者の生活苦や孤独死といった問題はさらに増えていくことであろう。

特に中年世代はこれからの年の重ね方や老後の過ごし方、さらには「終活」についてもシュミレーションをしておく必要があるかもしれない。

この問題を放置しておけば、韓国経済が足元から崩れていくリスクすら秘めている。

このままでは「日本を越えた」などと言っていられないほどの危機に直面する危険性すら出てきたというわけだ。

さらに連載記事『韓国が「先進国になった」「日本を超えた」と騒ぐウラで、いまひっそり「ヤバすぎる危機」が進行していた…!』では、そんな韓国で広がる高齢者たちの新たな問題についてレポートしよう。