韓国の対中輸出伸び率低迷、加工貿易依存が裏目に
朝鮮日報日本語版
扈景業(ホ・ギョンオプ)記者
韓国の対中輸出の好調に陰りが見えている。
産業通商資源部(省に相当)と韓国貿易協会などの統計を本紙が分析した結果、1-5月の韓国の対中輸出伸び率は前年同期比(以下同)で1.3%にとどまった。対中輸出は2000年代に入り、毎年20%を超える爆発的な伸びを示し、「輸出大国・韓国」をけん引してきた。
2010年に30%を超えていた対中輸出の伸び率は、11年に15%、12年には0.1%へと低下。昨年は8.6%と回復したかに見えたが、今年は年初来で1%台へと急落した。
これは韓国の輸出全体の伸び率(3.1%)を大きく下回る数字だ。韓国の輸出に占める中国の割合は25%、香港を含む中華圏の割合は30%に達する。中国に匹敵する新たな市場を見つけられない限り、韓国の輸出の伸びにブレーキがかかることを示している。
■PXの輸出急減
ロッテケミカル、Sオイル、サムスントタル、GSカルテックスなどパラキシレン(PX)を生産する韓国企業に苦境に立った。
各社の輸出先だった中国企業はこれまで、PXで合成繊維(ポリエステル)の原料となる高純度テレフタル酸(PTA)を生産。最終的に中国から輸出される衣料品へと加工されていた。
しかし、「世界の工場」である中国からの衣料品輸出が低迷したことで、韓国からのPXの輸出量も減少した。
今年1-3月の韓国企業による対中PX輸出額は約27%減の9億4100万ドルだった。韓国産の石油化学製品の対中輸出額も1-4月に8%減少した。
■中国の変化に対応できず
対中輸出が停滞している原因はさまざまだ。表面的には中国の景気低迷で輸出が減少し、そのあおりで韓国の対中輸出も減少している格好だ。
今年2月の中国の輸出は5%以上増加するとの当初予測に反し、18%も減少した。3月も6.6%減で、2カ月連続の不振だった。4月は0.9%増でなんとかプラスに転じたにすぎなかった。
しかし、専門家は景気状況だけでなく、中国の産業構造の変化に注目すべきだと指摘する。
内需産業の育成に乗り出した中国が単純な委託加工による加工貿易の割合を縮小させているためだ。
加工貿易とは、韓国、台湾などから原材料や半製品を輸入し、現地の労働力を使って、最終製品を生産の上、全世界に輸出することを指す。
中国の輸出全体で加工貿易が占める割合は07年の39%から13年には25%へと大きく低下した。
中国の変化にもかかわらず、韓国の対中輸出は依然として加工貿易中心だ。
韓国貿易協会のクォン・ドハ中国室長は「昨年の韓国の対中輸出に占める加工貿易の割合は約半分の47.6%に達する。
これは輸出競争国・地域の日本(34.8%)、香港(36.1%)をはるかに上回っており、米国(14.5%)の3倍以上高い」と述べた。
つまり、韓国企業はこれまで通りに中国を「生産基地」と見なし、半製品を輸出し、中国現地で生産した最終製品を第三国に再輸出するという旧世代のモデルを固守していることになる。
■中国内需市場向けの製品輸出を
専門家は韓国経済が生き残るため、中国を生産基地と見なす現在の接近方法を転換すべきだと主張する。
産業研究院(KIET)のカン・ドゥヨン動向分析室長は「中国経済が内需中心へと急速に進化しているのに対応し、韓国も対中貿易関連産業や貿易戦略を見直すべき時期を迎えている」と語った。
具体的には、中国の内需市場向けの製品輸出を拡大する方策が有力だ。
産業通商資源部のウォン・ドンジン貿易政策官によると、中国の環境対策やグリーンエネルギー振興政策に対応し、環境・エネルギー関連技術を使った製品を開発し、輸出することが一策となる。
LG経済研究院のイ・グンテ首席研究委員は「これまで韓国から中国への輸出の約3分の2が第三国への再輸出に向けたものだった。
今後は中国の内需市場に直接販売できる建築資材、農産物、消費財などの輸出を増やすべきだ」と提言した。
貿易協会のシン・スングァン動向分析室長は「中国を経ず、欧米市場を直接攻略するなど、(輸出)ルートの多様化も積極的に進めるべきだ」との意見だ。