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陸上防衛作戦部隊論(第五九回):航空機動旅団、機動戦闘車機動砲大隊編成の課題

2016-10-22 20:38:01 | 防衛・安全保障
■機動戦闘車機動砲大隊編成
 機動砲大隊、大隊を基幹とする中隊や小隊編成など、運用という視点から求められる部隊の在り方、その規模はどのように在るべきなのでしょうか。

 機動大隊の規模について、先ず考える前提としまして、戦闘基幹部隊である普通科中隊を増強した中隊戦闘群と普通科連隊との機動砲の関係性について考えなければなりません。航空機動旅団の普通科連隊は三単位編成、装甲機動旅団隷下の普通科連隊と数の上では同じ三単位編成を基本としており、その上で各普通科連隊の編成は三個普通科中隊と一個軽装甲機動車中隊という編成という現在の編成の応用を提示しました。

 ここから必要に応じ中隊戦闘群、普通科中隊を基本として軽装甲機動車小隊を付与させ、騎兵運用、機動力を活かした対戦車火力の形成からスカウト任務として情報収集に車載機銃を用いての遊撃戦闘に用いるとしました。この中隊戦闘群はゆえに三単位編成の普通科連隊を構成する事となりまして、この普通科連隊が三個という三単位編成を構成しますので、旅団全体での中隊戦闘群は九個体制、ということになります。

 この為、各中隊戦闘群へ機動戦闘車を配備する場合、この九の倍数を装備する必要が出てきますが、九個小隊という編成とすれば規模がどうしても大きな水準となります。それでは小隊以下の機動戦闘車分遣隊というような形で編成する事が可能か、という視点、仮に二両で分遣隊を編成した場合は、例えば戦闘序列を構成し戦闘加入した場合、近接戦闘部隊の宿命として必ず消耗損耗故障からは離れられませんし、一両だけで構成した場合は補給や重整備等で短時間でも戦闘から離脱する場合に近接戦闘火力が大きく減退となる可能性が否定できません。

 その上でもう一つ、重整備は定期整備などを含みますので、編成には必ず予備車両というものを考えなければなりません。一案としては縮小小隊として3両編成、腹案として分遣隊の2両編成、というもの。最初からは部隊4両編成小隊ですが、これを実施しますと機動砲大隊は最低限、大隊本部車両などを省いた状況でも36両となってしまいます。機動戦闘車の整備数は200両が想定されている、こう報道などがありました。

 ここで航空機動旅団が36両編成の機動砲大隊を編成しますと五個航空機動旅団、各方面隊に広域師団を配置するのだから五個という事になりますが、これだけで180両となってしまいます。しかし、機動戦闘車は水陸機動部隊や空挺部隊にも必要な装備であり、航空機動旅団所要のみで配備数を200両全て独占する事は合理的ではありません。それでは、3両編成小隊を配置した場合ですが、27両、となります。

 五個航空機動旅団を整備する前提ですので全体の所要は135両、これならば、空挺団へ機動砲大隊を配置した場合でも162両、水陸機動部隊所要を含めたとして機動砲大隊を配置した場合でも199両、となります。2両編成の場合所要は18両、本部車両を含めて20両というところでしょうか、どちらかと云えば旅団戦車中隊の規模に近い水準ですが、これならば編成完結の時点で機動戦闘車の総数にはかなり余裕が生まれます。

 ただ前述したように一両が戦闘で損耗した場合に予備車両が必要となりますので、予備の分遣隊を編成する必要が生じ、合理的ではありません、最小限度の数量とは一見合理性に見えて余裕のない編制であることを意味し、簡単に破綻してしまう。こうした視点から、航空機動旅団機動砲大隊は27両編成の大隊編成を採用し、二個中隊を基幹とする。理想であれば30両編成とし、各中隊に本部車両を省いた15両編成、小隊ごとに分散し一個小隊を呼びとして損耗に備える編成が理想ですが、現実的には27両が収斂すべき大隊規模でしょう。

北大路機関:はるな くらま
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