北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】護王神社,御所西いのしし神社に伝わる和気清麻呂の勲功と海軍重巡高雄絵馬

2019-12-25 20:02:32 | 写真
■明治の時代が生んだこの社殿
 時代の流れ、しかし考えればあと僅かとなりました本年は平成時代と令和時代の架け橋であり転換点という一年でした。

 護王神社、いのししの神社として親しまれるこの社殿は上京区烏丸通下長者町下ル桜鶴円町の、簡単に言えば京都御所の向かい側、烏丸通の信号を渡った隣に位置しています。創建は不詳ではあるのですが、旧別格官幣社であり現在も神社本庁の別表神社に列せられる。

 高雄、帝国海軍が誇る重巡洋艦の絵画が奉納されています。実は平野神社の重巡衣笠始め京都は旧海軍の艦艇と御縁が深い、巡洋戦艦鞍馬、戦艦三笠、戦艦比叡、重巡高雄、重巡愛宕、重巡衣笠などなど。高雄神護寺のはじまりから此処には重巡高雄の縁が在るという。

 和気清麻呂を祀る社殿です。もともとは高雄神護寺に在った護王善神社がその始まりとされまして、和気清麻呂の忠臣を讃え江戸時代末期に孝明天皇が護王大明神の神号と正一位の神階を授けた事を契機としまして、明治時代にここ京都御所となりへ遷座となりました。

 中院家邸、内大臣源通親土御門通親を始祖とする公家の旧家ですが、京都からの東京遷都に際して明治帝と共に東京へ遷る事となりまして、京都御所となりの中院家邸は空き地となりました。明治天皇はこの邸宅跡地に護王神社社殿を遷座するよう勅令を出しています。

 明治天皇の勅令により遷座する事となったこの護王神社は、創建の時代が高雄神護寺の社殿まで遡る為に定かではないのですけれども、ここに遷座してからは百年と少しを経ているのみ。しかし護王大祭として4月4日、11月1日亥子祭を行い御所へ提灯行列を行う。

 宇佐八幡宮神託事件、平安朝初期の頃に寺社勢力による政治介入の動きが強まり、高僧道鏡による称徳天皇後継への皇位奪取の陰謀が起こります、和気清麻呂は当時朝廷の高官として皇統遵守の主張を強く続け、結果左遷されその道中に暗殺の危機にも曝される事に。

 いのししの神社というその由来は、九州宇佐へ配流即ち左遷の最中に暗殺の危機に曝された和気清麻呂が山道で猪の大群に遭遇し寄り添うように実に三〇〇の猪が山道を護った事が暗殺の危機を脱する事に繋がった故事に因み、狛犬ならぬ狛猪が社殿に数多鎮座します。

 和気広虫、和気清麻呂の姉でして大正時代にここ護王神社へ祀られる事となりました。奈良時代の女官でして、宇佐八幡宮神託事件では事実上道教の皇統奪取陰謀に巻き込まれる事となりましたが、結果2年間の配流となりますが、帰洛後は従四位上に叙せられました。

 神階正一位、和気清麻呂は皇統を護ったとの勲功から孝明天皇により神階を授けられまして、実のところ日本史上初めての事であり、明治大正昭和の軍神へ繋がる云わば一種現代のクローン技術やAI技術の様な禁忌の端緒であるようにも思えるのですが、その始まりの社殿です。

 孝明天皇の贈位、江戸時代末期というやはり時代の移ろう時代でなければ、ある意味東照権現こと徳川家康を事実上神格化しつつ、神格化の二重権力状態という得御時代最盛期は難しかったでしょうし、室町時代にも、応仁の乱並の騒擾を呼ぶ故に難しかったでしょう。

 明治国家の建設、成程京都というものは時代と共にその在り方と都市軽悪が移ろう、歴史と伝統よりは最先端都市であった時代も長いのですが、云わば天皇の時代というべき、実態には明治憲法と共に立憲君主制を藩閥政治が不協和音を示す時代故の建立ともいえます。

 平成31年正月、令和元年には想像もつかないといいますか、令和時代というものが定着したものだなあと思いつつ、考えればこの平成31年という過渡期の始まりはもう少し趣き深く過ごしておくべきであったかと、日々の写真を眺めつつ思いすごす今日この頃、という。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【G7X撮影速報】横須賀基地夜... | トップ | スマトラ島沖地震インド洋大... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

写真」カテゴリの最新記事