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陸上自衛隊航空学校(明野駐屯地)創設52周年記念行事 (1)

2008-11-05 18:01:22 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆明野航空祭2007 式典・観閲飛行

 2007年11月11日、陸上自衛隊航空学校本校が置かれている三重県の明野駐屯地において、明野駐屯地創設52周年記念行事が実施された。今回から数回に分けて、この明野航空祭の模様をお伝えしたい。

Img_8707  陸上自衛隊明野駐屯地に所在する航空学校は、明野本校、北宇都宮と霞ケ浦の分校と共に陸上自衛隊の航空科職種の教育と陸上自衛隊の運用する航空機の搭乗員養成、及び各種新型装備の試験や戦術研究にあたっている。また、AH-64Dの試験を行う開発実験団飛行実験隊も明野に駐屯。加えて、中部方面隊隷下の第5対戦車ヘリ隊や第10師団隷下の第10飛行隊も駐屯している。

Img_8760  早朝の近鉄線を利用し、近鉄明野駅へ展開。明野駅は近鉄山田線にあるため、特急や急行は停車しない。しかし、比較的本数はあり、その近鉄明野駅から徒歩で20分の位置に明野駐屯地はある。ただ、明野駐屯地祭当日は、無料シャトルバスが運行されているので、案内の隊員さんに乗り場を聞いた。明野駐屯地では、既に観閲飛行に向けたブリーフィングが行われている。

Img_8699  車両にて一足先に展開したC.ジョニー氏一行とMAD氏が最前列で、式典の開始を待っていた。合流し、開始まで時間もあることだし、地上展示機を見学する。人口密度は低く、0900時頃でも、最前列にはたどり着けたように記憶する(駐屯地広報の方によれば来場者10000名)。写真はCH-47ヘリコプターを消火用バケツ。

Img_8706_1  入場した際に案内の方から頂いた、式典に関する案内を読むと、そろそろ式典が開始されるとのことで、撮影位置に移動。航空学校、第5対戦車ヘリ隊、第10飛行隊の隊員が行進して式典会場に入場してくる。陸上自衛隊は固定翼機も保有しているため、明野駐屯地には滑走路があり、その滑走路上に式典に参加するヘリコプターが多数並べられている。

Img_8758_1  指揮官に対して敬礼!、航空科職種を示す水色の部隊旗がさっ、と掲げられる。明野には、戦前にも陸軍飛行学校が置かれており、戦時中には新型機を駆る明野教導飛行師団へと改編を受けた、いわば、陸上航空教育の一大拠点として知られており、敗戦により一時歴史から消えかけたものの、1955年に航空学校が浜松から移駐、今日に至る。

Img_8767_1  航空学校長、兼ねて明野駐屯地司令を務める鎌田正広陸将が、73式小型トラックの車上から整列した隊員へ部隊巡閲を行う。当日は、早朝まであいにくの雨天であったものの、航空科を示す水色の部隊旗が雨雲をどこかへ飛ばしてしまったような天候の回復ぶり、厳しい滑走路からの陽光の照り返しも無く、式典がすすめられてゆく。

Img_8806_1  指揮官訓示を行う鎌田司令。航空科職種にとっては、目下、新装備であるAH-64D戦闘ヘリコプターによる運用と戦術研究を確実にこなし、最大限の抑止力を発揮できるべく、技術と方策を模索することが求められている、また東海地震が迫る中で長大な海岸線を有する三重県においては、ヘリコプターへの期待は大きい。続いて、来賓祝辞が行われた。

Img_8822_1  来賓祝辞に続き、祝電披露が終了すると、観閲行進準備の号令がかかる。観閲行進準備!、号令と復唱、叫びに似た点呼とともに、全隊員がきびきびとした行動にて、一斉に駆け足でヘリコプターへ駆け寄り、また指揮官は次々と所定の車両に飛び乗り、次なる配置へ向かっていった。

Img_8821_1  最新鋭のAH-64D戦闘ヘリコプターも観閲飛行に参加する。これぞ明野駐屯地祭、これこそ航空学校祭の醍醐味だ!、と唸らせるような大編隊を組んでの観閲飛行を行うには、なによりも究極の異機種大編隊飛行、日ごろの訓練で培った技術にくわえて、手順と管制が何よりも重要になってくる。

Img_8840  次々と、しかし順番に沿ってヘリコプターのエンジンが稼働を始める。ローターの風を切る音がこちらにもとどき、そのローター音が絶頂に達したころ、順番にふわりと離陸を始める。そして次々と編隊を組み、観測ヘリが、対戦車ヘリが、多用途ヘリが、機種ごとに大空へと舞が立ってゆく。

Img_8861  今回の観閲飛行には3機のAH-64D戦闘ヘリコプターが参加した。アパッチロングボウと呼ばれるこのヘリコプターは、強力な攻撃力と極めて高度な索敵能力を有するヘリコプターで、うち二機には、ミリ波レーダーが搭載されており、肉眼による光学情報に近いレーダー情報をデジタル化し、部隊ごとに共有させる協同交戦能力を有する機体だ。

Img_8847_1  離陸したヘリコプターは、伊勢神宮方面に向かい、そのまま伊勢湾上空にて編隊を組むと再び明野駐屯地上空に飛来、観閲飛行を行う。それまで、少年工科学校より派遣されてきた隊員が、M-1小銃を用いたライフルドリルを展示する。重いM-1小銃を体の一部のように扱い、見事な妙技を来場者に見せた。

Img_8875_1  伊勢湾上空にて編隊を組んだ観閲飛行部隊が駐屯地上空にその姿を見せた。陸上自衛隊のほぼすべての回転翼航空機が参加する編隊だ。中には、UH-60JA多用途ヘリコプターやOH-1観測ヘリコプターのように、極めて高性能であるが同時に高価格であり、なかなか装備調達の進まない機体やAH-64Dのように財務省に高すぎると判断され、いきなり調達を打ち切ってしまった機体も参加している。

Img_8874_1  OH-6観測ヘリコプター、OH-1観測ヘリコプター、UH-1多用途ヘリコプター、UH-60JA多用途ヘリコプター、AH-1S対戦車ヘリコプター、AH-64D戦闘ヘリコプター、CH-47輸送ヘリコプターなどなどの大編隊が空いっぱいに広がっている。ここに無い機体といえば、要人輸送ヘリコプターくらいであろうか。

Img_8885_1  航空自衛隊の航空祭や、海上自衛隊の航空基地祭では、これだけの航空機の編隊はまず見れない、機数で30機を超える編隊を見ることができるのは、陸上自衛隊の航空祭を除けば、観艦式か航空観閲式くらいだろうか。観閲飛行の大編隊は、駐屯地上空を航過するのは、一度だけなので、この瞬間はしっかりと記憶かカメラに残しておきたい。

Img_8879_1  空中機動!ヘリボーン!というべき一枚。31機の編隊が明野駐屯地上空をゆく。この写真は、望遠ズームから広角へと切り替えたもの。次々と飛来するヘリコプターの編隊、廻るローターの数と響く音、非日常的な風景と迫力に会場から湧き上がる拍手。かつては50機を超える編隊も展示されたという。

Img_8890_1  観閲飛行を終えたヘリコプターの大編隊は、再び明野駐屯地上空を去り、順番に着陸に伴う機動飛行、曲技飛行を展示する明野レインボー、そして訓練展示模擬戦参加部隊、などなど、別れてゆく。観閲飛行が終了すると、これら部隊が参加する訓練展示がいよいよ始まる。この詳報は、次回に紹介予定、お楽しみに。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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