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【日曜特集】第1特科団創設62周年記念北千歳駐屯地祭-反撃能力整備とマルチドメイン戦略を考える(4)(2014-06-28)

2024-06-23 20:00:32 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■本日は沖縄慰霊の日
 先週が多忙で沖縄慰霊の日とマルチドメイン戦略の記事掲載日がずれてこの日と重なってしまいまして。

 本日6月23日は沖縄慰霊の日、79年前の今日、沖縄においてアメリカ軍第10軍を中心とした沖縄本島侵攻に全力で抗戦していた日本陸軍第32軍が、これ以上の組織的戦闘は不可能と判断し、徹底抗戦を命令した上で軍司令官と軍参謀長が自決した日です。

 沖縄の戦いは本島防衛に当った第32軍隷下の第62師団は師団長藤岡中将が前日22日に自決、第24師団長雨宮中将も30日に自決していますが、歩兵第32連隊を中心に残存部隊の戦闘は9月まで継続、この日を持って沖縄戦が終わった訳ではないという点も忘れずに。

 第32軍は残存部隊に徹底抗戦を命じて軍司令官が自決した為に戦闘が続いていますが、沖縄を守る第32軍のうち、先島兵団の第28師団が米軍上陸を受けなかった事で指揮系統が残り、第28師団長納見中将が生存、ようやく沖縄戦終戦の兆しが見えます。

 降伏調印式は9月7日にアメリカ軍のスティルウェル大将と納見中将との間で行われ、ようやく沖縄戦は終戦に至った訳です。ただ、現状の沖縄の基地問題と短椀海峡や台湾有事における地理学上の関係を見ますとどうしても安穏とはできない状況が続いている。

 在日米軍なしに沖縄位は守れないのか、と問われれば、これは沖縄戦に関する理解が不足していて、日本がポツダム宣言受諾に追込まれたのは本土決戦前に沖縄失陥によりシーレーンが完全に途絶した為でした、これは台湾が失陥しても同じことが言えたわけで。

 台湾は1944年に植民地から日本本土へ併合されていますが、連合国軍は台湾か沖縄を占領し日本本土進攻への拠点とする構想でアイスバーグ作戦を実施した、台湾はフィリピン決戦へ2個師団を抽出し手薄となっていましたが、ここで戦力再編を行った。

 第32軍の沖縄本島駐留兵力は、第9師団、第24師団、第62師団、ここから第9師団を台湾防衛へ転用したために沖縄は手薄となり、逆に言えば第9師団の台湾転出が無ければ沖縄戦は起きず台湾決戦となっていた可能性が高い、けれども終戦への結果は同じ。

 沖縄は自衛隊が大幅に防衛を強化するならば、第二次沖縄決戦には勝算はあるのかもしれないけれども、台湾有事の際に在日米軍であれば台湾関係法を根拠に中国軍の軍事行動を妨害し台湾を維持する事は出来るかもしれない、しかし自衛隊にはそれは出来ない。

 自衛隊に沖縄は守れても台湾失陥の懸念とシーレーン途絶の懸念には対応できないわけで、ここに、北東アジア情勢に軍事的現状変更を許さないという実力を持つのは米軍だけになってしまい、此処に依存する事で沖縄の基地問題があるのだ、ということ。

 沖縄は、しかし、有事の際に先島諸島などは、第一次世界大戦でフランスを狙うドイツ軍がてうすな中立国ベルギーを通ってフランスに侵攻したように、中国軍の軍事行動の対象となる可能性が極めて高い、すると冷戦時代の北海道のような緊張に曝されることに。

 手薄となれば狙われる、この状況から自衛隊は先島諸島防衛強化や南西諸島防衛強化を進めていますが、日本は戦後、沖縄復興は重視したけれども、こころの復興に寄り添わなかった為、かつての沖縄県民が寄せた防衛力への信頼というものをかちえていない。

 国家の防衛は国民が主体となり、国民の支持が在って自衛隊や政治が動く事が出来る、沖縄戦の被害を考えれば天安門事件や香港弾圧のような状況の方がまだ幸せ、と戦うよりも不戦と服従を選択する平和愛好家の主張が通る現状を丁寧に説明することこそ、必要だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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