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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(26)2011年は東日本大震災の一年でした(2011-10-09)

2023-02-05 20:23:10 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■2011年の第七師団祭
 2011年は東日本大清震災が有りました日本の転換kという一年だと2022年までは思っていたものですが、さて。

 第七師団創設記念行事、いろいろと撮影してまいりましたが、今回が最終回です。日本唯一の機甲師団、そして2022年に発表された安全保障3文書においても機甲師団の維持が明記されています、ただ、私が気になりますのは機械化部隊の位置づけについてです。

 2011年、この特集を掲載したころの陸上自衛隊は観測ヘリコプターも後継機選定が行われないために、しかし海上自衛隊が導入するというMQ-8ファイアスカウトでも購入するのだろう、こう思っていましたが、なにも調達されずに自然消滅してしまいました。

 戦車については、国産基盤を維持するというのですが、しかし生産数を考えますと、戦車300両という防衛力では、海上自衛隊の潜水艦が行っていたように、16年程度で完全に置き換える程度の数を、可能ならば15年、年産20両を維持して早期退役させるしかない。

 自衛隊は専守防衛というものを大前提として考えてきましたので、着上陸した敵を戦車部隊が先鋒を担い機械化部隊が一体となって海に追い落とす、という概念がたとえ時代錯誤といわれていても堅持されるものだと考えていたのですね、これが基本だ、と。

 シーレーン防衛の重要性も認識していますし航空優勢がなければ、これは地対空ミサイルだけでもある程度代替できるとウクライナが示したように錯覚しましたが、とうのウクライナも戦闘機を求めています、しかし基本は防衛とは土地なのだと認識していた。

 射程2000kmのミサイルが導入されたならばどうか、四川省の奥地に中国軍核ミサイル基地があり、射程2000kmでは四川省南部までしか届きませんが、2500㎞に延伸するならばなんとか射程のめどがつく、しかし、沖縄の離島を攻撃されたならば、どこに撃てば。

 反撃能力は不要とは言いません、例えば沖縄県への限定戦争にもかかわらず、敵が策源地攻撃と称して那覇基地や佐世保基地を攻撃してきたならば、同等に相手の本土を叩く手段は必要だと考えます、しかしそれまでは安易に本土を攻撃しあうべきではないとも。

 機甲師団、写真は多数を紹介しましたが、この第一回を掲載しましたころとは、中国本土を叩く、こうした防衛政策は一種の禁忌となっていまして、島嶼部防衛用極超音速滑空弾という名称で敵意を隠した防衛力整備を進めていましたが、連載が長期化したことで。

 戦車だけがあればよいというものではありません、しかし戦車が重要であるということは、ウクライナの第一線ではHIMARSのGMLRSロケットの射程は80kmしかなく、ロシアの策源地を叩けないとして長い射程のものを要請、アメリカが供与の方針を示しました。

 NATOの運用ではしかし、MLRSは不整地突破能力が高い車両ですので、データリンクを頼りに戦車部隊を先頭に第一次世界大戦の浸透攻撃のようなものを分散して前線を突破し、敵を攻撃できる位置で集合する、これにMLRSも随伴することで射程を補っている。

 AH-64D戦闘ヘリコプターについても、こうしたデータリンクで結ばれているゆえに分散して投入しているが電子の連環で結ばれていることにより補給でも火力でも決して孤立しておらず、必要ならば戦闘ヘリコプターが即座に駆けつけるという基本運用があるのです。

 ウクライナ戦争を契機に、何かしなければ、という一種の、テスト前夜に部屋の掃除をしたくなる、というような焦燥感がそのまま射程の大きなミサイルへ短絡的につながり、これを反撃能力だと説明されると同意するほかなくなってしまう状況がいまあるのですね。

 反撃能力というのは、この師団祭のように、上陸してきたならば反撃して海に追い落とす、というものが日本の反撃能力だと思いました、しかし2030年には観閲行進の多くは北朝鮮軍のように地対地ミサイルとなり、訓練展示ではハバロフスクを叩く想定なのか。

 敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えたことで、反撃とは何か、という不思議な議論のようになってしまったかと思えば、論点とされるのは国会では金額のことばかり、カネカネカネという不思議な国会で、先日ようやくミサイルの問題が議論されたというところ。

 予算は、しかし観測ヘリコプターが全廃され、装甲戦闘車は20年近く新規調達がなく普通科の多くは丸裸か薄い装甲のみ、MLRSは射程の長い改良型弾薬により世界中で再評価されている中での陳腐化というよくわからぬ評価がなされ2029年には全廃されるという。

 中国本土まで届かないMLRSに用はないので自衛隊は中国本土や内陸部を叩ける装備を必要としている、こう主張するならばわかるのですが現段階でMLRSは大型のATACMSのようなものでなくとも130km射程の弾薬があり、遠くない将来に499kmまで延伸するのに。

 防衛というものを真剣に、これは単に軍備反対でも、政府万歳でもなく、その内容を見てゆかなければ、とんでもないことになる。それが使える装備ならばともかく、本当に大丈夫か、相手が核で威嚇した場合にその本土へ通常弾頭ミサイルを大量に撃ち込めるのかと。

 第7師団創設記念行事、この写真を紹介したのは2011年、東日本大震災を受け行事予定が半年近く延期された際の写真です。しかしそのあとの安全保障政策は、2021年まではまともでしたが、この一年強の期間は何か方向性を見誤っているよう、おもうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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