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富士学校開校60周年・富士駐屯地祭(2014-07-06) PowerShotG-16撮影速報-続報

2014-07-09 23:51:26 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆10式戦車・90式戦車・74式戦車

 富士学校祭2014、前回に続き観閲行進の様子をEOS-7DやEOS-50Dに先んじてG-16撮影写真にてお伝えしましょう。

Fsimg_4853 戦車教導隊長阿部昌平1佐以下幕僚が敬礼、観閲行進は偵察教導隊n普通科教導連隊と特科教導隊に教育支援施設地隊に続き戦車教導隊へ、指揮官車は最新10式戦車、幕僚は制式化から四半世紀近くを経ても未だ世界的に高い水準の性能を有する90式戦車、その車上から敬礼です。戦車教導隊は、10式戦車、90式戦車、74式戦車を装備し、陸上自衛隊が有するすべての戦車に応じた運用と技術研究や戦術研究を開拓し、単なる装備を最強の戦車部隊へ昇華させるところ。

Fsimg_4855 第1中隊、10式戦車を装備しています。第三世代戦車が80年代設計車体へ防御力重視を戦訓と共に積み重ね過度に重装甲化するなか、種車を1980年代設計としたうえでの近代化には限界がある訳で、ここに新設計の意義があります。新技術を以て敢えて軽量化を実現した戦車で、打撃力は優れた火器管制装置と新設計主砲に新型砲弾と情報共有能力で、機動力はアクティヴサスペンションと国産新1200hpエンジンにより、防御力は集中防御とモジュラー装甲の併用で、世界最強と言って過言でない能力を持つに至りました。

Fsimg_4858 部隊間で目標情報を共有しつつ脆弱点や突出した脅威へ高速で回避行動を採りつつ照準した目標を火器管制装置が自動追尾し、遠距離の目標に確実に命中させ自動装填装置により短時間で反復、優勢であっても劣勢であっても勝ち目を見出すための技術が盛り込まれています。世界の戦車が30年前の設計車体を補強し近代化していますが、重量は60tから70t近くなり身動きが取れなくなる中、44tと軽量車体に纏め、一方で乗員区画を自動化により局限することで乗員を防護する装甲は平均以上のものを有しています。

Fsimg_4869 第2中隊、90式戦車を装備しています。陸上自衛隊の戦車が世界標準を凌駕した記念的戦車で、120mm滑腔砲と車体及び砲塔正面に複合装甲を備え1500hpエンジンを搭載、第三世代戦車としての要件を満たしています。複合装甲とはジェットの高熱で装甲を浸徹する対戦車ミサイルに耐えるセラミック合金と極超音速の運動エネルギーで装甲を浸徹する戦車砲弾に耐えるチタン合金で防ぐ装甲で特殊樹脂とゴムにより振動衝撃から防護されており、1m程度の鋼鉄を貫通する現用対戦車火力へ対応出来る軽量装甲とすることができました。

Fsimg_4870 90式戦車は世界の第三世代戦車に当たる戦車ですが、第二世代戦車が上記の鋼鉄、均一圧延鋼板に換算し1m近い貫徹力を持つ状況下で動ける重量に抑えつつ防御することは不可能と判断し、防御を妥協した分、機動力と火力に特化した完成に至ったのですが、複合装甲により防御力を確保しつつ、従来戦車の倍近い小型の1500hp級エンジンの技術目処に依拠し、第二世代戦車当時では不可能であった攻撃力と機動力を維持しつつ防御力を両立し、攻・走・守の三位一体を可能としたことで戦車の世代交代を実現させたもの。

Fsimg_4880 第3中隊、90式戦車をこちらも装備です。90式戦車は第三世代戦車の要件を満たしつつ、自動装填装置により乗員を従来の4名から3名としました、これは走行中での再装填迅速化に繋がり攻撃力を強化したほか、乗員区画を3名分としたことは、乗員区画を一人分狭くすることが出来、結果防御力を維持しつつ軽量化が可能です、分かりやすく言えば、4名分の防弾装備よりも3名分の防弾装備の方が同じ装甲重量でも軽くできる、ということで、これにより90式戦車は50t、と現用戦車では非常に軽く仕上げられました。

Fsimg_4885 90式戦車は加えて火器管制装置に自動追尾機能が加えられており、目標を砲手がロックオンすると戦車が自動で目標を追尾し未来位置に砲弾を投射し、砲手とは別に戦車長用にも独自の索敵照準装置が装備、いち早く敵を発見し対処できます。また、油気圧懸架装置による車体傾斜能力があるため、斜面に伏せ地形を防御として射撃が可能です。更に近年、試験的にデータリンク能力付与が開始されており、液晶モニターに地形と僚車位置や敵位置の情報を共有し、指揮官の状況把握と命令下達を瞬時化明瞭化し、戦闘することが可能です。

Fsimg_4893 第4中隊、74式戦車を装備しています。74式戦車は1960年代より始まった戦後第二世代戦車の末期に我が国が国産した戦車で、弾道計算コンピュータとレーザー測距装置を搭載、以前はミルシュトリヒ法で目視計算と手動入力し射撃していた戦車砲の照準を一新させた、更に丸みを帯びた砲塔は低速砲弾やミサイルを滑らせ直撃を避ける構造で、油気圧懸架装置により、前傾右傾左傾上昇下降を自由に操作可能で丘陵や傾斜地と掩砲所から地形を盾として射撃可能、戦場を選ばない運用が可能で、制式化当時最強と言われた戦車です。

Fsimg_4897  74式戦車は873両と大量生産され、全ての戦車部隊に配備されました。夜間戦闘能力が暗視装置の能力が改善されなかたため90年代には旧式化し、防御力もそもそも第二世代戦車が防御力をある程度性妥協しているため物足りなくはあるのですが、もともと地形防御を活かす前提の専守防衛下の攻撃的な戦車ですので性能面では脅威対象であったT-62戦車に十分対抗可能で、T-72戦車へも戦術上対抗可能というもの。10式・90式・74式、現用戦車全てが登場しました、見ての通り国産戦車は妥協なく技術で世界最高を志向しています、だからこそ、戦車教導隊が最高の戦車を最強の部隊に仕立てなければなりません。こうして戦車教導隊の戦車4個中隊の観閲行進が完了しました。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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