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【日曜特集】中部方面隊創隊五〇周年記念祭【5】野戦特科情報科高射特科(2010-10-17)

2020-12-06 20:00:57 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■観閲行進臨む方面隊の重装備
 中部方面隊創隊五〇周年記念祭の観閲行進は待機位置に重厚な火砲やミサイル発射装置が並び始めます。

 FH-70榴弾砲は将来的に19式装輪自走榴弾砲に更新されますが、特科火砲縮小の煽りから方面隊の特科連隊と特科隊を全廃し方面特科連隊に収斂するという。可能ならば中部方面特科隊は、第3特科大隊、第10特科大隊、第13特科隊、第14特科隊、としてほしい。

 FH-70榴弾砲は本土特科近代化の切り札として1979年に欧州共同開発のFH-70を導入決定へ。39口径の長砲身で最大射程39km、半自動装填装置も採用します。高性能ですがM-109自走砲並の費用で欧州では普及せず、小回りが評価され自衛隊は479両を揃えた。

 第10特科連隊第3大隊第6中隊の車列、大隊全部10門は参加していない。豊川駐屯地からの参加です、豊川駐屯地祭では3門の同時空包射撃を行う、しかし15門が配備される第3特科隊の姫路駐屯地祭は会場の広さもあって5門が同時空包射撃を実施、姫路は迫力凄い。

 方面特科連隊に集約運用するならば、なにも19式装輪自走榴弾砲とするまでもなく、99式自走榴弾砲に陸上自衛隊の特科火砲を集約してしまってはどうかと思う。重厚な装備ではあるけれども、その分性能は高く、変に火砲種類を増やすよりは量産効果が期待できる。

 中部方面特科隊は、第3特科大隊、第10特科大隊、第13特科隊、第14特科隊、というのは伝統名称の継承、という意味で。師団に配属される特科大隊は全般支援大隊方式の4個中隊20門、旅団特科隊は縮小編成3故特科中隊15門、として担当大隊毎に配備すべきだ。

 中部方面情報隊の観閲行進、2010年までは移動監視隊となっていた。方面情報隊は隊本部が伊丹に置かれ、今津駐屯地に中部方面移動監視隊と中部方面無人偵察機隊が駐屯しています、2008年に中部方面移動監視隊が創設、この行事の年に情報隊として編成完結に至る。

 JTPS-P23地上監視レーダや衛生単一通信可搬局装置JMRC-C4など。P-23レーダーは高機動車に車載する装備で50km圏内の車両や船舶などを探知し、60目標を自動追尾するという。前型に85式地上レーダ装置、中型トラック車載のものがありP-23はこの後継です。

 FFRS無人偵察機システムが続く、改良型は数百kmを行動範囲としている。無人ヘリコプターで通常の無人機と違いGPSなどに依存しない電波妨害に強い自己完結型装備となっていますが、そのために各種車両7両で無人機を運用する、大げさで巨大な装備となった。

 JTPS-P23地上監視レーダが、方面移動監視隊時代は本部が今津にあったもの。最近はオーストラリア製スキャンイーグル無人偵察機も装備しています、こちらはコンテナ一個で完結していますが、5機と管制装置で20億円、OH-6D観測ヘリコプター5機よりも高価です。

 方面情報隊の移動監視隊任務は沿岸監視任務であり、これは北朝鮮の非正規戦部隊による小型舟艇を用いての沿岸浸透へ対処するもの。ただ、この北朝鮮への浸透対策という実績が結果的に2020年代の中国による沖縄鹿児島周辺での行動監視にも、応用出来ています。

 第1電子隊という電子戦部隊が東千歳駐屯地に北部方面直轄部隊として置かれていまして、通信傍受による超水平線への警戒監視能力を有しています。師団に情報隊が新編される昨今、将来的には中部方面隊等北方以外の方面隊にも電子隊を置くべきなのかもしれません。

 第8高射特科群の観閲行進へ内田昌輝群長を先頭に敬礼へ臨む。兵庫県小野市の青野原駐屯地に駐屯しています、一度いってみたいとおもいましたが、加古川線のダイヤが不便すぎてシャトルバスも二本だけ、周辺の飲食店は弁当屋のみという山間部の駐屯地だった。

 第8高射特科群は高射学校の高射教導隊に続き第一線として最初に03式中距離地対空誘導弾を装備した部隊です。射程50kmで短距離弾道弾にも限定的な迎撃能力を持つ独自のミサイル防衛を整備していますが、政府はイージスアショアを押しつけようとしたのですね。

 自衛隊の野戦防空重視は旧陸軍が制空権を維持できず航空攻撃に散々な打撃を受けた事を受けての編成といえるのですが、その分、冷戦後はアメリカの同盟国で最も濃密な野戦防空基盤を構築する事なり、F-16戦闘機の防空制圧部隊との共同訓練で散々な目に、とも。

 03式中距離地対空誘導弾の観閲行進、巨大な車体の威容が頼もしい。もともとは戦術防空を担っていましたが弾道ミサイル防衛強化に伴い、航空自衛隊の巡航ミサイル防衛の任務を引き継ぎました。現在はこの03式中距離地対空誘導弾改良型の開発が進んでいます。

 中距離多目的誘導弾はレーダー車両と発射装置6両の内2両が参加します。このレーダー車両は意外な程に素早く回転しまして、訓練展示で是非実施してほしいのですが、これを行えるのは中部方面隊管内では青野原駐屯地くらいなのでしょうか。伊丹でも是非、やってほしい。

 中距離多目的誘導弾レーダー車両、収容され走行状態ですが、これが一たび展開しますと迫力は中々言葉では説明できないものです。ちなみにかなり出力が高いらしく、冗談でフル出力を出せば近くの鳥がぱたぱた落ちる、とも。どの程度まで捜索できるかは未公表だ。

 自衛隊のミサイルシステム統合の観点から、海上自衛隊汎用護衛艦に搭載する短射程艦対空ミサイルと統合する案もありましたが、結局仕様で共通化出来ず、海上自衛隊は米軍と同型のESSMミサイルを採用しました。射程は50kmでVLS1セルに4発を搭載できる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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