■防衛フォーラム
今回はオランダ海軍の潜水艦の話題を短期間で追う事となりましたが潜水艦国産能力がいかに重要かという事をちょっと考えてしまいますね。写真はまあ自衛隊観艦式と舞鶴展示君r年からそれっぽいので代用です。
オランダのダーメン社はC-71型潜水艦に関するサーブ社との合意を発表しました。スウェーデンのサーブ社はスウェーデンの潜水艦建造企業コックムス社をドイツ資本からスウェーデン資本にひき戻したことで知られます。そしてダーメン社はオランダ海軍のワルラス級潜水艦後継計画を進めており、サーブ社の協力を受けることとなります。
C-71型潜水艦はワルラス級潜水艦の後継艦として想定され、もともとはスウェーデン海軍のブレーキンゲ級潜水艦、A-26型潜水艦となっていました。ダーメン社はオランダに残る最後の海軍艦艇建造能力を持つ造船所であり、その維持は安全保障上の課題ですが潜水艦建造期間が大きく開いてしまい、この度、サーブ社が協力することとなりました。
■CP-1400オーロラ
各国ともP-3C後継機をいそいでいます。
アメリカのボーイング社は17機のP-8Aポセイドン哨戒機の製造を発表しました。これはカナダ空軍の所要14機とドイツ空軍の所要3機を受注したもので、契約金額は34億ドルに達します。これらをカナダ海軍はCP-1400オーロラ哨戒機、ドイツはP-3Cオライオン哨戒機、共に元々はP-3Cなのですが、これらの後継機に充てるとのこと。
P-8Aポセイドン哨戒機はボーイング737を原型とした総合海洋哨戒機となっています。ボーイング社はボーイング737MAXの各種問題頻出により大きな損害を膨らませていますが、P-8Aの原型機は737MAXではありません。民需部門の苦戦の一方で、せめてもの軍需部門での大口契約成約というものは現在のボーイング社にとり朗報と言えます。
■H-160多用途ヘリコプター
これくらい完成してから日本へ売り込んでほしかったのですが日本のようにSH-60系統に全部集中するよりは救難機などは廉価な航空機とする選択肢はさてどう考えるべきか。
フランス海軍はH-160多用途ヘリコプター導入計画を完了させました。ゲパールの愛称で知られるH-160はエアバス社が次世代多用途ヘリコプターとして開発したもので、元々は陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプターX-4として提案されたものですが、当時はペーパープランであったためリスクが高く、富士重工UH-2に提案の時点で敗れました。
H-160はフランス海軍では救難ヘリコプターや連絡ヘリコプターとして導入されており、ドーファンやパンサーなどエアバス社のアエロスパシアル社時代の中型ヘリコプターを置き換える事となり、2020年と2021年に二度に分けて取得契約を結びました。フランス軍ではこのほか、陸軍と空軍にも採用し三軍統合ヘリコプターとするもようです。
■新コルベットウナイザ
サウジアラビアも国内への製造業誘致を進めています。
サウジアラビア海軍は新コルベットウナイザを竣工させました。ウナイザはナバンティア社のカディスベイ造船所において建造されていました艦艇であり、サウジアラビア海軍近代化を進めるアルサラワットプロジェクトにより建造されたコルベットの5番艦です。またウナイザは艤装の一部がサウジアラビアで行われたことでも特筆される艦だ。
サウジアラビア政府は2030年までに防衛装備品の防衛費における50%までの装備品をサウジアラビア国内で製造すべく工業化を進めています。建造はナバンティア社が主導していますが、建造の条件にSAMIサウジアラビア軍事産業公社との間での合弁会社設立が条件となっており、産油国サウジアラビアでも工業化への注力が本格化しています。
■じんげい自衛艦旗授与式
神戸まで行けば見れたという。
海上自衛隊は新潜水艦じんげい自衛艦旗授与式を行いました、自衛艦旗授与式及び引き渡し式は3月8日、三菱重工業株式会社神戸造船所にて執り行われ、式典には呉地方総監 二川達也海将、じんげい艦長佐藤純2等海佐、三菱重工業株式会社取締役社長泉澤清次氏らが出席しました。じんげい、は横須賀基地の第2潜水隊群第4潜水隊に配備です。
じんげい、たいげい型潜水艦3番艦となっていまして来年には4番艦らいげい竣工の予定、6番艦までが建造中となっています。水中排水量は4400tで通常動力潜水艦としては大型であり、リチウムイオン電池を採用し航続性能を重視した設計となっています。じんげい、この艦名は旧海軍の迅鯨型潜水母艦1番艦迅鯨の名を継ぐ艦となりました。
■太平洋哨戒艇代替計画
中古のまともな艦艇では逆に運用しきれないという事で割り切った哨戒艇をオーストラリアは建造しています。
フィジー海軍はガーディアン級哨戒艇2番艇プアマウを導入します。ガーディアン級哨戒艇はオーストラリア海軍などが導入する哨戒艇でオーストラリアのオースタル社が建造、太平洋哨戒艇代替計画、としまして一部が友好国に提供されておりガーディアン級としては19番艇となります。フィジー海軍は最終的に4隻を導入する計画という。
ガーディアン級哨戒艇は全長39.5m、最高速力は20ノットで航続距離は12ノットで5600㎞となり、フィジー海軍に納入されるガーディアン級は非武装となっていますが30mm口径までの機関砲が搭載可能となっています。自動化の進んだ哨戒艇は中小国でも運用負担が小さく、また同時に燃費向上を含め人件費や運用費用も大きく抑えました。
太平洋哨戒艇代替計画ではオーストラリア海軍に加え、パプアニューギニア、フィジー、ミクロネシア連邦、トンガ、ソロモン諸島、クック諸島、キリバス、マーシャル諸島、パラオ、サモア、ツバル、バヌアツ、東ティモールなどの各国に哨戒艇が配備されるもので、中国の海洋進出や経済進出に対するオーストラリアのプレゼンス対抗策です。
■ADLミサイルランチャー
日本にも追加搭載を検討すべき命題であるよう思える。
イギリスのBAE社はVLS部分代替用のADLミサイルランチャーを開発中です。元々は回転式シースパローランチャーを運用していた諸国へVLSを増設せずESSM発展型シースパローを運用させる為の装備となっていましたが、近年はMk41VLSの多様な装備搭載により、VLS増設という大規模改修を経ず弾薬搭載量を増強させる選択肢となっています。
ADLミサイルランチャーは固定式でVLS2セル分のキャニスターを斜めに内蔵する、発射筒方式を発展させたようなミサイル発射装置となっていて、具体的にはESSM4発を内蔵したクアッドパックキャニスター専用、それほど嵩張らない事から、例えばアーレイバーク級の場合、前部VLS左右やヘリコプター格納庫上などに6基を設置できるとしています。
アーレイバーク級の場合、6基のADLミサイルランチャーによりESSMを48発追加搭載することとなりますが、これによりMk41VLSは12発分の余裕が生じる為、例えば弾道ミサイル迎撃用のスタンダードSM-3ミサイルを12発、若しくは長距離攻撃用のトマホーク巡航ミサイルを12発搭載出来る事となり、水上戦闘艦の運用柔軟性に資する事となります。
■紅海での作戦費用捻出
アメリカ海軍全体での作戦能力不足の原因は紅海という。
アメリカ海軍は既存計画を大幅に見直し紅海での作戦費用を捻出します。具体的には先ずF/A-XX次期艦上戦闘機開発費用を15億ドルから5億ドルへ大幅に削減し、ヴァージニア級攻撃型原潜の建造も毎年2隻から1隻へと半分に削減、更にジェラルドフォード級原子力空母もその5番艦建造を2028年から2030年へと大幅に延期します。
紅海での作戦費用捻出には更に大型水上ドローン艦調達計画も2025年から2027年へ延期、更に運用費用抑制に既存艦艇の退役も大鉈を振るいタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦2隻とホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦1隻、スピアヘッド級高速輸送艦4隻及び遠征移送ドック1隻、インディペンデンス級沿海域戦闘艦2隻を退役させるとのこと。
■ワルラス級潜水艦後継
オランダはかつて台湾に潜水艦を輸出したほどの潜水艦先進国ではあったのですけれども。
オランダ海軍は次期潜水艦をナーバルグループに発注しました。ワルラス級潜水艦の後継研究を進めていたオランダ海軍はフランス製潜水艦を導入することとなります。次期潜水艦選定にはオランダのダーメン社がスウェーデンのサーブ社とともに参加していますが、これが海外防衛産業への発注という点でオランダ国内では議論ともなっていました。
先行してオランダ政府は海軍フリゲイトを発注しており、その建造計画はダーメン社が建造し、武器や戦闘システムは海外製を採用する、武器システムや武装については4隻で25億ユーロ規模という、オランダが過去海外に対し行った海上装備関連の調達としては最大規模の巨額計画となりました。この為、世論には産業流出に警戒感があるのです。
■MRCV多用途戦闘艦
フリゲイトの多機能化という日本でも進む趨勢ですが先方のものは大きく世界的な水上戦闘艦の大型化の流れを感じますね。
シンガポール海軍が導入するMRCV多用途戦闘艦1番艦が起工式を迎えました。MRCV多用途戦闘艦はシンガポールのSTエンジニアリングマリン社が建造するもので、従来のコルベットを置き換えるにしては非常に大型の水上戦闘艦となります。シンガポール海軍には3500t級のステッドファスト級フリゲイトと590t級のヴィクトリー級がある。
ヴィクトリー級コルベットの後継がこのMRCV多用途戦闘艦となりますが、幾つかの点で画期的な水上戦闘艦といい、先ず満載排水量は8000tと第二次大戦中の軽巡洋艦規模であり過去シンガポール海軍には無かった規模となる、そして乗員は自動化を進め僅か80名で運用できるとのこと。シンガポール海軍は6隻の建造を計画しています。
■一番艦オルカ
艦名を先ずさきにきめるという。
オランダ海軍の次期潜水艦艦名について。オランダ海軍の発表によれば、一番艦はオルカ、二番艦はズヴァールトフィス、三番艦はバラクーダ、四番艦はテーヘルハイ、と発表しました。トマホークを搭載、また現在技術革新が続く通常動力潜水艦に在ってオランダ海軍は2000年代の主流であったAIP方式を採用しないことも発表しています。
AIP方式は水中で発電が可能であるスターリングエンジンや燃料電池などの方式が各国で実用化されていますが、日本の潜水艦そうりゅう型後期艦以降、リチウムイオン電池の搭載がAIP方式よりも水中航続距離を延伸させると判断されており、ディーゼルエレクトリック方式とリチウムイオン電池を組み合わせた推進方式を採用するとのこと。
■LRASMミサイル
世代交代となるのか。
アメリカのロッキードマーティン社はLRASMミサイル4発の連携飛行実験を実施しました。LRASMミサイルは現在のハープーンミサイルなどを置き換えるステルス巡航ミサイルで艦対艦型が射程560kmあり空対地型は射程は926㎞にも達する装備、F-35戦闘機にも搭載可能であるほか水上戦闘艦のMk.41VLSにも搭載可能というもの。
ITE-12統合試験課程において実施された試験では4発が密集編隊により遠距離目標を正確に攻撃する状況などを試験したとの考えられています。LRASMミサイルの目的の一つに、高度に防護された標的への攻撃というものがあり、航空母艦など高付加価値目標を広域防空艦複数により防護された状況を突破し無力化するというものが挙げられます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回はオランダ海軍の潜水艦の話題を短期間で追う事となりましたが潜水艦国産能力がいかに重要かという事をちょっと考えてしまいますね。写真はまあ自衛隊観艦式と舞鶴展示君r年からそれっぽいので代用です。
オランダのダーメン社はC-71型潜水艦に関するサーブ社との合意を発表しました。スウェーデンのサーブ社はスウェーデンの潜水艦建造企業コックムス社をドイツ資本からスウェーデン資本にひき戻したことで知られます。そしてダーメン社はオランダ海軍のワルラス級潜水艦後継計画を進めており、サーブ社の協力を受けることとなります。
C-71型潜水艦はワルラス級潜水艦の後継艦として想定され、もともとはスウェーデン海軍のブレーキンゲ級潜水艦、A-26型潜水艦となっていました。ダーメン社はオランダに残る最後の海軍艦艇建造能力を持つ造船所であり、その維持は安全保障上の課題ですが潜水艦建造期間が大きく開いてしまい、この度、サーブ社が協力することとなりました。
■CP-1400オーロラ
各国ともP-3C後継機をいそいでいます。
アメリカのボーイング社は17機のP-8Aポセイドン哨戒機の製造を発表しました。これはカナダ空軍の所要14機とドイツ空軍の所要3機を受注したもので、契約金額は34億ドルに達します。これらをカナダ海軍はCP-1400オーロラ哨戒機、ドイツはP-3Cオライオン哨戒機、共に元々はP-3Cなのですが、これらの後継機に充てるとのこと。
P-8Aポセイドン哨戒機はボーイング737を原型とした総合海洋哨戒機となっています。ボーイング社はボーイング737MAXの各種問題頻出により大きな損害を膨らませていますが、P-8Aの原型機は737MAXではありません。民需部門の苦戦の一方で、せめてもの軍需部門での大口契約成約というものは現在のボーイング社にとり朗報と言えます。
■H-160多用途ヘリコプター
これくらい完成してから日本へ売り込んでほしかったのですが日本のようにSH-60系統に全部集中するよりは救難機などは廉価な航空機とする選択肢はさてどう考えるべきか。
フランス海軍はH-160多用途ヘリコプター導入計画を完了させました。ゲパールの愛称で知られるH-160はエアバス社が次世代多用途ヘリコプターとして開発したもので、元々は陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプターX-4として提案されたものですが、当時はペーパープランであったためリスクが高く、富士重工UH-2に提案の時点で敗れました。
H-160はフランス海軍では救難ヘリコプターや連絡ヘリコプターとして導入されており、ドーファンやパンサーなどエアバス社のアエロスパシアル社時代の中型ヘリコプターを置き換える事となり、2020年と2021年に二度に分けて取得契約を結びました。フランス軍ではこのほか、陸軍と空軍にも採用し三軍統合ヘリコプターとするもようです。
■新コルベットウナイザ
サウジアラビアも国内への製造業誘致を進めています。
サウジアラビア海軍は新コルベットウナイザを竣工させました。ウナイザはナバンティア社のカディスベイ造船所において建造されていました艦艇であり、サウジアラビア海軍近代化を進めるアルサラワットプロジェクトにより建造されたコルベットの5番艦です。またウナイザは艤装の一部がサウジアラビアで行われたことでも特筆される艦だ。
サウジアラビア政府は2030年までに防衛装備品の防衛費における50%までの装備品をサウジアラビア国内で製造すべく工業化を進めています。建造はナバンティア社が主導していますが、建造の条件にSAMIサウジアラビア軍事産業公社との間での合弁会社設立が条件となっており、産油国サウジアラビアでも工業化への注力が本格化しています。
■じんげい自衛艦旗授与式
神戸まで行けば見れたという。
海上自衛隊は新潜水艦じんげい自衛艦旗授与式を行いました、自衛艦旗授与式及び引き渡し式は3月8日、三菱重工業株式会社神戸造船所にて執り行われ、式典には呉地方総監 二川達也海将、じんげい艦長佐藤純2等海佐、三菱重工業株式会社取締役社長泉澤清次氏らが出席しました。じんげい、は横須賀基地の第2潜水隊群第4潜水隊に配備です。
じんげい、たいげい型潜水艦3番艦となっていまして来年には4番艦らいげい竣工の予定、6番艦までが建造中となっています。水中排水量は4400tで通常動力潜水艦としては大型であり、リチウムイオン電池を採用し航続性能を重視した設計となっています。じんげい、この艦名は旧海軍の迅鯨型潜水母艦1番艦迅鯨の名を継ぐ艦となりました。
■太平洋哨戒艇代替計画
中古のまともな艦艇では逆に運用しきれないという事で割り切った哨戒艇をオーストラリアは建造しています。
フィジー海軍はガーディアン級哨戒艇2番艇プアマウを導入します。ガーディアン級哨戒艇はオーストラリア海軍などが導入する哨戒艇でオーストラリアのオースタル社が建造、太平洋哨戒艇代替計画、としまして一部が友好国に提供されておりガーディアン級としては19番艇となります。フィジー海軍は最終的に4隻を導入する計画という。
ガーディアン級哨戒艇は全長39.5m、最高速力は20ノットで航続距離は12ノットで5600㎞となり、フィジー海軍に納入されるガーディアン級は非武装となっていますが30mm口径までの機関砲が搭載可能となっています。自動化の進んだ哨戒艇は中小国でも運用負担が小さく、また同時に燃費向上を含め人件費や運用費用も大きく抑えました。
太平洋哨戒艇代替計画ではオーストラリア海軍に加え、パプアニューギニア、フィジー、ミクロネシア連邦、トンガ、ソロモン諸島、クック諸島、キリバス、マーシャル諸島、パラオ、サモア、ツバル、バヌアツ、東ティモールなどの各国に哨戒艇が配備されるもので、中国の海洋進出や経済進出に対するオーストラリアのプレゼンス対抗策です。
■ADLミサイルランチャー
日本にも追加搭載を検討すべき命題であるよう思える。
イギリスのBAE社はVLS部分代替用のADLミサイルランチャーを開発中です。元々は回転式シースパローランチャーを運用していた諸国へVLSを増設せずESSM発展型シースパローを運用させる為の装備となっていましたが、近年はMk41VLSの多様な装備搭載により、VLS増設という大規模改修を経ず弾薬搭載量を増強させる選択肢となっています。
ADLミサイルランチャーは固定式でVLS2セル分のキャニスターを斜めに内蔵する、発射筒方式を発展させたようなミサイル発射装置となっていて、具体的にはESSM4発を内蔵したクアッドパックキャニスター専用、それほど嵩張らない事から、例えばアーレイバーク級の場合、前部VLS左右やヘリコプター格納庫上などに6基を設置できるとしています。
アーレイバーク級の場合、6基のADLミサイルランチャーによりESSMを48発追加搭載することとなりますが、これによりMk41VLSは12発分の余裕が生じる為、例えば弾道ミサイル迎撃用のスタンダードSM-3ミサイルを12発、若しくは長距離攻撃用のトマホーク巡航ミサイルを12発搭載出来る事となり、水上戦闘艦の運用柔軟性に資する事となります。
■紅海での作戦費用捻出
アメリカ海軍全体での作戦能力不足の原因は紅海という。
アメリカ海軍は既存計画を大幅に見直し紅海での作戦費用を捻出します。具体的には先ずF/A-XX次期艦上戦闘機開発費用を15億ドルから5億ドルへ大幅に削減し、ヴァージニア級攻撃型原潜の建造も毎年2隻から1隻へと半分に削減、更にジェラルドフォード級原子力空母もその5番艦建造を2028年から2030年へと大幅に延期します。
紅海での作戦費用捻出には更に大型水上ドローン艦調達計画も2025年から2027年へ延期、更に運用費用抑制に既存艦艇の退役も大鉈を振るいタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦2隻とホイットビーアイランド級ドック型揚陸艦1隻、スピアヘッド級高速輸送艦4隻及び遠征移送ドック1隻、インディペンデンス級沿海域戦闘艦2隻を退役させるとのこと。
■ワルラス級潜水艦後継
オランダはかつて台湾に潜水艦を輸出したほどの潜水艦先進国ではあったのですけれども。
オランダ海軍は次期潜水艦をナーバルグループに発注しました。ワルラス級潜水艦の後継研究を進めていたオランダ海軍はフランス製潜水艦を導入することとなります。次期潜水艦選定にはオランダのダーメン社がスウェーデンのサーブ社とともに参加していますが、これが海外防衛産業への発注という点でオランダ国内では議論ともなっていました。
先行してオランダ政府は海軍フリゲイトを発注しており、その建造計画はダーメン社が建造し、武器や戦闘システムは海外製を採用する、武器システムや武装については4隻で25億ユーロ規模という、オランダが過去海外に対し行った海上装備関連の調達としては最大規模の巨額計画となりました。この為、世論には産業流出に警戒感があるのです。
■MRCV多用途戦闘艦
フリゲイトの多機能化という日本でも進む趨勢ですが先方のものは大きく世界的な水上戦闘艦の大型化の流れを感じますね。
シンガポール海軍が導入するMRCV多用途戦闘艦1番艦が起工式を迎えました。MRCV多用途戦闘艦はシンガポールのSTエンジニアリングマリン社が建造するもので、従来のコルベットを置き換えるにしては非常に大型の水上戦闘艦となります。シンガポール海軍には3500t級のステッドファスト級フリゲイトと590t級のヴィクトリー級がある。
ヴィクトリー級コルベットの後継がこのMRCV多用途戦闘艦となりますが、幾つかの点で画期的な水上戦闘艦といい、先ず満載排水量は8000tと第二次大戦中の軽巡洋艦規模であり過去シンガポール海軍には無かった規模となる、そして乗員は自動化を進め僅か80名で運用できるとのこと。シンガポール海軍は6隻の建造を計画しています。
■一番艦オルカ
艦名を先ずさきにきめるという。
オランダ海軍の次期潜水艦艦名について。オランダ海軍の発表によれば、一番艦はオルカ、二番艦はズヴァールトフィス、三番艦はバラクーダ、四番艦はテーヘルハイ、と発表しました。トマホークを搭載、また現在技術革新が続く通常動力潜水艦に在ってオランダ海軍は2000年代の主流であったAIP方式を採用しないことも発表しています。
AIP方式は水中で発電が可能であるスターリングエンジンや燃料電池などの方式が各国で実用化されていますが、日本の潜水艦そうりゅう型後期艦以降、リチウムイオン電池の搭載がAIP方式よりも水中航続距離を延伸させると判断されており、ディーゼルエレクトリック方式とリチウムイオン電池を組み合わせた推進方式を採用するとのこと。
■LRASMミサイル
世代交代となるのか。
アメリカのロッキードマーティン社はLRASMミサイル4発の連携飛行実験を実施しました。LRASMミサイルは現在のハープーンミサイルなどを置き換えるステルス巡航ミサイルで艦対艦型が射程560kmあり空対地型は射程は926㎞にも達する装備、F-35戦闘機にも搭載可能であるほか水上戦闘艦のMk.41VLSにも搭載可能というもの。
ITE-12統合試験課程において実施された試験では4発が密集編隊により遠距離目標を正確に攻撃する状況などを試験したとの考えられています。LRASMミサイルの目的の一つに、高度に防護された標的への攻撃というものがあり、航空母艦など高付加価値目標を広域防空艦複数により防護された状況を突破し無力化するというものが挙げられます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)