北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】AH-6リトルバード後継機と水上飛行機型MC-130J輸送機,SEALs海軍潜水艦配備遅延苦慮とCCM特殊作戦舟艇

2024-06-25 20:13:59 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 アメリカ軍特殊部隊に関する最新情報をまとめたのですが情勢変化と既存装備の老朽化に苦慮しているのが良くわかります。

 アメリカ特殊作戦軍はAH-6リトルバード後継機に苦慮しているとのこと。AH-6リトルバードはOH-6観測ヘリコプターの機体を特殊作戦支援用に改修したもので、MC-130H特殊作戦輸送機などの機内に搭載し最前線基地において即座に輸送機から展開させローターを組み立てて飛行させるなど手軽な展開能力が重宝されていましたが老朽化も進む。

 FARA将来攻撃偵察航空機、陸軍は最近複合ヘリコプターを将来偵察ヘリコプターとして後継機に充てる構想を中止していますが、これによりAH-6後継機構想にも影響が及ぶこととなりました、これはFARAをそのまま特殊作戦用に用いるというのではなく、FARAは高速巡航が可能でありAH-6後継機にも高速巡航性能が求められていたのです。

 MH-60M特殊作戦ヘリコプターも、同様に低い巡航速度からFARA配備後はその速度が随伴できず陸軍航空作戦体系を低下させる懸念がありましたが、FARA中止後は少なくとも2050年代以降まで運用継続の見通しとなっています。AH-6は第160特殊作戦航空連隊が独自に改造したもので、現在は電動航空機などを後継として模索しているもよう。■

 アメリカ特殊作戦軍は水上飛行機型MC-130J輸送機の開発を中止しました、空軍特殊作戦軍が2021年に構想したもので2022年にその計画について試作機開発を発表していました、しかしこれが5月7日の特殊作戦定例会議において計画責任者のジャスティンブロンダー空軍大佐により計画が中止されたと発表、その理由は予算不足だとしています。

 水上飛行機型MC-130J輸送機については国防御総省概算要求において計画試作機開発に1150万ドルを要求していましたが予算不足から一時的に停止されたとのこと。1150万ドルという金額は非常に過小にみえるのですが、この計画はC-130J輸送機にそのまま二つの巨大なフロートを装着し水上機化するという力業で改造が想定されていました。

 水上飛行機型MC-130J輸送機の意義について空軍のジムスリーフ大将は2022年、記者会見において島嶼部など敵対勢力が想定できない地域に特殊部隊の装備品などを搬入できるとし、また空軍によるミサイルの落下傘による空輸なども水上航空機により両立化できいるとしていて、またMC-130Jは空中給油機であることも強調していました。■

 アメリカ海軍のSEALsはCCM特殊作戦舟艇への徘徊式弾薬搭載を検討しています。CCM特殊作戦舟艇はアメリカのヴィゴール社が製造するコンバタントクラフトミディアム1型で全長は18.47mと全備排水量は29.8tのステルス設計を採用した舟艇で、特筆すべきは2500hpのMTU社製エンジンにより52ノットの高速航行が可能であること。

 CCM特殊作戦舟艇は乗員が4名ですが特殊部隊輸送用の多目的区画があり19名の特殊部隊員か4.5tまでの装備品などを搭載が可能です。もともと輸送能力として人員のほかに小型舟艇を搭載するか沿岸部まで輸送する車両の搭載用でしたが、シールズではこの多目的区画にスタンドオフ攻撃装備か徘徊式弾薬を搭載することを計画しているもよう。

 CCM特殊作戦舟艇への徘徊式弾薬搭載は特殊部隊の沿岸攻撃能力を強化するとともに、沿岸部の作戦に加えて水上作戦において敵体制色の艦艇に対する限定的な攻撃能力付与を意味します。海軍ではこのほか、取締任務などに用いる小型複合艇を特殊作戦支援用に無人化し、最大で一か月程度の哨戒任務に充てる無人艇計画も推進中となっています。■

 アメリカ海軍のSEALsは海軍の潜水艦配備遅延に苦慮しています。SEALsはオハイオ級戦略ミサイル原潜の改造型に甲板型シェルターを搭載し長距離任務に臨んできました、甲板型シェルターはオハイオ級原潜の長大なミサイルサイロが並ぶ後部甲板上に設置され、此処には必うような機材一式を収容しSEAL輸送潜水艇も接続できていました。

 甲板型シェルターは、海軍には5基が配備されているものの老朽化が進んでおり、特に老朽化が進んでいるものは半世紀近くにわたり運用されているということ。しかしオハイオ級潜水艦は老朽化とともに退役が進んでおり、また新しいSEALs輸送艇母艦にヴァージニア級攻撃型原潜を搭載する代替手段が進められていますがここにも問題が生じます。

 ヴァージニア級攻撃型原潜は現在建造が遅延しており、また建造費と資材費用と人件費が同時に高騰するアメリカ国内のインフレにより現在ヴァージニア級攻撃型原潜は建造費が邦貨換算で1兆円を超えてしまいました。このため海軍では特殊部隊輸送用にイギリス海軍やノルウェー海軍と共に新しい長距離輸送手段の検討を開始したとのことでした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-韓国政府はロシア北朝鮮軍事援助強化に重大な憂慮,ロシア軍はフィンランド国境地域警備戦力大半を抽出

2024-06-25 07:00:55 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 国境警備兵力の大半を引抜くというロシアの異常事態、自衛隊ですらあの3.11の大動員の際に対馬警備隊は引抜かなかったというのに現状は苦境の表れなのか。

 ロシア軍はフィンランド国境地域警備戦力大半を抽出した、ISWアメリカ戦争研究所6月19日付ウクライナ戦況報告が示したところによれば、フィンランドのYle放送局が報道した情報を引用し、ロシアとフィンランドの国境地域に展開していた警備兵力の80%を抽出し、ウクライナ戦線に移送したとのこと。移動は人員に加え装備も含む。

 フィンランドはNATO加盟が決定しており、今後はフィンランドとロシアの国境地域においてロシア軍が軍事圧力を強めた場合にNATOが支援を行う事となりますが、通常戦力のウクライナへの再配置を行っている状況では、今後、通常戦力以外によるNATOとの境界線におけるポテンシャル維持が行われる可能性も否定できません。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナの無人機100万機計画の進展をみていると日本の策源地攻撃にかんする反撃能力整備に例えば無人機一億機というような異次元の防衛力整備を考えてはと思ってしまう。

 ロシア空軍はウクライナ国境地域の空軍基地から戦闘機部隊を再配置している、6月20日のイギリス国防省ウクライナ戦況報告によれば、ウクライナ無人機行動圏内のモズドク飛行場、アフトゥビンスク飛行場、モロゾフスク飛行場、などからロシア軍が戦闘爆撃機などをウクライナ最前線から更に遠い地域へ対空疎開を行っているもよう。

 ロシア空軍では戦闘機事故が増大しており6月12日には北オセチア地域においてSu-34戦闘爆撃機の訓練墜落事故が発生しています。その背景には前線に近い基地からの戦闘機撤収が、結果的に後方の基地から前線への任務飛行距離が増大している事を示し、操縦士や機体整備などの負担が往復の長距離飛行により増大し、影響した可能性がある。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 韓国の砲兵能力は質も量も高い水準で日本ももう少し野戦特科の強化を考えてはと思ってしまうのですけれども。

 韓国政府はロシア北朝鮮軍事援助強化に重大な憂慮を抱いている、ISWアメリカ戦争研究所6月20日付戦況報告によれば、これまで一貫してウクライナへの軍事援助を自粛していた韓国政府が、最近のロシアと北朝鮮の防衛協力拡大を背景に、一転してウクライナへの武器援助解禁に動く可能性があるという。韓国は世界有数の砲兵戦力を持つ。

 韓国聯合ニュースが報じたところによれば、ホジン国家安全保障局長は先日のプーチン大統領北朝鮮訪問に際して、北朝鮮への武器援助と新協定の締結を発表し、これが北朝鮮核戦力増大に繋がることなどへの警戒から、ロシアが北朝鮮へ国連安保理経済制裁違反の武器援助を強化継続する場合は、相応の報復措置を執る可能性を示唆しました。

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