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ウクライナ情勢-米情報機関報告ロシア地上兵力九割損耗と戦車六割超喪失,ウクライナ軍の深刻な弾薬不足

2023-12-21 07:00:19 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 第2師団の対岸にはロシア軍というよりもかつての赤軍並に損耗を無視する脅威が存在するのですね。

 ロシア軍は地上兵力の9割近くを喪失した、12月13日付CNNが報じました。この情報は機密解除を受けたアメリカ情報機関の報告を関係者がCNNに示したもので、ロシア軍はウクライナへ侵攻した36万名のうち31万5000名を戦場で失い、保有する稼働戦車3500両のうち2200両、装甲戦闘車両1万3600両の三割にあたる4400両を喪失した。

 兵力9割を失ったロシア軍は、少なくともロシア軍がこれまで継続してきた陸軍近代化を15年間後退させた報告書はまとめています。これによりロシア軍は作戦内容を大幅に変更せざるを得なくなっていて、例えばドネツク州では2か月間で1万3000名の死傷者を出すなど、大きな戦果を挙げられず兵力を消耗する悪循環に陥っているとのこと。

 ただ、CNNはこの問題点まで踏み込んでいませんが、ロシア軍は地上兵力を喪失する一方、核戦力を含む戦略兵力は全くの無傷であり、今後ロシア軍がウクライナ以外の地域において軍事行動を行う場合、無傷の戦力を行使する可能性が含まれます。もっとも、セヴァストポリやモスクワが無人機攻撃を受けている中でも温存している兵力ではあるのですが。
■ウクライナ軍弾薬不足
 日本を含む西側は航空戦力による短期決戦を念頭にここまで長期間の千数百門単位の砲兵よる年単位の撃ちあいを想定していませんでした。

 ウクライナ軍は深刻な弾薬不足に見舞われている、ISWアメリカ戦争研究所12月18日付戦況報告によれば、西側諸国の支援遅延が全戦線での物資供給計画に支障をきたし、反攻作戦全般へ悪影響を及ぼす可能性があるとのこと。弾薬不足の要因は欧州防衛産業の生産能力縮小からの再拡大遅延と、アメリカのウクライナ援助に関する議会の混乱など。

 ISWがロイター通信を引用した内容として、タヴリースク地区司令官タルナフスキー准将のインタビュー内容としてウクライナ軍は特に122mm砲弾と152mm砲弾が不足しており、現在集積されている弾薬を再分配し、枯渇している地域への補充を促しているという。122mm口径と152mm口径は旧ソ連軍など東側装備の規格となっているものです。

 火力不足として、現在ロシア軍はウクライナ軍砲兵の5倍から7倍の火力投射量を砲撃で打ち込んでいるとも言い、これは報道にもある通りロシア軍自身も弾薬枯渇状況にはあるものの、この規模の砲撃を加えてきているとのこと。西側供与の105mmや155mm砲弾と異なり、122mm砲と152mm砲は数が多く、それだけ大量の弾薬が必要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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