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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

多用途飛行艇に関する補足的な視座【2】山林火災を巨大化させる"地方過疎化""少子高齢化""気候変動"

2025-03-17 07:00:47 | 防災・災害派遣
■山林火災巨大化
 京都市内の庭園などを見ていますと徹底した手入れにより真夏の灼熱でも枯死する樹木は例外的ですが苔など庭園を彩る緑には影響が及んでいる。山間部ではどうか。

 気候変動が山林火災の増加に追い打ちをかける可能性がある。昨年、ブラジルのエンブラエルがアマゾンでの森林火災増大を背景にKC-390輸送機に消防型を開発しましたし、アメリカではボーイング747の消防型が運用されるなど、消防航空機という選択肢は世界的に見ますと、回転翼機だけで運用している日本が必ずしも主流ではないと気付かされます。

 US-2飛行艇と消防任務について。過去十年間の山林火災の被害額と飛行艇維持費、という視座から膨大な飛行艇維持費を見ますと、あたかも熊対策に警察が10式戦車を導入すべきという暴論のように見えてくることは事実です。ただ、消防庁が所管した場合は消防用にしか使用できず、特殊作戦支援や邦人救出など他の任務に転用することはできません。

 自衛隊が運用するからこそ、多用途性能の一端として消防任務が有り得る、という視座を示したものです。その上で、山林火災に過去10年間の被害というものを示すのは、過去十年間大きな津波被害はない、と東日本大震災を忘れて津波への警戒を軽視する様な視座、過去十年間に大きな原子力事故は無い云々、と区切ってしまうような視座にみえるのです。

 山林火災の大規模化、ここで過去十年間というものと区別しなければならない要点を、地方過疎化、少子高齢化、この二つ先ず前回の特集に示しました。具体的には、山林火災の初期消火を行う担い手、山間部人口が減り、減った人口も少子高齢化により消防団など初期の消防能力発揮が難しく、小火が大規模火災化しやすい懸念が過去の事例と違うのです。

 それならば少子化を解消して山間部過疎化を都市化できるよう努力すればいい、こう反論が出るのかもしれませんが、それが出来ないから困っているのです。なにしろ、民主党政権時代の成長戦略として示された林業強化策も空振りに終わり、外国人材も山間部には定着させる施策は無く、山間部集落が限界集落化しているというものが現実なのですからね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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Unknown (フラット)
2025-03-26 10:21:44
気候変動が進みブラジルやアメリカの様に日本の山火事も巨大化するとの前提で航空消防を考えるのは時期尚早かと思います。
その前に気候変動がどの位進行するのか、それが日本の山火事にどの位影響を与えるのかについて研究が先決でしょう。
それから先日もコメントさせていただきましたが、日本の山火事は基本的に人災です。過疎化で人が居なくなれば山火事も起こらなくなる。
この点地震とは異なり、過去10年の傾向の延長上で今後10年を予測する事は間違いではないと思います。
返信する
過疎化と無人化 (はるな)
2025-03-26 21:23:27
フラット さま こんばんは

過疎化と無人化は別では無いかな、と。
わたしのいう過疎化というのは、京都でいえば市北部の旧京北町のような、舞鶴であれば北部のような過疎化で人口が減っている状態です
スーパーが無くて移動販売車も中々来ないような地域ということですね
宮崎山林火災は林業のチェーンソーによる摩擦熱の発火、大船渡山林火災は倉庫火災でしたが、あんなものは10分以内に消防団の消防車が一台駆けつければ鎮圧可能でした
問題は過疎化により通報から30分以上消防車が駆けつけることができない地域が過疎化により増えているということです
一時間すると火災は半径100mに拡大します、すると円周率を計算していただければ、十台二十台の消防車でも鎮火が難しい規模となることはご理解いただけると思います
中国のように強制移転で山間部を無人化することはできませんし、無人化したとしても林業などで管理は必要です
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Unknown (フラット)
2025-04-30 06:44:28
随分間が空いてしまいました。
私は過疎化の行き着くところは多くの場合は無人化だと思っています。
スーパーが近くにないということは、現時点では、車を運転できる人が1家族に最低1人は居て、買い物や通院の送り迎えができているのでしょう。
ただそれがいつまで続けられるでしょうか?
私は京都府の地域事情は分かりませんが、過疎化が進行しているなら、他地域に比べ高齢化が進んでいるだろうと想像します。
その地球では小中学校の休校や廃校が多発しているのではなかろうかとも想像します。
子供やその親の世代がいなくなり、高齢者あるいは高齢者に片足突っ込んだ人しかいない集落は遠くない将来に無人化するだろうと予想します。

林業に関しては不振が長く続いています。山間部に若い人が残れない要因の一つです。
集合住宅の割合が高まっているのと輸入材との競争が響いています。
間伐や枝打ちは将来木材を出荷してそれなりの値段で売れる見込みがあるからできる作業であって、その条件が成り立たず放置される山林が増え続けています。
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