北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

核危機!ザポリージャ原発砲撃,ウクライナ領内ロシア占領下-欧州最大の原子力発電所で何が起こっているのか

2022-08-13 20:01:10 | 防衛・安全保障
■欧州全域と北半球に脅威
 日本では3.11東日本大震災による福島第一原発事故により短期間でも亡国の危機を実感しましたが原因は災害でした、しかしいま欧州では人為的な核危機が現在進行形で続いている。

 ザポリージャ原発、ウクライナ最大の原子力発電所が砲撃に曝されています。原子炉六基が並ぶ欧州最大の原子力発電所でもあり、仮に一基でも原子炉が破壊されれば原発施設全体が放射線汚染により要員が操業不能となり、高濃度の放射能汚染により無人状態となります、炉心安全装置等に不具合が生じれば残る原子炉の暴走しかねない懸念すべき状況だ。

 原発で何が起こっているか。砲撃が加えられています、そしてロシア軍とウクライナ軍双方が、相手が砲撃したとして批判している状況です。原発そのものはロシア軍が占拠している状況なのですが、ロシア軍が占領しつつ爆破するのではなく砲撃、つまり遠方から攻撃を加える事は友軍相撃の状況となりますが、そんな事は有得るか、地図をみればわかる。

 ドニエプル川河畔に位置するザポリージャ原発です、河畔に原発が立地するのは冷却用水等を確保するためなのですが、そしてドニエプル川は東岸こそロシア軍が占領していますが西岸地域は広範にウクライナ軍が維持しており、ウクライナ軍は原発奪還を含め周辺で軍事行動を継続中です。するとウクライナ軍を牽制する為にロシア軍に選択肢があります。

 ロシア軍が自軍の占領中であるザポリージャ原発を砲撃する理由として考えられるのはウクライナ軍を牽制する為に原発占拠部隊ではなく南西侵攻部隊が砲撃した可能性という。対してウクライナ軍が砲撃した可能性も考えられるのですが、理由の一つに原発敷地内ならばウクライナ軍の攻撃を受けないとしてロシア軍は砲兵隊やミサイル部隊を置いている。

 IAEA国際原子力機関のグロッシ事務局長によれば、砲撃により六基ある原子炉のうち一基が一時的に停止を強いられたと発表がありますが、情報を整理しますと、原発敷地内には直径30cm程度の破壊孔がコンクリート建造物に見られ、別の敷地内にはロケット弾の尾部と思われる落下物が地面にめり込んでいるように見える、これはクラスター弾ではないか。

 クラスター弾の可能性、原子力施設を攻撃する事は常識外ではありますが、対コンクリート信管を備えた重砲弾に比べればクラスター弾は一発当たりの威力では施設を貫徹破壊する程ではありません、すると原発敷地内の脆弱目標、補助発電装置や配管などを傷つける可能性はあるのですが、地対空ミサイル部隊や地対地ロケット部隊を狙ったとも考え得る。

 双方が砲撃したのではないか。真実は戦後、原子炉が破壊されない状況で検証する他ないのかもしれませんが、ウクライナ軍はドニエプル河畔の西岸を維持している為にロシア軍は原発を要塞化し砲撃拠点としている為、施設を破壊しない程度の装備によりこれらロシア軍部隊を無力化する必要がある、ロシア軍はウクライナ軍の砲撃を停止させる必要が。

 ロシア軍は敢えて原発を砲撃しウクライナ軍の砲撃と擬装することでウクライナ軍の砲撃を阻止させる目的があるが、その為には施設を破壊する程度の砲撃を加える必要があり、グロッシ事務局長が批判した原子炉停止の背景にはこうしたロシア軍砲撃の影響はあるのでしょうか。これもすべて推測であり、戦後検証、そんなものがあれば、待つべきですが。

 原子炉が破壊されればどうなるのか。原子炉の破壊とは現在問題となっている一時停止ではなく、炉心が破損し核燃料が拡散する状況ですが、チェルノブイリ原発事故以上の事態となります、何故ならチェルノブイリ原発事故は事故であり、あらゆるダメージコントロール措置が取られていますが、ザポリージャ原発では現状占領下、消防作業さえ行えない。

 原発事故となれば、先ず第一に隣接するドニエプル川に沿って高濃度の放射性物質に汚染された水は黒海に流れ込みます、これはロシア軍占領下のクリミア半島を汚染すると共に大気中に拡散した放射性物質はウクライナ東部及びロシア南部と黒海沿岸諸国に拡散、世界の穀物生産拠点であるウクライナとロシアの穀倉地帯を放射能が汚染する事となります。

 唯一の楽観要素は、ザポリージャ原発の六基ある原子炉が軽水炉であり、チェルノブイリ原発事故の黒鉛減速炉ほど核燃料を吹き飛ばさない、福島第一原発事故の最悪ケースとして指摘された全原子炉暴走、この程度に収まる事でしょう。それでも大参事ではありますが、半径200km圏内に事故の重大影響は収まる可能性はあります、それとて大参事だが。

 チェルノブイリ原発よりは、という表現は核燃料の多くが大気中に拡散し、周辺部ではガンマ線照射により数百人の胎児が即死し死産するなどの影響を及ぼした、ソ連時代のチェルノブイリ原発事故が破滅的に深刻であったためで、やはり回避しなければならない状況です、ただ、直接被害を受ける欧州諸国は現在、言葉での批判以上動こうとしていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-岐阜,かき氷は戦闘機発着幕間と夕立のなかで頂く岐阜の氷菓

2022-08-13 14:12:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 雪の舞鶴の写真を懐かしむ今日この頃ですが本日の台風8号の接近とともにこの暑さも秋の頃合いが来るのでしょうか。

 真夏というものはむかしからここまで熱かっただろうか、暑いという漢字はありますがむかしからアスファルトの道路上なんかは暑いというよりも熱いという表現だったと思う、温度よりも感覚として。しかしいまは暑いのは六月初旬と十月初旬まで、夏は熱いですよ。

 コロナ時代の自衛隊撮影、いろいろありますので、それはもう舞鶴展示訓練とか74式戦車の戦車射撃といいましたら駆けつけますが、それ以外は厳選して行事を撮影しているところ、自衛隊の最新の写真をお伝えするには日常の戦闘機発着などを撮影する事が多い。

 岐阜基地撮影、しかし戦闘機の撮影は基地正門前の捻りなんかをテレコン付きの超望遠ズームで撮ると航空祭の臨場感を伝えられるのですが、いちばんの問題は夕立に時雨に村雨という、要するに基地周辺が豪雨に見舞われる、飛行機は飛ばず撮影なんかできません。

 かき氷を頂こう。岐阜は京都よりも熱い、気温の問題で気温祭、いや祇園祭で実感された方も多いでしょうが、京都は湿気と熱さです。岐阜は純粋な熱さとおもう、でもそれは一雨来る前の話で、雨がきたならば熱せられた大地は猛烈な湿気を醸し始める、冷やさねば。

 カフェドリアリティ、民家を改造したような周りの風景にとけ込んだお店であるのですが、注文したのはケーキ屋さんのイチゴかき氷、春には産地直送のイチゴを多用するというおはなしで、しかし夏にはイチゴが旬ではない関係で冷凍イチゴをクラッシュさせるという。

 冷凍イチゴとはありがたい、とにかく世の中熱いのですから少しでも冷えたものを頂きたいのです、和紅茶と口直しのお煎餅もつくのですが、それすらもキンキンに冷やしてほしいとおもうところ。土砂降りの夕立を戦闘機が戻るまで雨宿りとともに落ち着き氷をまつ。

 各務原市役所前駅、名鉄線の岐阜基地正門から最寄り駅に向かう道路、この道路沿いにはかき氷を売っているフードコートを備えたピアゴというスーパーもあるのですが、そんなものでは夏を越えられない。今日紹介のお店はここから3.7kmほど北、山に向かって進め。

 尾崎という住宅地の真ん中にありますこのお店、自動車がなければお勧めできない距離なのですけれども、好いと紹介できるのはここ、テラス席があるのですね。まだまだCOVID-19の時代、感染対策を考えるならば屋内でワイワイ周りとともに騒ぐのはリスク、外がよい。

 夕立のさなかで良かったのかもしれません、直射日光が有れば目の前の舗装道路が輻射熱で更に待つ時間帯に熱せられていたでしょう。手が込んだ逸品ですので時間も掛かります、夕立と雨煙を眺めていましたらばそれほど熱さは感じない、風も涼やかになってきます。

 冷房が利いたお店でかき氷だと、冷えすぎるかもしれない、ちょうど程良く、なんというか熱い外気も調味料におもえるほど、かき氷は体の中を冷やしてくれる。練乳の甘さとクラッシュイチゴの酸っぱさとシロップの甘さに和紅茶の暑さの中の暖かさの熱いひとくち。

 氷菓、そういえば同じ岐阜県に有名なアニメーションがありましたが、COVID-19が落ち着いたらば今度こそ久々に飛騨高山へ行ってみようか、そんな事も思い浮かべていたらばかき氷の中から今度はバニラアイスクリームがでてきまして、味覚変化が食べ飽きません。

 熱いと思っていたが夕立は思いのほか凄かったようで、涼しさも戻ってきました、あのまま岐阜基地で撮影していたらば濡れて大変な事になっていたでしょうが、ちょっとかき氷でも食べに行こう、この機転ひとつで少々遠回りでも夏の思い出がまた一つ増えました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国軍-台湾海峡中間線以東訓練常態化,海峡上空の緊張は北上-懸念される沖縄方面への中台緊張波及の再来

2022-08-13 07:01:59 | 国際・政治
■臨時情報-台湾情勢
 本州へ台風が接近する中ではありますが安全保障情勢ではむしろ沖縄南の台湾海峡波高し、というところです。

 中華民国台湾国防部によれば、中国軍機による台湾海峡中間線を越えての飛行が常態化しているとの懸念を示しました。これは中国人民解放軍が予定よりも延長させて実施していた台湾周辺海域での演習の終了宣言後に当る11日にも台湾海峡での航空訓練を継続しており、台湾海峡中間線を越えての飛行が11日だけで延べ11機に及んだと発表しています。

 台湾海峡中間線、台湾へは中国軍機が度を越した頻度での飛行情報区侵入を常態化させ、防空識別圏内への飛行は珍しくないように思われるかもしれません、しかし実態はそうではありません、中国機による防空識別圏侵入は、台湾南西方面の台湾飛行情報区が南方に大きく伸びている空域において行われていた為で、台湾海峡中間線からは離れていました。

 緊急発進は中国機の増大に対応しきれず特異な状況を除けば実施できない状態となった、とは既報の通りですが、これは上掲の南に大きく伸びた飛行情報区に対しての緊急発進が長距離の飛行を要する為、空軍戦闘機の負担が大き過ぎた為です。そして台湾南方空域となれば、第二の都市高雄はありますが、此処からも離れていて防衛上は多少、看過し得る。

 台湾海峡中間線は、しかしそうは参りません、台湾から見れば攻撃準備行動と判別できない。そして台湾海峡中間線を越えないという暗黙の中台との慣習は相互の緊張を高めない為の措置であり、ここが破られた構図となります。仮に現状のまま推移するならば、中国は段階的に台湾封鎖に近い状況に持ち込み、時機を見て侵攻に遷るのではないかと懸念が。

 日本としても留意しなければならない状況はある、これは中国軍の台湾周辺における軍事演習に際し、我が国EEZ排他的経済水域への弾道ミサイル五発を着弾させ、中国軍のミサイル命中精度を考慮すれば、敢えて我が国EEZ内を照準し狙ったとしか考えられない、すると台湾有事に際して、日本への軍事的示威行動、それ以上さえ発生する懸念はあります。

 中国戦闘機の戦闘行動半径は長大化しています、これは一時年間2000回以上の緊急発進という航空自衛隊史に残る緊張状態が過去に在りましたが、緊張が再来する可能性もあります。一方で、先日の中国軍演習では与那国島近海にミサイルが着弾しており、那覇基地以西に拠点を置く事への牽制も含まれています。深い憂慮と共に対策を建てねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする