北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】百里基地航空祭二〇一二【12】F-2,F-15,F-4三機種とALE-45チャフフレアディスペンサー展示(2012-10-20)

2022-08-28 20:09:03 | 航空自衛隊 装備名鑑
■群青の大空背景に戦闘機
 本日は三年ぶりの松島基地航空祭が雨天と共に行われ午後から飛行展示が叶ったという朗報がありましたが、やはり航空祭は青空が似合う。

 F-2戦闘機にF-15戦闘機と奥のF-4戦闘機、一時代の百里基地を象徴するような情景ですが、2020年代の百里基地はF-2戦闘機の基地であり、考えてみますと未来をも見通したような情景、というのは言い過ぎでしょうか、云い過ぎですね。しかし順光で素晴らしい。

 戦闘機の機動性、これを最適化するという研究は次第に27tもの重量は必要なのか、という根本の問題に展開してゆきます。またF-15を最強の戦闘機と仕立て上げる背景にエンジンバイパス比の研究がようやく低バイパス比で合意に至ったというものがもうひとつ。

 バイパス比、なにをバイパスするかといいますとエンジンの燃焼室です。エンジンに入る空気の内で燃焼室に入る空気との比率です。燃焼室をバイパスする空気が多ければ大きいほど、なにしろエンジンは通るのだから、燃焼量を抑え燃費が向上する、するとどうか。

 高バイパス比のエンジンでは戦闘機の場合は航続距離が伸びるのです。当時はバイパス比が2.2程度が望ましいとされた。実際、旅客機などのエンジンではバイパス比は高い。しかし、戦闘機は航続距離も重要ですが先頭の際には加速する必要があります、すると逆に。

 高バイパス比エンジンは、アフターバーナーを点火する場合に空気流量が燃焼室よりも大きいために一挙に燃費が悪化し、極端な話ですが、時計の秒針のように燃料計の針がフルからエンプティに傾く。バイパス比については極論で0、となるとどうなのでしょう。

 バイパス比0とはエンジンに入る空気がすべて燃焼室を通る場合は、しかしエンジン負荷が大きく、なにより高温に曝され続けることでエンジン耐用が悪く、一回限のミサイルではなく繰り返し飛行する戦闘機には整備間隔が短くなると稼働率を下げ逆に非効率という。

 こうしていったんはバイパス比を1.5として議論を重ね、いったん0.6とした。そして検証したうえで、現在の0.7に収斂してゆきました。FXは、この時点で航続距離よりも運動性能という視点が加味されたため、戦闘機らしい戦闘機を目指すことが既定方針となります。

 さて戦闘機の話題の最中ですが装備品展示、ALE-45チャフフレアディスペンサーが展示されていました、戦闘機がミサイルに追われた瞬間に高熱源体を発して赤外線誘導ミサイルを欺瞞し、プラスティックコーティングされた金属片を撒いてレーダー誘導を妨害します。

 ALE-45チャフフレアディスペンサー、展示されるのは中々無いなあ、と思っていましたら、ダミーではあるのですがチャフ弾とフレアーの中身を抜き出してくれまして、ちょっと大きめの羊羹やチョコレートというところでしょうか、面白い展示だったと記憶するのです。

 F-4戦闘機の油圧機動展示、戦闘機は油圧で動きます、その為の油圧用作動油の管理は不純物が僅かでも混合すれば即座に致命的な事故に繋がる為に定期的な全点検を行っています、そして操縦桿をラダーペダルをどう操作すると如何に作動するかの展示をおこなっている。

 一眼レフで撮影しているのですが、こういうときばかりは動画で撮影しないと作動展示は伝えられない、こう思う一方で動画とカメラを二つ同時に操作しますと共に隔靴掻痒となり、カメラに戻ってこれないか動画を手放すか、となってしまうものでして、なかなかね。

 格納庫での撮影は、しかし注意して撮影時間を確認しなければ飛行展示の際に天井が在って何も見えません、なんていう事にもなります。音に注意していても、しかし油圧動作展示というものも中々の興味深さ、どちらを撮るか、さてさてここでも迷ってしまいますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】山陰本線舞鶴線の綾部駅に発着する特急きのさき号と特急まいづる号

2022-08-28 18:11:32 | コラム
■赤字ローカル線を考える
 山陰本線と舞鶴線の綾部駅にて特急きのさき号と特急まいづる号の写真とともに赤字ローカル線の話題を。

 上下分離方式、鉄道にかんして日本が長期的な持続可能性を考えるならばそろそろ真面目に検討すべき命題かもしれません。上下分離方式というのは、線路を国が国有財産として管理し、列車運行や駅業務を民間などに委託するという方式です。いまは線路も民有地だ。

 鉄道は繋がってこそ意義があるのですが、繋がるという意味をかなり限定して考えているように危惧するのは、例えば第三セクターなどに経営移管したもと本線などが、これは全てではないのですが重量のある貨物列車など通過に対応です、貨物路線として切れる例が。

 もちろん、新幹線併走区間の旧北陸本線のように貨物列車が通行可能という路盤を維持するところはあるのですが、西日本では国鉄宮津線の第三セクター移管では貨物列車通行能力が省かれていますし、JR線でも小浜線などは待避施設一部撤去により実質貨物に制約が。

 貨物列車などはトラックに積み替えれば、こう思われるかもしれませんが、その手間がないからこその鉄道輸送であり、積み替え費用を切れている区間で二度手間とするならば、その費用負担の大きさから鉄道離れが加速して仕舞います、だからこそ繋がる点が重要だ。

 国に余裕がない、こういいましても、それならば地方切り捨てを制度化させ、鉄道貨物路線から切り離された路線の脱製造業や脱農業というような施策を示すべきですが、これをなしに地方創世というような活性化策を行っては、制度として矛盾しているのではないか。

 予算はないといわれるかもしれませんが、埋めるための穴を掘るような施策を予算内で行うよりは、必要な予算というものは存在する、矛盾した施策こそが無駄だ、こういう認識が必要なのかもしれません。鉄道は道路と同じインフラであり、採算だけではない。

 難しい論点は、受益者が沿線民ではないことが多い、また産業が潤うことで沿線にも利益があったとしても間接的な受益である場合には自治体単位での負担というものは理解を得られないでしょう、ここに公共の領域があるために、上下分離は国の所管であると思う。

 現代では、こうした視座を長期的に、つまり短期的な反発があり長期的にも評価されるかは一概にいえない事業評価を、政治的に主導権を決断できる為政者が少なくなっているように危惧するのですよね。そして制度に矛盾があっても前例踏襲であれば批判が来ないのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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かが空母化改修と台湾海峡情勢-艦隊を離れるヘリコプター搭載護衛艦長期改修と周辺情勢への対応能力を考える

2022-08-28 07:00:12 | 先端軍事テクノロジー
■かが空母化改修を考える
 空母化という言葉が良く用いられるのですがDDVとなるのかDDHのままなのかは発表はありません。

 F-35B新田原配備開始は護衛艦かが第一次改修工事完了翌年の2025年からとなります。F-35B戦闘機は航空自衛隊に既に配備されているF-35A戦闘機が空軍型であり滑走路を必要とするのに対し、F-35Bはアメリカ海兵隊のF/A-18C戦闘攻撃機やAV-8B攻撃機の後継であり、特にAV-8B攻撃機の強襲揚陸艦からの運用能力を継承する戦闘機となっています。

 海上自衛隊ではF-35Bの垂直離着陸能力を最大限発揮するべくヘリコプター搭載護衛艦からの短距離発進垂直着艦能力を構築する方針であり、既に全通飛行甲板を有する護衛艦いずも型の飛行甲板耐熱改修を順次進めています。ただ、この海上自衛隊のF-35B運用能力付与は、我が国周辺情勢に影響を与え得る事は無いでしょうか。例えば台湾海峡情勢です。

 台湾海峡情勢を考えるならば中国海軍は航空母艦建造を進めており、電磁カタパルトを搭載する003型航空母艦福建の進水式を2022年に挙行しました。しかし、海上自衛隊がF-35Bを運用する護衛艦部隊の整備を進めるならば、西太平洋地域におけるアメリカ海軍以外の巨大な艦上航空戦力が整備される事を意味し、タイムリミットを示した事になるでしょう。

 護衛艦かがF-35B搭載改修は台湾海峡情勢に影響を与えるのでしょうか。2022年3月より海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦かが、の改修工事を開始し呉で入渠中です。既に2021年に海上自衛隊は飛行甲板耐熱改修工事を完了した護衛艦いずも艦上へF-35B戦闘機発着試験をアメリカ海兵隊の支援とともに岩国基地沖および高知県沖にて実施しました。

 かが改修工事は大規模なものとなり、この改修工事により護衛艦いずも型の識別点でもありました独特の台形型艦首飛行甲板構造は全長を最大限戦闘機の短距離滑走に対応させるべく全通飛行甲板全体を長方形形状に変更する、つまり飛行甲板形状を造り変える大規模なものとなります、この為、飛行甲板耐熱工事実施よりも格段に改修工事の時間を要する。

 2024年にひと段落する、この規模の期間で艦隊から海上自衛隊最大の護衛艦が離れるという事は、はるな型護衛艦FRAM工事以来のもので、単なる全体修理と異なり飛行甲板の設計変更は完熟訓練を必要とするものです。一方、台湾海峡情勢を鑑みますと、2024年以降まで海上自衛隊の抑止力を現状のまま対応できるか、真剣に情勢をみなければなりません。

 F-35B戦闘機艦上運用と護衛艦F-35B戦闘機運用は法整備の面で踏み込んだ自衛隊法改正が求められるのかもしれません。それは航空自衛隊のF-35B戦闘機がアメリカやイギリスなどの航空母艦や強襲揚陸艦の艦上での共同訓練強化が見込まれる為で、これはイギリスの空母クイーンエリザベス艦上にアメリカ海兵隊機が展開した様な運用も考えられる。

 航空機の訓練展開は、既にSH-60K哨戒ヘリコプターやMCH-101掃海輸送ヘリコプターが行うような自衛隊以外の艦艇での訓練が行われていますし、アメリカ海軍やオーストラリア軍などの航空機が海上自衛隊護衛艦での発着訓練を実施しています。この現状を見る限り、航空自衛隊のF-35Bが外国艦へ訓練展開する可能性はある種当然といえましょう。

 法整備、しかし忘れてはならないのは、有事の際にSH-60Kが燃料補給を受ける場合とF-35Bが再発進の補給を受ける場合とでは、戦闘、特に集団的自衛権行使への関与の度合いが大きく異なる事を留意しなければなりません。現行法のまま法の運用で対応できるのか、法改正が必要なのかを含め、問題となる前に充分な検討が必要といえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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