北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】ユーロサトリ2022戦車情報,KF-51パンターとルクレルクXLRにK-2PL戦車

2022-08-16 20:00:02 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 ユーロサトリ2022国際装備展の戦車に関する続報です。

 ドイツのラインメタル社がユーロサトリ2022国際装備展に出展したKF-51パンター戦車について更なる情報が入りました。パンサー戦車は4名乗りとなる模様。パンター戦車は130mm滑腔砲を搭載し重量級の砲弾を用いる為に自動装填装置を採用していました、この為に装填手が不要となり通常各国の自動装填装置採用戦車の乗員は3名となっています。

 KF-51パンター戦車は砲塔左側に車長と右側に砲手、そして車体右側に操縦手が乗車し左側に武器要員が配置されるという、非常に稀有な配置を採用しました。操縦席には小型のペリスコープは配置されますが非常用で、操縦は基本的に操縦席に配置された三枚の大型モニターが設置され、各種情報を表示します。大型モニターは各員用にも配置されている。

 KF-51パンター戦車のもう一つの特色は巨大な砲塔で、ほぼ車体の八割に匹敵する大きさです、頂点にはSEOSS2車長用照準器が配置、その巨大な砲塔後部は弾薬庫であり、自動装填装置用と共にHERO-120徘徊式弾薬という無人機格納庫の役割を担うハイブリット構造を採り、砲塔最後部にナッターRWSが配置、武器要員はC4I機材やRWSを操作します。
■ルクレルクXLR
 ルクレルクは90式戦車の少し後で制式化されましたが改良が続く、ただしEMBTとパンターが隣にいたせいで周りに存在感を呑まれてしまった印象ですが。

 フランスのネクスター社はユーロサトリ2022国際装備展においてルクレルク戦車最新改良型のルクレルクXLR実車を初公開しました。これはフランス軍が進めるスコーピオンプログラムに基づくGTIA将来複合戦闘群への適合化を念頭とした既存車輛の改良型で、2020年から改修が開始、今回は四年ぶりとなるユーロサトリ2022にて公開されたかたち。

 ルクレルクXLRの改修点は新しいONTACT戦術無線システムとSCORPIONコマンドのセットアップ、およびSICS情報システムの追加です。もともとルクレルクは1992年の開発当時に世界で初めて車体間データリンクシステムを搭載したC4I時代の戦車となっていますが、システム強化など継続的に実施、30年を経て一新させたのはルクレルクXLRです。

 ルクレルクXLRのスコーピオンプログラム対応型開発は2016年のユーロサトリにて発表、特に当時ロシアが発表した将来戦車T-14アルマータへの対抗が主眼とされていました、2020年には3億3000万ユーロを投じ、200両のルクレルク戦車と18両のルクレルク戦車回収車への改修が決定、この改修により2040年代以降もルクレルクは運用可能になります。
■K-2PL
 韓国のK-2戦車は実車展示を見送ったもののノルウェーに続きポーランドでの採用候補となり存在感をましています。日本戦車も真面目に輸出を考えてよかったようにも思うが平和憲法はそれを許さない。

 ポーランド軍はユーロサトリ2022国際装備展にて次期主力戦車として韓国製K-2戦車改良型を採用する覚書に署名を発表しました。ポーランド軍に配備されるのはK-2PLというポーランド軍仕様で、ポーランド軍の要求性能が反映されると共にエンジンなどはポーランド兵站基盤に考慮、またポーランド国内で実質的なライセンス生産が行われるとのこと。

 K-2戦車は韓国がK-1戦車の後継として独自開発した主力戦車で、愛称はブラックパンサー、韓国陸軍へ配備が進むと共に韓国では各国へ精力的な売り込みを実施、車高が低く防御力を確保し充分な威力の主砲は、順次韓国製部品に置換えられているものの、火器管制装置やエンジンなどのパワーパックは当初の試作車で外国製部品が多用されていました。

 輸出に際してはこの初期の各国部品応用が言い換えれば導入を希望する諸国の仕様に柔軟に対応できる事を意味し歓迎、前型のK-1戦車はマレーシアへの輸出計画が実現しませんでしたが、K-2は現地生産や現地仕様への柔軟な姿勢により、トルコのアルタイ戦車という輸出実績がある。ポーランドは最大600両を導入、先行し原型のK-2を導入する構想です。
■取り残された無人砲塔
 ロシアはT-14戦車を出すよりもウクライナの前線にT-62を現役復帰させたくらいですから。74式戦車のライバルとされた戦車の復活を前に無人砲塔の話題は何処かへいってしまった。

 ユーロサトリ2022において無人砲塔型戦車は発表されませんでした、無人砲塔戦車として代表的な存在はロシアが開発中のT-14アルマータ戦車です、ウクライナ侵攻に伴うロシアウクライナ戦争により、ロシア製兵器は今回ユーロサトリには出展されていません、しかし、アルマータ自体は昨年のロシアで開かれたアルミヤ陸軍2021に出展されています。

 T-14アルマータ戦車は2015年のモスクワ戦勝記念日閲兵式において初めて公開され、ロシア戦車としては過去のT-80やT-90よりも大型の車体と共に無人砲塔を採用した事で注目を集めました、発想としては乗員は車体の堅固な装甲カプセルに配置され、センサー各種を用いて戦闘を行うものです。画期的に思われましたが7年後の今日も実戦配備が未だ。

 KF-51パンター戦車、EMBT戦車、ルクレルク最新改良型、K-2戦車ノルウェー仕様とポーランド仕様などが展示されましたユーロサトリ2022ですが、結局新設計のものを含め友人砲塔を採用しており、センサーだけでは戦車戦闘は実行不可能であることを示したといえるのかもしれません。他方、RWS遠隔操作銃搭については大きく展示されていました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】京都駅行き交う特急サンダーバード&くろしお情景と共に考える五山送り火観覧の名所

2022-08-16 18:14:11 | コラム
■今夜は五山送り火
 涼しくなったのか慣れただけなのかという頃合いではありますが季節はいまお盆です。

 五山送り火、本日もう間もなくですが撮影の穴場といいますと何処でしょうか。基本的に全部見るのは難しい、嵐山の鳥居型と西賀茂の舟型を見るには、将軍塚に上ると一番遠い鳥居型まで直前12kmで何とか見えるのかもしれませんが、場所は限られています。

 如意ヶ嶽の大文字に限って考えるならば、お勧めは北大路通りの船岡山や鴨川界隈でしょうか、鴨川の堤防は良く見えます。京都御所もお勧めなのですけれども、混雑はしますし公共交通機関の市営地下鉄がかなり混雑しますので、感染対策を考えるとどうかさけたい。

 大文字に限るならば千本北大路のあたりから見上げます左大文字などは、松明を使っての送り火ですので、送り火が山を進む様子も見えますのでなかなかにお勧めというところです。ただ、撮影するとなりますと電線がどうしても映り込んでしまうのは残念といえる。

 鴨川堤防からの大文字は、ただ歴史はあるものでして、先斗町や川床のあたりからは、盃にお酒を満たして大文字を映して飲み干すと無病息災になるという。ただ、いい気になって帰路に市バスや地下鉄を使うとCOVID-19,コロナをもらうことになるので要注意です。

 真如堂や金戒光明寺のあたりの参道は間近にみえるところで、今出川通りあたりからは邪魔になります電線も標高が有りますので気になりません、望遠レンズが有れば点火している様子もくっきりと見えるでしょう。穴場は多い、公共交通機関よりも歩くのが安心だ。

 舞鶴は今日凄い雨でした、通り雨だったようですけれども。さて、あと二時間もない五山送り火ですが京都市内の天気、一瞬通り雨はありそうですが、ここからは運、いや雲次第というところでしょうか。お盆の伝統行事、市外からお出かけの方は感染対策をご留意ください。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台湾へマーキー上院議員ら超党派議員団訪問,蔡総統と会談-中国人民解放軍は台湾周辺海域で新たな演習を開始

2022-08-16 07:02:45 | 国際・政治
■臨時情報-台湾情勢
 沖縄の直ぐ南での緊張状態は終戦記念日を挟んでも沸騰しつつある中で推移しているもよう。

 アメリカのマーキー上院議員ら超党派の上下両院の議員5名は14日、台湾を訪問、蔡総統と会談に臨みました。会談には呉外交部長や立法院外交国防委員会も参加、ペロシ下院議長の台湾訪問を契機に中国が軍事演習を強化し台湾では中国軍の侵攻が現実化するのではないか不安が募っていた中でのアメリカ議員団訪問へ、蔡総統は感謝の意を表明しました。

 中国軍は反発し15日から新たな軍事演習の開始を発表しています。ただ、ペロシ下院議長台湾訪問を契機としての軍事演習から、台湾周辺での中国軍事演習は常態化の様相を示しており、ペロシ下院議長訪台を口実として元々段階的に高める予定であった緊張を一挙に増大させたのではないかとの分析も成立ちました。今回の演習期間は発表がありません。

 ホワイトハウス報道官の談話として、議員団の訪台は過去にも定期的に行われており特別な事ではないとしていますが、過去の議員団訪台では訪問日程などを事前に発表していたのに対し、今回は事前発表などはなく、中国側にアメリカなりの配慮をしたという事情はあるのかもしれません。一方でペロシ下院議長訪台への中国の過剰反応への対応策とも。

 ペロシ下院議長訪台とともに中国軍は大規模な軍事演習を実施し、弾道ミサイルが沖縄沖の我が国排他的経済水域にも打ち込まれた事で、あからさまな恫喝であり軍事的示威行動と見る事が出来ましたが、これを以てアメリカの台湾との関係が委縮しては、逆に中国の軍事圧力にアメリカが屈し、中国に更なる行動の激化を黙認したと印象を与えかねない。

 可能性の一つとして、中国が軍事演習の常態化により台湾封鎖の既成事実、例えば主要港湾付近でのミサイル演習の継続により船舶出入港を妨害し、今後の可能性として例えば機雷掃海訓練の名目での台湾周辺海域への機雷敷設訓練等を行う懸念が既にありましたが、逆手にとって議員団の訪台を常態化させ、中国を逆に疲労に追込む構図も、あり得るのか。

 アメリカ政治を理解するならば、中国のような共産党の指針に全てが一本化する政治体制ではなく、基本的に公正と自由という指針とともに政治活動は自由であるのがアメリカです、故にバイデン政権の指針と理解するのは早合点ではあるのですが、結果論として訪問を向上かさせるならば、中国軍の稼働率を疲労に追込む一つの要素とは、なるのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする