北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都幕間旅情】今宮神社,御霊会開かれ疾病鎮撫を願う歴史佇む社殿に願うCOVID-19第七波感染拡大の鎮定

2022-08-03 20:22:51 | 写真
■過去最大の感染拡大
 御霊会の今宮神社、ここまでCOVID-19の感染規模が酷くなりますと、誰も居ない社殿に歩み進めてかつて疾病鎮撫を願った神々に祈るしかないような、そんな気持ちになる。

 今宮神社は京都市北区紫野今宮町に鎮座しています、大己貴命と事代主命と奇稲田姫命を祀る社殿です、正暦5年こと西暦994年に平安京を襲った大規模な疫病の鎮撫を願い朝廷が船岡山にて執り行った神事に由来する社殿です。船岡山は北大路通の向かい側にある。

 第七波は七月中旬に猛威を振るい始めてからなかなか沈静化の兆しが見えません、なにかこう政府の“行動制限の必要は無い”という実態は“緊急事態宣言を出す必要は無い”という政治上の発言を解釈して“感染対策が必要な段階は終わった”と曲解していないか。

 インフルエンザと同じくらいしか新型コロナウィルスに脅威度合いはない、こういう表現がありましたので、そもそも員得るエンザの脅威度を厚生労働省資料から探してみたのですが、実態を見ますとそう甘いものではなかった、感染者数は確かに大きいものでしたが。

 1000万名程度が感染していた、インフルエンザは一医療機関当たりの感染者数から全体の流行相を厚生労働省あ分析していました、過去形なのはCOVID-19感染拡大を受けての感染対策がインフルエンザをここ三年間押しこめている為で、数字はコロナ前の集計のもの。

 インフルエンザの死者数は、2001年が214名で顕著に多かったのは2005年の1818名とのこと。千数百亡くなっている年もあるではないかと思われるかもしれませんが、この死者数が出ている年度がH1N1型という新型が確認された年度である点に留意が必要です。

 H1N1型も普通のインフルエンザだと思われるかもしれませんが、感染症法上の類型では新型インフルエンザは二類に区分されています。もっとも感染を繰り返す事で集団免疫が構成され弱毒化する事により現在は五類に区分されている。この留意が必要なのでしょう。

 1339万5843名、これは厚労省が8月3日までの三年間の累計の感染者数なのですが、これを見ますと年間1000万を感染させていた季節性インフルエンザよりも、なにしろ三年分で約1340万名ですので感染者は少なく見える、しかし死者数は3万3019名にも上るのだ。

 本日の死者数は169名、これはインフルエンザの2001年全体の死者数214名よりは確かに少ないのですが、しかし一年間の数字と一日の数字が並ぶあたり、既に異常と考えなければならないのですよね、当たり前ですが年間の死者数はインフルエンザを遥か超えます。

 超過死者数を考えればインフルエンザの死者数は数字よりも遥かに多い、こう指摘もあるのでしょうが、COVID-19も感染が判明するならば計上されますが、全量を把握できていない事は政府専門家会議が認めていますし、なにより救急車が払底する現状だけで異常だ。

 しかし、事実上の医療崩壊にあるとして、厳しすぎる感染対策を改め、感染症法上の位置づけを二類相当から五類に緩和し、保健所業務を縮小してはという要請が都道府県知事などから提唱されています。これで解決というよりも、わたしには無条件降伏に見えるのだ。

 感染症法上の扱いを二類から五類とすれば全ての医療機関が診療に当れるという楽観論もありますが、いま発熱外来を置いていない医療機関が果たして診療に応じるでしょうか、そもそも医療機関にCOVID-19診療を制限する制度は無く、五類変更と関係はありません。

 公費負担の医療費、これが個人負担になったとしても、報道番組等での医療従事者の試算で軽症ならば保険適用の前提で二万円から注射などでも十万円程度で収まり家族全員感染しても医療費は現実的という楽観論もあるのですが、もう少し慎重になるべきと思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】等持院,木々高く包む禅寺の溢れる情緒は複雑な歴史故と静けさの背景にある厳しい現実

2022-08-03 20:00:07 | 写真
■キネマの聖地,学びの活気
 今も続くコロナ禍下故に前のような急かす日常よりの延長を避け寺院拝観などではゆったり時間を過ごす事が多くなりました。

 等持院を拝観し歩み進めますと、惹かれる情緒のようなものというものの背景には複雑な歴史が今にも伝わる背景があるのかな、こうも考えてしまいます。室町将軍に西園寺家、そしてもう一つこの情感に新鮮さを付け加えるのはここがキネマの聖地でもあった事ゆえ。

 日本映画ゆかりの地、ここはマキノ省三監督が大正十年に映画撮影所を設けました、実はこの頃の等持院は残念なことに明治維新とともに江戸時代には室町幕府の菩提寺となっていました、しかし、これが維新により寺の維持費を出せないほど衰退してゆきました。

 映画の寺へ、マキノ映画の撮影所に敷地を貸した当時の等持院はそうとうに厳しい経済状況にあったのでしょう、いや、檀家もほぼないものでしたので寺院の寺域を住宅地などに切り売りする、爪に灯をともすような状況であったための苦肉の策といえましょう。

 マキノ映画、ただ、撮影には本堂さえも貸し出すほどに活用しましたので、多くの映画人が集う、芸術的な気風が醸成されていったものと思います。もっとも、その撮影により少々伽藍も痛んだといいますが、歴史と共に映画と、そして大学、不思議な情感は複雑故か。

 等持院、ひとつだけ夏の難点をあげれば、多少蚊がいる点でしょうか、もちろんお寺ですので蚊取り線香でやっつけてほしいという言葉はなかなか言えないのですが、しかし、人類に一番危険な生物は微生物をのぞけば蚊だ、という指摘もあります、そしてじつに痒い。

 回遊式庭園は、もうひとつ、座れるところが有れば、と思うのですよね、椅子がほしい、お寺を急いで回るようにするのではなく、じっくりと歴史とともにその縁に思考の旅を巡らせるには、座って拝観、ひとやすみを一休みの合間に挟んで巡りたい、ともおもう。

 拝観に際して実は庭園にも僅かに椅子、座れる場所はあるのですけれども、もう少し落ち着いて眺めていたい。ただ、このコロナ禍下、ひとつ変化が、静かすぎるのですよね此処庭園が。いや静けさを求めてきたのだろうと思われるかもしれないが、拝観者でなく。

 拝観者、減ってはいるのでしょうがもともと静かな等持院、ただ、庭園のほうは立命館大学のキャンパスから生活音が流れてくるものでした、しんと静まりかえる禅寺ではあるのですが、静かすぎるとしんとした耳鳴りのようにかえって静けさ、逆に気になってしまう。

 コロナの時代、立命館はキャンパスを閉鎖している期間があった、再開したのだけれども2010年代にあったような、関心への探求心と学生の活力、こうしたものはキャンパスが再開したのちにはまだ戻ってきていない、そんなことを実感する、実際人が少ないのだ。

 禅寺である等持院、もともと禅寺は教義を探索するというなにか大学の源流に当たる気風を湛えているのですが、お隣の大学は研究棟と図書館や書庫の間の動きさえ絶たれているようにみえる、大学の研究基盤は大丈夫なのか、静けさの中でふと感じてしまいます。

 お抹茶も。等持院はCOVID-19感染拡大前までは、庭園を眺めながらお抹茶を嗜むことができるお堂でした、しかしいまは茶の湯道具も仕舞われ、つまりそういうことです。静かすぎる、静かなのはいいことなのだけれども不安を呼ぶ静けさは不気味にも思えてしまう。

 木々は高くその禅寺の風情を、街中の緑という印象を濃く留めていますがその奥にやや見える大学施設の赤レンガ、調和を乱すような感覚も覚えますが、いま大学生は大変な苦境に置かれている、静けさの背景を考えると、原因であるコロナの鎮静、願いたいものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ペロシ下院議長台湾訪問-軍事行動も辞さない,中国はアメリカ下院議長の台湾訪問に何故激しく反発するのか

2022-08-03 07:01:41 | 国際・政治
■臨時情報-台湾海峡緊張
 民主主義か戦争かという厳しい緊張や平和モラトリアムの中断に繋がりかねない、そんな大きな出来事が昨夜日本時間2345時にありました。

 台湾へアメリカのペロシ下院議長が初訪問しました、アメリカ下院議長は大統領継承順位二位、副大統領兼上院議長に継ぐ国家の高官であり、その台湾訪問は25年ぶりとなります。日本にはバイデン大統領やトランプ前大統領とその前の大統領はじめアメリカの国家元首が定期的に訪日する為に実感がわかないかもしれませんが、これは大変な転換点なのです。

 アジア歴訪のペロシ下院議長は台湾訪問を予定しているといわれつつ、シンガポールとマレーシアに続いて韓国と日本などを訪問するとされていましたが、等に台湾が含まれるのではないか、世界は下院議長の専用機動向に注視しました、専用機は台湾海峡を避け、大きくフィリピン海を迂回し、台湾の松山空港に到着、まさに歴史的なアジア歴訪の幕開け。

 中国政府はここ20年間で最大規模の反発を以てペロシ下院議長の台湾訪問へ抗議しています、それはバイデン大統領と習主席との米中電話首脳会談においても習主席はきっぱりと米中関係の緊張が増大する行為として反対しています、そして台湾海峡へ海空軍の部隊を展開させ中国空母が遊弋、対してアメリカも空母打撃群や在沖米軍の強化を行いました。

 ペロシ下院議長の台湾訪問、対岸の上海訪問であれば中国は熱烈歓迎と祝賀会を開いた事でしょうが台湾海峡の台湾側となりますと真逆です、中国は“五独を許さない”という国是として、台湾と香港にチベットと内モンゴルに新疆ウイグルの独立兆候に対して、過激ともいえる拒絶反応を示し、また“五独”の内で台湾だけは施政権が及んでいません。

 中華民国台湾は国共内戦において中国共産党に敗北を続け首都南京も失陥、遂に大陳島撤退作戦を経て大陸放棄、そして台湾島に退避する事となりました。ただ、その後に金門島の戦いにおいて中華民国軍は奇跡的勝利をおさめ、停戦状態にもって行きます。ただ1971年に中華民国は常任理事国の地位と共に国連を脱退、世界は一つの中国政策を支持する。

 一つの中国政策、これは中華人民共和国が中国唯一の正当政府であり、台湾との正式な外交関係を結ばず大陸中国を尊重するという施策で、日本も田中角栄総理が結んだ日中国交正常化を受け、台北の日本大使館を閉鎖し、交流協会に事実上格下げしています。ペロシ下院議長の台湾訪問に中国が大きく反発している背景には、こうした事情があるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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