■安全保障-厳しい選択
海洋安全保障問題は2020年代に1950年代から2010年代とは別次元の厳しい選択を政治と国民がせまっら得るかもしれません。
日本の防衛、平和憲法下ではありますが、基本的な平和主義は堅持しつつ、しかし日本の国力や国土を第三国の軍事力により国際公序から逸脱した目的に悪用させることは拒否するという姿勢が必要です。それは海洋自由原則、基本的人権、人間の安全保障、など挙げられる。90年代の概念、人間の安全保障の言葉は近年、SDGsとも呼ばれるようですが。
伝統的な手段としての平和主義は、言い換えれば日本の海岸線に戦車を並べでもすれば実現する分野ではあります。しかし、太平洋戦争の地上戦が小笠原諸島や沖縄本島周辺での戦いにより、本土決戦を経ずして無条件降伏に追いやられた事からもわかるとおり、日本はシーレーン、その航行を開かれて維持する海洋自由原則により保たれている現実もある。
海洋自由原則は、文字通り開かれた海洋を国際公共財として維持するもので、マハン的な概念ではありますが、海洋自由原則ではなくゲオポリティクス的な観念から海洋の一区域を占有できる、戦前日本の場合は西太平洋、この認識が海洋自由原則の国際公序と正面から激突、しかし軍事的な視点もゲオポリティクス的であった故に敗北した一面があります。
ゲオポリティクス的というものは、文明圏の中心を示すハートランドと、文明を支える為の勢力圏の外縁をリムランドとする、原型としては帝政ドイツ時代の、しかし中華思想を軍事的に拡大解釈した様な理念です。理念は排他的であるため、結果的に海洋自由原則と真っ向から衝突するという、海の視点ではなく陸の視点を海に無理矢理適合させたもの。
日本。専守防衛は、拡大運用こそ為されていますが、これは防衛上の鎖国政策とも言い得る概念を現実に、名文上の憲法との矛盾と不適合を統治行為論の最高裁判断に甘える構図で展開しています。ただ、これは防衛政策が多分に抑制的であるという一点と、一方で一歩間違えれば防衛政策を周辺国へ誤解を与えないかという危惧とが並ぶもどかしさは有る。
憲法の視点を改めて正面に示すのは、日本が世界に示すソフトパワーにおいて、脱領域性を以て受け入れられるものの筆頭が平和であり、この骨幹は維持すべきだと考えるためです。自動車にハイテク家電とアニメーション、ソフトパワーは数多ありますが日本以外でも提供できるものが大半です、この中で例外的分野が実のところ日本型平和主義でないか。
海上防衛、この視点とともに憲法を列挙する背景には、海上防衛というものを伝統的な日本型平和主義と並列しますと、その任務領域は日本の領域からは少なくともシーレーンに沿って遠心するものであり、日本国憲法制定の時代と比較するならば、グローバリゼーションという概念と日本の依存する国際公序が、実は全く違う広さをもつためです。さて。
新しい八八艦隊。Weblog北大路機関では海上防衛の一つの理想型として、現在の護衛艦隊の4個護衛隊群体制を堅持しつつ、しかし4個護衛隊群を構成する8個護衛隊について、現在半分にのみ配備されているヘリコプター搭載護衛艦を4隻から8隻に増勢し、護衛隊群を構成する2個護衛隊編成を統一すべき、との視点を毎年八月八日に掲載しています。
全通飛行甲板型護衛艦は、F-35Bを搭載するならばイージス艦支援のセンサーノード任務を含め水上打撃戦や限定的な弾道ミサイル防衛まで、SH-60Kを搭載するならば対潜掃討群として、MCH-101掃海輸送ヘリコプターは機雷戦に対応しMV-22とAH-64DとCH-47を搭載するならばコマンドー母艦として揚陸任務にも対応でき、航空機の入れ替えは早い。
新しい八八艦隊の必要性、これを考えるときに重視する視点は上記転換の早さに留まらず、その原点にあるもの、ヘリコプター搭載護衛艦は航空隊規模の部隊を収容できるという点です。これは護衛隊に航空隊、二つの隊で一つの"群"、任務群を編成できることともなり、護衛艦隊の作戦単位を4個護衛隊群に結果として8個任務群配置できるという点に繋がる。
任務群とはいいましても、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に2隻の汎用護衛艦というものですから、4隻といえど強力です。単純計算で基準排水量だけを比較した場合でも1990年代の一個護衛隊群に匹敵し、そして艦載機の総数も、8隻8機体制の88艦隊時代よりも強化されており、8個任務群があればかなり余裕あるローテーションも組めるのですね。
ヘリコプター搭載護衛艦は日本が1973年に護衛艦はるな竣工を果たして以来、連綿とその運用基盤を強化し続けてきました日本型海上防衛システムの一つの具現化で、護衛艦そのものは年々と旧式化を進めたとしても艦載機を近代化することで常に第一線の能力を維持できるという独特のものです。現在のものは更に進みF-35B戦闘機さえ搭載可能となった。
はるな型ヘリコプター搭載護衛艦が建造された当時は、海上自衛隊に艦載機を運用可能な艦はほかに砕氷艦ふじ、くらいでありヘリコプター搭載護衛艦に搭載されたHSS-2対潜ヘリコプターは吊下ソナーも搭載する、アメリカでは対潜空母などに搭載されるもので、2隻一組で運用される6機というものは、当時の米空母での対潜飛行隊定数と同数のものです。
潜水艦対処を重点としてシーレーン防衛の基盤を着実に構築してきました海上自衛隊、その背景にはソ連海軍にはYaK-38攻撃機を搭載するキエフ級空母はありましたが、艦隊に脅威を及ぼすような洋上航空戦力はなく、1980年代にミサイル爆撃機バックファイアが整備される頃まではまさにシーレーン防衛は対潜水艦作戦と同義といえました。当時としては。
ひゅうが型護衛艦。2000年代も2010年前後からヘリコプター巡洋艦型の護衛艦はるな型、しらね型を置き換えるのは全通飛行甲板型護衛艦というべきものでした。海上自衛隊はDDVとして過去に幾度かハリアーを研究しています、8700t型DDV航空機搭載護衛艦という検討もありましたし、ハリアーを標的曳航機とする訓練支援艦研究もありましたが。
F-35B戦闘機の護衛艦発着試験、自衛隊史では2021年に転換期となる一幕がありましたが、ひゅうが型建造の時点で海上自衛隊がハリアーやF-35Bをどの程度考えていたのかは一概にいえません、しかしSH-60シーホークとその後継機だけを考えていたと理解するには、護衛艦の大きさと全通飛行甲板採用、DDHのポテンシャルからも安易に首肯はできません。
遼寧。海上自衛隊が任務としてシーレーン防衛を課せられていますが、これは同時に中国空母遼寧を筆頭に建造が本格化し、次には10万トン前後に達する003型航空母艦の建造など、こうした現実の脅威に対応するには平時のポテンシャルだけでも第五世代戦闘機の母艦となる護衛艦を一定数なければ現状変更へ抑止力が維持できない現状があるのでしょう。
ニミッツ級空母、アメリカが前方展開する航空母艦に依存するには限界がある、ということですね。一方で視点は冒頭に戻しますが、これは海上自衛隊の任務領域が伝統的な専守防衛を越えた、たとえばプレゼンスオペレーションのようなインド洋派遣など、憲法の理念と現実の政治が乖離する現状を海上で顕在化させたことも、この現実を直視すべきです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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海洋安全保障問題は2020年代に1950年代から2010年代とは別次元の厳しい選択を政治と国民がせまっら得るかもしれません。
日本の防衛、平和憲法下ではありますが、基本的な平和主義は堅持しつつ、しかし日本の国力や国土を第三国の軍事力により国際公序から逸脱した目的に悪用させることは拒否するという姿勢が必要です。それは海洋自由原則、基本的人権、人間の安全保障、など挙げられる。90年代の概念、人間の安全保障の言葉は近年、SDGsとも呼ばれるようですが。
伝統的な手段としての平和主義は、言い換えれば日本の海岸線に戦車を並べでもすれば実現する分野ではあります。しかし、太平洋戦争の地上戦が小笠原諸島や沖縄本島周辺での戦いにより、本土決戦を経ずして無条件降伏に追いやられた事からもわかるとおり、日本はシーレーン、その航行を開かれて維持する海洋自由原則により保たれている現実もある。
海洋自由原則は、文字通り開かれた海洋を国際公共財として維持するもので、マハン的な概念ではありますが、海洋自由原則ではなくゲオポリティクス的な観念から海洋の一区域を占有できる、戦前日本の場合は西太平洋、この認識が海洋自由原則の国際公序と正面から激突、しかし軍事的な視点もゲオポリティクス的であった故に敗北した一面があります。
ゲオポリティクス的というものは、文明圏の中心を示すハートランドと、文明を支える為の勢力圏の外縁をリムランドとする、原型としては帝政ドイツ時代の、しかし中華思想を軍事的に拡大解釈した様な理念です。理念は排他的であるため、結果的に海洋自由原則と真っ向から衝突するという、海の視点ではなく陸の視点を海に無理矢理適合させたもの。
日本。専守防衛は、拡大運用こそ為されていますが、これは防衛上の鎖国政策とも言い得る概念を現実に、名文上の憲法との矛盾と不適合を統治行為論の最高裁判断に甘える構図で展開しています。ただ、これは防衛政策が多分に抑制的であるという一点と、一方で一歩間違えれば防衛政策を周辺国へ誤解を与えないかという危惧とが並ぶもどかしさは有る。
憲法の視点を改めて正面に示すのは、日本が世界に示すソフトパワーにおいて、脱領域性を以て受け入れられるものの筆頭が平和であり、この骨幹は維持すべきだと考えるためです。自動車にハイテク家電とアニメーション、ソフトパワーは数多ありますが日本以外でも提供できるものが大半です、この中で例外的分野が実のところ日本型平和主義でないか。
海上防衛、この視点とともに憲法を列挙する背景には、海上防衛というものを伝統的な日本型平和主義と並列しますと、その任務領域は日本の領域からは少なくともシーレーンに沿って遠心するものであり、日本国憲法制定の時代と比較するならば、グローバリゼーションという概念と日本の依存する国際公序が、実は全く違う広さをもつためです。さて。
新しい八八艦隊。Weblog北大路機関では海上防衛の一つの理想型として、現在の護衛艦隊の4個護衛隊群体制を堅持しつつ、しかし4個護衛隊群を構成する8個護衛隊について、現在半分にのみ配備されているヘリコプター搭載護衛艦を4隻から8隻に増勢し、護衛隊群を構成する2個護衛隊編成を統一すべき、との視点を毎年八月八日に掲載しています。
全通飛行甲板型護衛艦は、F-35Bを搭載するならばイージス艦支援のセンサーノード任務を含め水上打撃戦や限定的な弾道ミサイル防衛まで、SH-60Kを搭載するならば対潜掃討群として、MCH-101掃海輸送ヘリコプターは機雷戦に対応しMV-22とAH-64DとCH-47を搭載するならばコマンドー母艦として揚陸任務にも対応でき、航空機の入れ替えは早い。
新しい八八艦隊の必要性、これを考えるときに重視する視点は上記転換の早さに留まらず、その原点にあるもの、ヘリコプター搭載護衛艦は航空隊規模の部隊を収容できるという点です。これは護衛隊に航空隊、二つの隊で一つの"群"、任務群を編成できることともなり、護衛艦隊の作戦単位を4個護衛隊群に結果として8個任務群配置できるという点に繋がる。
任務群とはいいましても、ヘリコプター搭載護衛艦とイージス艦に2隻の汎用護衛艦というものですから、4隻といえど強力です。単純計算で基準排水量だけを比較した場合でも1990年代の一個護衛隊群に匹敵し、そして艦載機の総数も、8隻8機体制の88艦隊時代よりも強化されており、8個任務群があればかなり余裕あるローテーションも組めるのですね。
ヘリコプター搭載護衛艦は日本が1973年に護衛艦はるな竣工を果たして以来、連綿とその運用基盤を強化し続けてきました日本型海上防衛システムの一つの具現化で、護衛艦そのものは年々と旧式化を進めたとしても艦載機を近代化することで常に第一線の能力を維持できるという独特のものです。現在のものは更に進みF-35B戦闘機さえ搭載可能となった。
はるな型ヘリコプター搭載護衛艦が建造された当時は、海上自衛隊に艦載機を運用可能な艦はほかに砕氷艦ふじ、くらいでありヘリコプター搭載護衛艦に搭載されたHSS-2対潜ヘリコプターは吊下ソナーも搭載する、アメリカでは対潜空母などに搭載されるもので、2隻一組で運用される6機というものは、当時の米空母での対潜飛行隊定数と同数のものです。
潜水艦対処を重点としてシーレーン防衛の基盤を着実に構築してきました海上自衛隊、その背景にはソ連海軍にはYaK-38攻撃機を搭載するキエフ級空母はありましたが、艦隊に脅威を及ぼすような洋上航空戦力はなく、1980年代にミサイル爆撃機バックファイアが整備される頃まではまさにシーレーン防衛は対潜水艦作戦と同義といえました。当時としては。
ひゅうが型護衛艦。2000年代も2010年前後からヘリコプター巡洋艦型の護衛艦はるな型、しらね型を置き換えるのは全通飛行甲板型護衛艦というべきものでした。海上自衛隊はDDVとして過去に幾度かハリアーを研究しています、8700t型DDV航空機搭載護衛艦という検討もありましたし、ハリアーを標的曳航機とする訓練支援艦研究もありましたが。
F-35B戦闘機の護衛艦発着試験、自衛隊史では2021年に転換期となる一幕がありましたが、ひゅうが型建造の時点で海上自衛隊がハリアーやF-35Bをどの程度考えていたのかは一概にいえません、しかしSH-60シーホークとその後継機だけを考えていたと理解するには、護衛艦の大きさと全通飛行甲板採用、DDHのポテンシャルからも安易に首肯はできません。
遼寧。海上自衛隊が任務としてシーレーン防衛を課せられていますが、これは同時に中国空母遼寧を筆頭に建造が本格化し、次には10万トン前後に達する003型航空母艦の建造など、こうした現実の脅威に対応するには平時のポテンシャルだけでも第五世代戦闘機の母艦となる護衛艦を一定数なければ現状変更へ抑止力が維持できない現状があるのでしょう。
ニミッツ級空母、アメリカが前方展開する航空母艦に依存するには限界がある、ということですね。一方で視点は冒頭に戻しますが、これは海上自衛隊の任務領域が伝統的な専守防衛を越えた、たとえばプレゼンスオペレーションのようなインド洋派遣など、憲法の理念と現実の政治が乖離する現状を海上で顕在化させたことも、この現実を直視すべきです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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