北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北大路機関の『自衛隊最新装備2012』 最新戦車・装甲車・誘導弾・施設器材・艦艇・航空機

2012-12-30 23:06:15 | 北大路機関特別企画

◆最新装備を報じた2012年を振り返る

 北大路機関といえば、ひゅうが型、AH-64D,F-15近代化改修型、C-2,等など最新装備をいち早くお伝えする努力を行ってきましたが、2012年も多くの新装備をお伝えできました。

Aimg_2122 10式戦車量産車の富士総合火力演習初参加、本年最新の装備は富士学校祭で過去二回に渡り紹介した10式戦車が量産車の戦車教導隊納入により初めて実弾射撃を展示した様子を紹介しましたが、スラローム射撃、蛇行運転の後に連続射撃を行う正確に命中させる、10式戦車は加速性能が過去に例がないほどの性能を富士学校祭にて誇示していますが、自動装填装置と火器管制装置の自動追尾能力が大きく向上している様子を展示、これが21世紀の戦車か、と率直に感心しましたが、その瞬間を撮影できたのも大きな喜び。

Aimg_2525 NBC偵察車、久々に陸上自衛隊に新しい装甲車が導入、軽装甲機動車配備開始以来11年ぶりの新設計装甲車ですが、遠隔化学剤監視能力、核防護能力と生物兵器識別能力を有し、防護板追加により原子力事故事案にも対処できるという新装備、今年の大宮駐屯地祭にて撮影しました。少々トップヘビーというのは気になりましたが、次世代装甲車両体系の基本車両となる最新型の装甲車です。しかし、繰り返しになるのですがやはり車高が少々高い。

Aimg_159_2 中距離多目的誘導弾、富士学校祭と板妻駐屯地祭において今年初公開となった陸上自衛隊普通科の最新装備で、富士総合火力演習では連続射撃を展示しました。射程は8km前後といわれるのですが、87式中MATや79式重MATの後継として普通科中隊対戦車小隊へ配備される装備、発射装置にはミリ波レーダ装置と熱線暗視装置が搭載され、車両乃至人員携行式照準器による誘導が可能、撃ち放し可能な新世代の対戦車ミサイルとして完成しましたが、連続射撃は1秒以下で次弾を発射、技術の進歩を体感したというところ。

Aimg_8380 07式機動支援橋、施設大隊に装備し、陸上自衛隊の主要装備全てが通行可能、ええと最近というか今月上旬まで勘違いしていましたが90式戦車も渡れます。2010年頃から施設学校祭にて展示されていたようですが、遅まきながら今年善通寺駐屯地にて初めて撮影しました。渡河に際し対岸へ支柱を先に私、その支柱をレールのように橋桁を通すことで迅速に架橋する装備で、橋脚を用いず架橋が可能です。この方式は長さに限界を強いるのですが流速と水深や川底の状況に関係なく架橋できる優れもの、ようやく撮影できました。

Aimg_3346 120mm重迫撃砲RTから発射されたIR照明弾、富士総合火力演習夜間演習での写真で、富士山の稜線が見えるほどの長時間露光にて撮影したのですが、このようにしか映りません、通常の照明弾よりも遙かに暗い、しかしIR照明弾は新装備で、熱線暗視装置越しに見た場合非常に高い暗視能力を発揮できるとのことで、偽装の看破や停止状態の車両表面などを発見することが出来るという、照明弾と言えばルーメンでしか考えていなかった当方、勉強不足を思い知らされた最新装備です。

Aimg_0673 海上自衛隊の最新装備。護衛艦あきづき、観艦式での撮影です。あきづき型の一番艦で今年三月に就役しました。国産多機能レーダーFCS-3の搭載と射程60kmのESSM対空ミサイルにより限定的な艦隊防空を可能とする最新鋭の護衛艦です。満載排水量は7000tに達し、汎用護衛艦としては最大の規模です。あきづき、長崎にて建造中の様子を対岸のグラバー園から撮影し、幾度もお伝えしましたが就役後の様子をしっかりと撮影できたのは観艦式が初めてです。佐世保にて建物越しに見えたのですけれどもこちらのほうがらしく撮れている。

Aimg_4332 掃海艇えのしま。こちらも観艦式で撮影できました。今年三月に就役したばかりの最新で、海上自衛隊は従来掃海艇を機雷に探知されず、至近爆発に際し衝撃を吸収する木造掃海艇を建造し続けてきましたが、艦齢延長を期してFRP製掃海艇として建造されました。もそもと30mm機関砲の搭載など検討されたのですが、運用と予算の観点からひらしま型掃海艇をFRP製としたものに落ち着き、S-10掃海器具を搭載しています。木造掃海艇は20年ほどの寿命だったのですが、FRPとしたことで30年を運用可能とのこと。

Aimg_0154 特別警備隊複合艇、海上自衛隊江田島基地に拠点を置く海上自衛隊の特殊部隊で通称SBU,創設は2001年なので、ようやく撮影できたのか、呆れた方もいらっしゃるかもしれませんが、江田島の海上自衛隊幹部候補生学校卒業式に護衛艦くらま参加、と聞き急遽広島から江田島へ渡り、近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊の出港を撮影しようとしていたところ、特別警備隊の複合艇が三隻出港しました。選抜と基礎課程のほか応用課程二年を経て配属されます。隊本部のほか四個小隊編成で各小隊は二個班約20名から編制されているもよう。

Aimg_1405 MP-5短機関銃、訓練用擬製銃ですが。こちらも江田島の幹部候補生学校卒業式の際に撮影したもの。MP-5は自衛隊で特殊作戦群などで運用しているとは言われていたものですが、初めて見ました。県道からこれが見える江田島は凄い。少なくとも二名が携行していますので、私物というのは考えにくく、恐らく実際にMP-5を保有しているのでしょう。警察もSATや機動隊銃器対策部隊が、海上保安庁も特殊警備隊SSTが保有しているようですが、SBUのMP-5は写真としては珍しいと思います。事実撮った私も一言、やったぜ。

Aimg_6818 P-1哨戒機量産機、着々と実用化に向け進展する国産新哨戒機の量産機、四号機の初飛行を岐阜基地にて撮影しました。米国ではP-3C哨戒機の後継としてボーイング737を原型としたP-8哨戒機を開発中ですが、同機は対潜哨戒に必要な低空飛行能力や機動性に限界があり、こうした場合では無人機を管制し対処するという事、新設計のP-1はP-8が洋上監視機というべき性能に対し純然たる対潜哨戒機を軸とした多機能哨戒機で、専用設計のため機首に搭載できるセンサーも大きく、部隊配備が待ち焦がれる国産機のひとつ。

Aimg_7583 無人機(UAV)、岐阜基地航空祭にて撮影したもので無人機システムの研究、として富士重工が進める無人偵察機です。F-15から空中発信し、偵察を行ったのちに飛行場に着陸し再利用が可能な無人機、これまでも岐阜基地航空祭では展示されてきましたが、今年の岐阜基地航空祭で展示されました無人機には機体下部に偵察用カメラアイが装着されていました。航空法の関係で発展が制約されてきた無人偵察機は、現在、全力でその装備化へ向け陸上自衛隊や航空自衛隊において進められています。

Aimg_7590 MV-22オスプレイ。『自衛隊最新装備』という区分からは離れてしまいますが今月普天間基地にて撮影しました。ローター角度を自由に変換できるティルトローター方式を採用し、長大な航続距離を誇る航空機として旧式化したCH-46中型ヘリコプターの後継に配備が開始されました。試作機は開発上の問題に突き当たりましたが、制式化後MV-22の事故発生率は少なく、非常に小さなエンジン音に驚きました。自衛隊にも必要な機体ですが、一機当たりCH-47やAH-64Dの倍で、これらを充足させたのちの話として、あれば便利と言えるやもしれません。

Aimg_8552 EA-18G電子戦機。EA-6に代わる米軍の新しい電子戦専用機として開発されたもので、部隊配備は2008年、2009年には初度作戦能力を付与されている機体ですが、日本に配備開始となったのは今年3月25日の厚木到着からで、4月28日の厚木さくらフェスタでも展示されていたとのことですが、当方は今月、嘉手納基地にて初めて撮影しました。電子妨害は防空網制圧と護衛任務に加え、電子偵察などにも対応する航空機で、主翼の翼端には電子戦装置が搭載されているのが分かるでしょうか。

Aimg_6969 強襲揚陸艦ボノムリシャール、ワスプ級の六番艦で、満載排水量は40500t、海兵遠征隊の兵員1900名、戦車装甲車30両、車両80両、火砲8門を輸送する強襲揚陸艦、エアクッション揚陸艇とヘリコプター42機にハリアー攻撃機6機を搭載、もしくはハリアー攻撃機20機を搭載し軽空母としても運用可能で、今年四月末に前のエセックスと交代し佐世保配備となったもの、五月に佐世保で撮影しました。新型のMV-22運用機材を搭載しており、これにより海兵隊の即応性は高まったとのことです。思いつく限り、北大路機関としては2012年にこれだけの装備を撮影し、紹介できました。来年はどうなるでしょうか、新鮮な情報をお送りできるよう努力いたしますので来年もまた、よろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
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