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京阪電鉄10月19日ダイヤ改正 水の都へ“中之島線”開業!

2008-10-18 15:37:57 | コラム

■中之島線 総事業費1503億円

 水の都と謳われた商都大阪は、古くから水運の街であり、中でも中之島は土佐堀川と堂島川に囲まれた水運に適した立地であり、大名蔵屋敷として商都の中核を担う発展振りであった。

Kimg_3883  その中之島に、明日19日、京阪電鉄が2.9kmの中之島新線を開業するするわけだ。中之島新線は、新駅として、中之島公園と中之島府立図書館、中央公会堂に程近い『なにわ橋』駅、御堂筋から大阪市役所に程近い『大江橋』駅、200メートルのツインタワー建設計画が進む『渡辺橋』駅、そして大阪国際会議場にアクセスする終点『中之島』駅が開設され、全駅が地下駅となっている。

Kimg_0624  京阪電鉄は、その開業時より、天満橋駅から、中之島への乗り入れを計画していたが、大阪市の方針として、市内交通は市営交通にて担う前提があり、残念ながら実現には至らず、現在の淀屋橋駅への乗り入れを1963年に実現させている。中之島の発展は、戦後から今日に至るまで継続され、今でも再開発事業として新しい超高層ビル群の建設が進められている。他方で、中之島は、京阪電鉄が淀屋橋への乗り入れを行っていた当時、交通の主力であった市電は廃止されており、再開発事業を行うにも鉄道駅が無く、交通面では問題点を抱えていた。

Kimg_0588  中之島再開発事業の一環として、京阪電鉄は予てより希望していた中之島新線の建設を実現させるべく、1989年より計画を推進、1999年からは、京阪電鉄負担分と自治体と国の補助金、借入金などを加え建設費など事業費の捻出に目処がつき、総事業費1503億円の一大プロジェクトが本格的に動き始めた。2001年、建設主体となる中之島高速鉄道が発足、鉄道事業認可を受けた。この会社は、京阪電鉄と資本関係を有し、中之島再開発を進める大阪府・大阪市からの出資を受けた企業である。

Kimg_1375  中之島新線の建設は、2003年の起工式に始まり、本日18日に開通記念式が行われる予定である。中之島新線は、天満橋駅から中之島駅までの2.9kmの路線であるが、この新線そのものが、天満橋駅に至る複々線の内、天満橋にて終点となる複線部分(一方の複線は淀屋橋駅に至る京阪本線)を中之島方面に延長掘削するかたちで実現させている。これは、黙示的に1963年の淀屋橋京阪本線延長の際に、将来の中之島乗り入れを想定していたと考えられるわけで、かつての京都鴨東線を考えれば、将来的には大阪市内において、更なる延長も考えられるのかもしれない。

Kimg_2905  この一大プロジェクトに関して、最大の特徴を挙げるとすれば、その資本調達方式が思い浮かぶ。これは、償還型上下分離方式というもので、鉄道の運行を行う京阪電鉄と、鉄道線を建設し、施設を保有する大阪府・大阪市の二つに分け、民間と自治体による出資金、国と自治体からの補助金、そして京阪電鉄が自己調達する借り入れ金により1503億円が捻出されたという点で、鉄道事業による運営利益を、出資金の出資者である大阪府、大阪市に返還してゆくという方式である。この方式は鉄道事業者への負担が軽減され、比較的堅実な事業展開を可能とした点で優れている。

Kimg_2896  京阪電鉄は、この中之島新線開通を機に、鉄道事業の運行に大きく変革を加えることとしている。第一に、K特急に代わる快速特急の新設。第二に新型の1×2クロスシート車、3000系電車による通勤快急、快速急行の中之島線への乗り入れ。加えて通勤準急と0020時に淀屋橋を出発する深夜急行の新設である。特に、中之島新線へは、特急の乗り入れは行わず、京都出町柳駅からの最速は快速急行により行われ、淀屋橋駅へも快速急行の乗り入れは無い。これにより、車種をみて行先が分かるようにすることで利便性を向上させる。

Kimg_7107  加えて、京阪電車の全てに当たる2200系、2400系、5000系、8000系30番台、1000系、2600系、6000系、7000系、8000系、7200系、9000系、10000系を新塗装に改める事としている。1900系は、本日を以て営業運転から引退し、17日にはK特急「おりひめ」、準急「ひこぼし」として運行された。1900系は、営業運転から退くものの、年末まで車籍は残される為、1900系によるイベント電車の運行計画があるとのことだ。

HARUNA

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