北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

掃海艇ひらしま(MSC-601) 海上自衛隊最後の木造掃海艇

2008-10-06 21:02:13 | 海上自衛隊 催事

■ひらしま横須賀を出港

 10月4日、カナダ海軍艦艇を撮影するべく展開した横須賀基地。ちょうど、AIP潜水艦あさしお、が入港中であったが、最新型掃海艇ひらしま、が出港する様子も撮影できた為、掲載したい。

Img_7636  ひらしま、は、ひらしま型掃海艇のネームシップとして今年3月11日に就役、配属先は掃海隊群第2掃海隊で母港は佐世保基地となっている。横須賀基地への寄港は、訓練などの関係だろう。ひらしま型は、二番艇やくしま、が来年三月の就役を目指してユニバーサル造船京浜事業所にて建造中、三番艇たかしま、が去る9月29日に進水式を迎えている。ひらしま型の建造は、この三隻で終了し、570トン型掃海艇として、船体をこれまでの木製からFRP製に改めたものが建造されることとなっている。

Img_7635  ひらしま型は、満載排水量650㌧、全長57㍍。主機はディーゼル二基二軸で出力は2200馬力、速力は14ノット。乗員は45名で20㍉多銃身機銃と掃海機具を搭載している。前に建造されていた、すがしま型掃海艇は、ペルシャ湾機雷処理任務などの戦訓として最新鋭の外国製掃海機具を採用したが、ひらしま型に搭載されているS-10掃討具は国産で、自動操舵装置や対機雷戦情報処理装置(MCDS)と連動し、母艇に先んじて機雷探知を実施、処分する。このため、掃海艇というよりは、諸外国では機雷掃討艇に区分される形式である。これまで、掃海機具は陸上基地で保管し適宜搭載し運用していたが、本型からは小型化に成功し、常時搭載されている為、即応性が高まったのも一つの特徴である。

Img_7641  ひらしま型まで、海上自衛隊の掃海艇は、機雷を処理する際に磁気を帯びず、また万一機雷が爆発した際などに、衝撃吸収性と浮力を有する木造掃海艇を採用してきたが、コストと船体寿命の関係上、新型掃海艇からはFRP製船体を採用することとなった。他方で、FRP製船体は船体寿命が30年程度と従来掃海艇よりも長寿命であり、建造ペースを現状より低減させても、掃海艇勢力を維持できるという財政難を意識した場合の利点があり、加えて、搭載機銃を30㍉単装機関砲とすることで、必要に応じて沿岸警備任務などにも対応できるよう配慮されているとされる。しかし、まだ当分は、ひらしま型のような木造掃海艇が海上自衛隊掃海艇の大半を占めることとなろう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする