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陸上自衛隊豊川駐屯地創設58周年記念行事(豊川駐屯地祭2008) 式典・観閲行進編

2008-10-29 13:59:04 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

豊川駐屯地祭2008

 2008年10月25日、愛知県に所在する陸上自衛隊豊川駐屯地は創設58周年を迎えた。雨天が危惧されたものの、雨は上がり、一時は青空もみえた豊川駐屯地祭の様子をお伝えしたい。

Img_5202_1  陸上自衛隊豊川駐屯地には、第10師団隷下の第10特科連隊、第10高射特科大隊と、第49普通科連隊、中部方面隊直轄施設科部隊である第4施設団隷下にある第6施設群、そしてこれら戦闘部隊の整備支援などを行う師団後方支援連隊と中部方面後方支援隊隷下の直接支援部隊が駐屯している。

Img_5039  式典に整列し、部隊旗を掲げ指揮官に応える式典参加部隊。この列にて振り上げられているのはは中隊旗である。この多くの中隊旗の中でも、黄色の特科職種の中隊旗が目立つが、それもそのはず、第10特科連隊は、中部方面隊唯一の特科連隊。中隊は12個の特科中隊、本部管理中隊、情報中隊など合せて14中隊。

Img_5061_2  第10特科連隊長、兼ねて豊川駐屯地司令を務める權藤三千蔵1佐が車上から指揮官巡閲を行う。權藤連隊長は、今年四月から第28代司令として豊川駐屯地に赴任、訓示では、諸先輩方への感謝と地域住民の方々への挨拶を行うと共に、頼りがいのある自衛隊、日本最高の駐屯地を目指す旨を訓示し、続いて来賓祝辞、祝電披露が行われた。

Img_5217  祝電披露が終わると、観閲行進準備の号令が掛る。豊川訓練場に待機していた車両に向けて、駆け足で部隊が動き出す。素早く所定の配置につき、次々と掛かるエンジンの鼓動が式典会場に伝わってくる。観閲行進に向けて、第10音楽隊の隊員が演奏を行う位置に向けて行進して移動してゆく。

Img_5083  観閲行進の先頭は、高機動車とともに豊川駐屯地が防衛警備及び災害派遣を担当する市町村旗の行進である。駐屯地が置かれて二年後には伊勢湾台風が襲来、先日の岡崎豪雨に災害派遣されたのも、この豊川駐屯地所在部隊であり、東海地震の危険性が叫ばれる今日、官民一体となった準備が求められている。

Img_5271_2  第49普通科連隊の連隊旗。第49普通科連隊は2003年の師団改編により誕生した部隊で、即応予備自衛官を主体とし、平時は基幹要員により運用される、いわゆるコア化部隊。連隊の編成は、本部管理中隊と、第1・第2・第3・第4中隊、対戦車中隊、そして重迫撃砲中隊、となっている。

Img_5305_2  第49普通科連隊第4中隊の軽装甲機動車。軽装甲機動車は、中部方面隊では、第10師団に2002年より導入が開始された装備である。ただし、装備している中隊数は、現在では第3師団隷下の普通科連隊の方が多いようで、他方、3師隷下の普通科連隊は対戦車中隊を有さず第5中隊を置いている。つまり、第10師団は、火力重視の編成ということか。

Img_5380  第10特科連隊第1大隊のFH-70榴弾砲が中砲牽引車に牽引されて観閲行進に参加する。大隊隷下には二個中隊あり、一個中隊は、4個戦砲隊から成る。戦砲隊は中砲牽引車などの車両を以てFH-70榴弾砲を運用する。したがって、第10特科連隊には48門のFH-70榴弾砲が配備されているということになる。

Img_5455  第10特科連隊のほか、中部方面隊には、かつて第3師団(千僧駐屯地)隷下に、姫路の第3特科連隊、第13師団(海田市駐屯地)隷下に日本原の第13特科連隊が置かれていたが、第3師団の政経中枢師団への改編、第13師団の旅団化改編により、それぞれ特科大隊を置かず特科中隊を基幹とした特科隊に改編されているため、第10特科連隊が、最後の連隊編成を採る特科部隊となっている。

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 第5大隊のFH-70榴弾砲。第1・第2・第3・第4大隊は、2個中隊より成り、普通科連隊が連隊戦闘団を編成する際に組み込まれ、普通科連隊とともに戦車中隊、施設小隊とともに独立した戦闘団を編成する。他方、この第5大隊は4個中隊より成り、師団長直轄運用を受け、全般火力支援にあたる。このほか、対砲レーダーなどが行進に続いた。

Img_5495  第10高射特科大隊本部管理中隊の車両が続いて観閲行進に参加する。本部管理中隊に情報小隊には、対空戦闘の要、各種対空レーダーが装備されている。写真は対空レーダ装置JTPS-P14で、このほか、低空侵入する航空機を捉える低空レーダ装置JTPS-P18が装備されており、観閲行進に参加した。

Img_5504  第1中隊の93式近距離地対空誘導弾、通称93式近SAM。即応性が高く、低空から襲いかかる攻撃ヘリコプターや攻撃機に対して迅速に対処することができる装備だ。第2中隊には81式短距離地対空誘導弾、通称短SAMが装備されており、二個高射隊4セットの短SAMを以て、師団防空任務を遂行する。

Img_5537  続いて、第6施設群の部隊が観閲行進に参加する。師団や旅団隷下にある施設科部隊は、主に戦闘支援を任務とするが、方面隊直轄の施設科部隊は、これに加えて、兵站線の維持や施設修理を含めた、いわゆる建設という分野の支援も担当している。観閲行進には75式装甲ドーザ、92式地雷原処理車も参加した。

Img_5568  後方支援部隊が観閲行進の最後をゆく。豊川駐屯地には、春日井駐屯地の第10後方支援連隊より第2整備大隊の普通科直接支援中隊、特科直接支援中隊、高射直接支援隊が、そして桂駐屯地の中部方面後方支援隊より第104施設直接支援大隊の第1直接支援中隊が駐屯している。

Img_5581  こうして観閲行進は終了し、訓練展示模擬戦に向けて、準備が開始されるとともに、観閲行進の先頭を飾った市町村旗が会場正面に整列し、旗と共に市町村の紹介が行われていた。市町村の名前が挙がると共に一歩前に出た旗手へ、会場からは惜しみない拍手が贈られていた。

 次回は訓練展示の模様を掲載したい。

HARUNA

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