北大路機関

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あさしお (スターリング方式AIPシステム搭載潜水艦) 横須賀入港中

2008-10-05 21:02:39 | 海上自衛隊 催事

■海上自衛隊最大の潜水艦

 10月4日早朝、カナダ艦船出港との知らせを受けて横須賀基地へと足を運んだ小生、ヴェルニー公園にて出港時間を待ちつつ気付いた、目の前の潜水艦、涙滴型潜水艦なので、はるしお型なのだが、葉巻型の、おやしお型よりも大きく見えた。

Img_7565  教えていただいて気付いたのだが、この潜水艦は、2000年12月から2001年11月にかけて、はるしお型潜水艦にスウェーデンのコックムス社製AIP機関を搭載した試験用の練習潜水艦、あさしお、だったのである。ケロシンを燃料としてヘリウムを利用し、65キロワット88馬力の出力を潜行したまま発揮することができ、通常動力潜水艦の悲願であった、水中航続距離を延伸している。

Img_1690  あさしお、は、AIP機関挿入のために船体を9㍍延伸させており、これにより全長87㍍、水中排水量は3700㌧に達する。はるしお型は、全長77㍍で水中排水量は3200㌧、そして、最新型の、おやしお型も全長82㍍、水中排水量3500㌧ということなので、建造中の新潜水艦そうりゅう(全長84㍍、水中排水量4200㌧)、を別とすれば海上自衛隊最大の潜水艦であり、アジア初のAIP潜水艦ということになる。

Img_7809  ところで、新5000㌧型護衛艦が高性能であるとともに、高価格であり、来年度予算概算要求では、潜水艦建造を諦めることで、護衛艦二隻の建造予算を盛り込んだ。二箇所の潜水艦造船所を維持させる観点から毎年一隻の建造が必要なのだが、護衛艦建造費を捻出したことで発注が滞ることは、価格競争の可能性を残す事や技術維持の観点などから大きな問題である。

Img_7660  そこで考えたのだが、現在のディーゼル潜水艦を、あさしお、のようにAIP化することで、能力を一新し、寿命を延長させることで、新造に代える事は出来ないだろうか。あさしお、は新設したAIP機関は延長した9㍍に収められ、潜水艦としての機能には大きな制約は加わっていないとのこと。世界的に視れば海上自衛隊の潜水艦は比較的短い期間で除籍されており、護衛艦の寿命などを考えれば、もう少し長く使う事は出来るはずだ。新造潜水艦と、旧式潜水艦のAIP化及び近代化改修と、年度毎に分ければ、生産技術と施設を維持しつつ、潜水艦隊の能力を適宜近代化することも可能なように思った次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
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