北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

『防衛大綱』抜本改訂へ 対潜・対弾道弾能力の強化

2008-04-26 17:32:20 | 国際・政治

■政府、防衛大綱改訂へ

 今月20日付読売新聞によれば、政府は、2004年に改訂された防衛大綱を再度改訂する方向で検討が進められているとのこと。1976年、1995年、2004年と改訂までの間隔が短縮されている印象だ。それだけ世界は動いているということか。

Img_1263  今回の防衛大綱改訂検討開始の背景には2004年の防衛大綱改訂以後、予想以上の中国軍の近代化が背景にあり、今後の中国軍の増強や近代化に対して、現行防衛大綱の水準では、日本の安全保障に重大な影響を及ぼしかねないという背景があり、記事は“10年後までを視野にいれた新大綱で、中国軍の軍拡に対応した防衛力整備を明記する必要があると判断した”と記している。

Img_6259  政府は、現行防衛大綱の部分修正を検討してきたが、抜本改訂を行う方向となったようで、新防衛大綱では自衛隊の対潜能力やミサイル防衛の強化などが課題になるとみられるとのこと。基本的には哨戒機や護衛艦の増強や島嶼部防衛などが視野に含まれるのだろう。有識者会議は今年中にも集められるとのこと。

Img_9973  なお、防衛省改革なども同時に進められる見通しとのこと。

 対潜能力やミサイル防衛能力の強化という反面、陸上自衛隊の基幹のひとつを構成する機甲科や特科の今後について興味が持たれる。戦車定数が現大綱の600から旧大綱の900に戻されなければ、量産効果の関係もあり、防衛産業の根幹に関わることにもなりかねないわけで、興味はもたれる。

Img_2392  少数多年度契約、少数分散により非効率が指摘される防衛産業について、政府主導の再編などを行い、効率化と国際競争力の付与、評価試験や調達方式の見直しを行うか、もしくは財政に負荷をかけつつも、数的増強を行うか、という選択肢が迫られることとなる。

Img_0977  自衛隊の装備体系であるが、ややズレている印象がある。例えば、艦艇について近年、汎用艦の多機能化・建造費高騰を受けて、欧州や米海軍では大型水上戦闘艦と小型艦や航洋哨戒艦とのハイローミックスが検討されている。また装備そのものについても、車体寿命や艦船の船体寿命を長く採るための技術開発が進められている。この部分の再検討を行うことで、いわゆる防衛大綱に明記される定義そのものも見直し、再検討する時期がきているのかな、とも。

HARUNA

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コメント (2)
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