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関西私鉄特急 京阪電鉄8000系・3000系 阪急電鉄9300系・6300系

2008-04-23 12:00:15 | コラム

■京阪電鉄8000系&3000系

 関西私鉄、京都~大阪間は、JR、阪急、京阪が新快速、通勤特急、特急、快速急行を走らせる激戦区だ。また、関西私鉄は伝統的に特急料金不要の特急を運行しており、国鉄117系や民営化後の221系、223系に繋がるクロスシート車の誕生を促したともいわれる。

Img_7052_1  京都~大阪を結ぶ路線を中心とした京阪電鉄。京阪特急は、1989年より導入された8000系と1編成が残る3000系特急により、京都出町柳から大阪淀屋橋までを概ね54分で結んでいる。

 特急は、基本的に毎時六本、10分間隔で運行されており、運賃は460円。特急料金は不要である。(参考までにJR新快速は、京都~大阪間540円、所要時間28分で15分間隔、毎時4本を運行)

Img_7677  8000系の車内。転換式クロスシート車で、車内広告が無いのが特徴。各車ごとにシートのカラーリングをかえるという工夫が凝らされている。

Img_6999_1  京阪特急は、通称テレビカーとして親しまれているが、忘れてはならないのがダブルデッカー車。写真をみると、ダブルデッカー車が編成中央部分に配置されているのがわかる。

Img_7668  8000系特急ダブルデッカー車の内装。

 二階からの車窓に広がる眺望とともに、ノルウェー製の座席を採用し、快適性を高めている。

Img_6648  ダブルデッカー車は、1995年なら、この3000系の中間車として導入が始まり、続いて8000系の編成にも組み込まれた。JRのグリーン車を彷彿させる形状だが、京阪特急ではダブルデッカー車も特別料金は不要で、始発駅にて大半の座席が埋まるほどの人気だ。

Img_7667  階段部分。

 京阪線は、線形の関係上、20㍍型車両を導入することが出来ず、18㍍車を採用しているため、当初、ダブルデッカー車の構想が出された時には、賛否があったようだが、完成した車両の出来は、乗車率が何よりもその実力を示している。

Img_4461  京阪電鉄といえば、テレビカー。テレビカーもダブルデッカー車と同じく編成中央部分に組み込まれている。かつて、京成電鉄も成田山参詣電車にテレビカーを運行していたが、私鉄特急でテレビカーを銘打っているのは、いまや京阪電鉄だけとなった(液晶パネルを組み込んだ通勤車両は、JRなどにもあるが)。

Img_4460  テレビカーの内部。

 個室電話が設置されている。

 各座席ごとに内臓スピーカーが配置されており、スイッチを入れることで音声を楽しむことが出来る。

■阪急電鉄9300系・6300系

 阪急電鉄は、主として京都の河原町を大阪梅田、神戸三宮、宝塚を結ぶ路線網を展開。その本線にあたる京都線には、クロスシート特急として9300系、6300系を運行している。

Img_8287  梅田に向かう9300系特急。阪急電鉄は、京都の中心部河原町から、大阪梅田まで乗り入れる。JR京都駅が、中心部からやや離れていることを考えると、有利であるが、料金も390円とかなり安くなっている。所要時間は44分であるが、10分間隔、毎時6本の特急を運行。ラッシュ時には快速急行、通勤特急などを運行し、輸送需要に対応している。

Img_7521  9300系の車内。落ち着いた色彩にまとめられているのが特徴だ。

 片側3扉方式のセミクロスシート車で、転換式クロスシートを採用している。また、シート部分の手摺や通路に並ぶ吊革は、本車が通勤車両であることを示している。

Img_8093  9300系は、準急や普通電車にも用いられる。後述する6300系が片側二扉なのにたいして、9300系が片側三扉を採用した背景には、京都線の特急停車駅の増加がある。

Img_7507  セミクロスシート車のロングシート部分。

 シートはちょうど良い角度になっており、ソファーのような座り心地だ。神戸線のロングシート車にもいえることだが、ロングシート部分の仕切りやクッション、背もたれの角度には人間工学的配慮があり、長時間の乗車にも疲れないことに感心させられる。

Img_8266  阪急特急6300系。名鉄の7000形に次いで好きな車両である。片側二扉の採用と、車体前面のデザインが都市間高速鉄道にあって、最高の気品を備えており,1976年にブルーリボン賞を受賞している。クロスシート車としたが、厳密には運転席の後部(1編成に四箇所)のみ、二人掛ロングシートが採用されている。

Img_7679  6300系の内装。転換式クロスシートを採用しており、扉を車体の両端に置いたことで広い車内空間を確保している。クロスシートは梅田駅での車内作業時に、運転台からの操作で一斉に転換が可能だ。写真の車両には吊革が設置されていないが、近年、6300系への吊革設置がはじまっている。

Img_7678  関西私鉄は、特急料金不要でクロスシート車を運行する阪急、京阪とロングシート特急を運行する阪神電鉄(阪神線にセミクロスシート車の山陽電鉄が乗り入れているが)、LCカー(東武鉄道ももうすぐTJライナーとして似た発想の50090系を導入するようだが)を運行する近鉄急行(近鉄特急は特急料金が必要)、ロングシートの一般車を組み込んだ南海本線特急(こうや、りんかん、ラピートは特急料金が必要、サザンも指定席車は特別料金)など、車両アコモに優れた特急が運行されており、名鉄の7000形や1200形、5700形とともに、一群の車両が、冒頭に記したように国鉄のクロスシート通勤車の出現を促した、といえる。首都圏では、京浜急行を例外として、スペーシア、ロマンスカー、レッドアロー、スカイライナーなど、クロスシート車特急は特急料金が必要となっており、東西をわける私鉄特急の個性が垣間見えるようで、興味深い。

HARUNA

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コメント (5)
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