■多用途ヘリ・ガンシップも
去る3月29日、中央即応集団隷下の第1ヘリコプター団(木更津駐屯地)において、組織改編が行われた。2007年の中央即応集団新編とともに東部方面隊隷下から編入された同隊は、この改編で所要の体制に移行する。
第1ヘリコプター団は、大型ヘリコプターCH-47J/JAを用いての空中機動任務を第一に編成された部隊であるが、防衛大臣直轄部隊として対テロ任務や国際人道支援任務に即応する中央即応集団の空中機動を支援するという性格上、小回りの利く多用途ヘリコプターや空中打撃能力が欠如した状態にあった(写真は木更津駐屯地祭にて撮影)。
今回の改編で、CH-47を運用する第1ヘリコプター隊、第2ヘリコプター隊が第1輸送ヘリコプター群として再編され、更に多用途ヘリコプターUH-60JAを運用する第102飛行隊、要人輸送に用いるEC-225LPを装備した特別輸送ヘリコプター隊、連絡偵察機を運用する連絡偵察飛行隊、第1ヘリコプター野整備隊という編成となった。
今回の改編では、同時にドアガンとして多用途ヘリなどに搭載する12.7㍉重機関銃を輸送ヘリコプターに複数(3基といわれる)搭載したガンシップも装備され、邦人救出任務や対遊撃戦での部隊投入に対処可能な能力を得た。また、装備されたUH-60JAは特殊作戦群の任務支援などに必要性が叫ばれていたものである。飛行隊のUH-60JAの装備定数は不詳だが、陸上自衛隊全体の同機の装備数が充分ではないという背景から数機程度だろうか。
第1ヘリコプター団の再編について、まず、UH-1多用途ヘリの後継となるUH-60JAの調達が価格高騰により調達が年間極少数機と充分進展していない点、またAH-64D戦闘ヘリの調達中止に伴うAH-1S対戦車ヘリコプター後継問題(第1ヘリコプター団は東部方面隊直轄であった時代は、方面隊の対戦車ヘリ隊による支援が期待できた、ただし、中央即応集団が想定するゲリラコマンド対処や低烈度紛争、国際人道支援任務には戦闘ヘリの必要性は必ずしも高く無いが)がある。今後の展望に興味が持たれる。
HARUNA
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