北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

多用途支援艦“すおう”・掃海艇“すがしま”名古屋港入港

2007-09-01 18:07:08 | 海上自衛隊 催事

■防災訓練

 今日は防災の日!、東海地震・東南海地震・南海地震の危険性が指摘される中、2006年8月31日(30日だったかな)、海上自衛隊の艦艇が愛知県三河湾の沿岸地域における防災訓練に参加するべく名古屋港に入港した。

Img_7057  2006年、というと首を傾げられる方もいようが、ほら、あれですよ、速報のあと詳報掲載しようとしてその際に回線でなんかあって飛んじゃったんですよ!いやあ、そのあと気力も飛んじゃって、一年たってようやく掲載ということになったんスよ・・・。エ?明治村とか梅小路機関車博物館の詳報?・・・、ま。そのうち(笑)。

Img_7088  今回の記事で名古屋港へ入港したのは、多用途支援艦“すおう”と掃海艇“すがしま”である。“すおう”は、横須賀地方隊所属の艦で、多用途支援艦“ひうち”型の二番艦。なお、“ひうち”型は、先日“ひうち”氏に教えていただいた情報によれば、最終艦となる五番艦は“えんしゅう”となったとのことだ(情報どうもです)。

Img_7058_1  多用途支援艦とは、艦艇の訓練支援、小規模な輸送任務、更に救難任務に対応する艦として装備が進められているもの。この“ひうち”型は、スペックを列挙すると基準排水量980㌧、満載排水量1400㌧、全長65㍍である。ディーゼルエンジン二基を搭載し、出力は5000馬力、速力15ノットで乗員は40名。

Img_7063  近年指摘されているのは、一説に九州、四国中部から紀伊半島を経て静岡県に至る中央構造線において同時発生する地震の可能性である。浅学にして小生、地球物理は専門外であるので、相違点などわかりやすく解説できる方がいらしたら、お教えいただけると幸いである。

Img_7060_2  東海地震、東南海地震、南海地震がほぼ同時に発生するのではないかという指摘があるが、現実のものとなれば、静岡県、中京地区、紀伊半島、阪神地区と四国が被害を受けることとなり、伊勢湾、紀伊水道、大阪湾、播磨灘に面した地域が津波の危険に曝される可能性が生じる。

Img_7064_2  上記の三つの地震は必ずしも中央構造線と一致していないものもあるが、要するに地殻の歪が、近傍で発生した大規模な変動に誘発され、蓄積されたエネルギーが一気に放出されるというもので、マグニチュード7から8の地震が連続して発生する可能性も指摘されている。

Img_7067  中央構造線についてなどは、専門外であるから詳しい方の然るべき媒体での解説に委ねるとして、東海・東南海・南海地震が同時に発生し富士山が噴火、宝永火口ができた1707年の宝永地震、東海地震と南海地震が一昼夜の間隔で発生した1854年の安政地震、航空産業に打撃を与えた1944年12月7日の東南海地震と二年後の南海地震など、群発の可能性は少なくないようにみえる。

Img_7071 この他、南関東地震というマグニチュード7クラスの直下型地震の可能性も指摘されており、文字通り日本は地震列島、自衛隊・自治体・住民の三位一体となった対応ができなければ、被害を最小限に抑える事は出来ないと考える。2004年12月にはマグニチュード9.3のスマトラ沖地震が生じ、死者は22万6000名を越えた。防災対策が進む日本だが太平洋岸に人口密集地を抱えた日本、対岸の火事とは言い切れないように思う。

Img_7059_1  “すおう”の艦長室。さて、自衛艦による災害派遣は、映画“日本沈没”のような“おおすみ”型輸送艦とLCACを連想される方も居ようが、三隻の“おおすみ”型では限界があり、この種の艦艇や、海上保安庁の巡視船など、入り組んだ水道に入ることができ、破損した埠頭でも接岸できるものが必要となる。

Img_7078  こちらは艦内の食堂。清涼飲料水から缶入牛乳などを扱う自販機なども設置されていた。さて、災害に際して一般にいわれる物資輸送のほか、給水支援や暫定的な医療なども想定できる。例えば、沖合いにヘリを搭載可能な護衛艦などを配置し、緊急輸送の端末として小型艦艇を用いるという方法も考えられよう。

Img_7079  艦艇の解説。写真は自走式水上標的“バラクーダ”で、有人運用も可能。艦内からUTCS標的管制装置により誘導する。この他に例えば水上標的の曳航を行う。実弾射撃時には曳航標的と1000㍍以上の距離をとるという。また、艦艇そのものの曳航も可能で、4番艦、5番艦は潜水艦への支援能力を強化しているとの事。

Img_7084_1  投下した魚雷を回収するクレーン。航空機からの魚雷投下や、艦艇による訓練魚雷やアスロックの回収を行う。加えて艦橋上部には放水銃が搭載されており、消防能力も有している。任務というかは微妙だが、他には展示訓練や観艦式などにおける航路警戒任務も有しているとの事。

Img_7091  後部の広大な作業甲板。意外に思われるかもしれないが、ここには車輌を搭載することも出来、2㌧トラック四両を搭載することが可能。揚収にはクレーンを用いるとのことで、これも災害派遣には役立つ任務であろう。ところで、この作業甲板、UH-1多用途ヘリくらいなら降りられそうな気がする(ヴェトナム戦争では、河川でもっと小さな上陸用舟艇に渡した鉄板の上にUH-1Bが着艦していたし)。

Img_7083  写真は掃海艇“すがしま”。一般公開はされていなかった。満載排水量590㌧、全長54㍍で各種掃海機具を搭載する他、災害時には水中処分隊用のボートが、道路寸断により孤立した地域への救助任務に大きな威力を発揮するのではないだろうか。喫水が3.0㍍と小さい為、漁港にも入港することが可能だ。

Img_7185_1  冒頭でも述べたが本日は防災の日、週末ということで明日も含め各地で防災訓練などが行われるようだ。大規模災害に際しては、投入できる資材を有効に活用することで被害を局限化することができる。このためには平時に必要な組織を超えた運用が必要であり、この為に自衛隊・自治体・住民との連携へ、理解を培っておく必要がある。

HARUNA

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