北大路機関

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高山線猪谷~角川駅間 04年台風23号豪雨被害から運転再開

2007-09-15 16:08:27 | コラム

■富山~名古屋 鉄路で再び

 2004年10月の台風23号上陸に伴う豪雨災害により軌道崩壊、橋梁破壊が発生、これにより長く不通であった高山線の不通区間、猪谷~角川駅間の27.5kmの復旧工事が完了し、9月8日から運転が再開となった。

Img_1200  これにより、これまでは名古屋~富山間を、特急“しらさぎ”にて、大きく迂回、米原と金沢を経由する必要があったが、特急“ひだ”により、名古屋から岐阜県を縦貫し、富山まで行くことができることとなった。こうして東海地方と北陸地方は、鉄路により強く結ばれたわけだ。なお、先日の記事では9日から復旧と記したが8日の誤りであった。

Img_1217  さて、信越本線の復旧特集記事に続き、高山線復旧記念記事を掲載することとした。できれば高山にも足を運びたいが諸事情により特急特集とした。今回は、“ワイドビューひだ”を初めとした名古屋を基点とするJR特急に関する記事を掲載したい。

Img_1182_1  特急“ひだ”ということで、岐阜県飛騨地方をイメージさせる合掌造がヘッドマークとなっている。この飛騨地方は豪雪地帯としても知られ、この合掌造とは豪雪対策の形状でもあるわけだが、鉄道の障害となる豪雪は、同時にスキー客の輸送という旅客需要も創出している。また、高山祭や合掌造の白川郷など、観光資源は比較的多い。

Img_1180_1  パンタグラフの無いすっきりとした車体。特急“ひだ”は、名古屋~高山間を結ぶ特急であり、一部が富山駅までの区間を延長運転している他、更に一部の列車は大阪駅を始発とし、大阪~高山間を結ぶ運転も為されている。実はJR高山線は非電化区間である為、この特急に用いられているのはディーゼル車である。

Img_1254  高山線復旧を印象付けるのは、この電光表示板。これまでは代行バスで繋がれていた区間も走り、富山まで結ぶことを誇示しているようだ。ただし、安価な高速バスとの競争は、この区間でも例外ではなく、長くの不通期間において離れた利用者を如何に取り戻すかが大きなテーマとなるのではないか。

Img_1262  特急に用いられるのはキハ85系。高山線の特急“ひだ”(写真右)、そして紀勢線の特急“南紀”(写真左)への運行を構想して導入された車輌。国鉄民営化の年である1989年に導入が始まり、JR東海の車輌として先頭をきってグッドデザイン賞を受賞している。

Img_1264  同じ編成であっても全車両が富山に行くのではなく、一部が高山で運転を終え、切り離して富山まで運行するという方式を用いる。この点、神戸線京都線琵琶湖線北陸本線を走る新快速敦賀行きの一部米原切り離しや、特急たんばまいづるの切り離しを彷彿させる。

Img_1201  このキハ85系は、通常の国産ディーゼルエンジンではなく米カミンズ社製ディーゼルエンジンを採用している点が特筆されるそうで、聞くところでは相当珍しいとのこと。鉄道車両用国産ディーゼルエンジンと比して加速性能などで優れているようだ。

Img_1190_1  冒頭には貫通扉を有する貫通車の写真を掲載したが、この写真は非貫通車。流線型のボディーが美しい。JR西日本の大阪や京都を始発とする特急は、スーパーくろしお号などを除き、前面展望が限られている為、新鮮だ(スーパーはくと、タンゴディスカバリー号は乗り入れ特急だし())。

Img_1244  特急“しなの”が名古屋駅に到着した。一部では“ワイドビューしなの”として親しまれる特急車輌で、こちらはディーゼルではなく電車。従って最高速度は区間によっては130km/hという俊足を誇る。T字型のシングルアーム式パンタグラフが近代性を強調している。

Img_1184_1  “しなの”には、1995年に導入された381系が用いられており、鉄道友の会からローレル賞を贈られるなど、流線型のデザインにはファンが多い。カーブの多い区間を走り抜ける為に、制御振り子式車体を採用、効率的な高速運行を可能としている。ただ、振り子制御を行える区間が限られている為、全区間を高速運行出来るのではないとの事。

Img_1248  先頭車はグリーン車であるが、座席以外にも前面展望という最高のサービスを受けることが出来る。鉄道の旅において車窓からの眺望は最高のサービスであるが、中でも前面展望は、その最高峰にあるものだ。383系は、運転台と客室を隔てるガラスが大きなものを採用することで、より良い眺望を提供しているわけだ。

Img_1247  名古屋駅から、金山駅、先日日本最高気温の街を記録した灼熱の街多治見、中津川を経て13連隊のいる松本を通り、長野へいたる。この路線を見ると判るように、ビジネス特急と同時に名古屋からのスキー観光に用いられる特急という印象がある。

Img_1266_1  写真は383系の貫通車。貫通車と非貫通車ではここまで印象が違うのかと驚かされる。連結時に必要であるのはわかるが、貫通扉があると眺望が失われてしまうのが残念だ。名古屋駅始発の特急なのだが、発車25分前に入線してきたため、じっくりと写真を撮影することが出来た。

Img_1251  特急“南紀”の名古屋到着。ディーゼルであることを示す軽快なエンジン音と共に到着だ。この“南紀”も、“ひだ”と同じキハ85系の車輌である。“ワイドビューひだ”と称されるように、“ワイドビュー南紀”と称される(“ワイドビューしなの”は単なる愛称で正式名称ではないとの事)。

Img_1255  特急“南紀”は、名古屋駅から桑名、四日市、津、松阪を経て熊野、紀伊勝浦にいたる特急である。近鉄線との競合区間は30km未満の自由席特急券がやや割安との事。文字通り長距離特急で、どうでもいいが京都からの特急“くろしお”と、この“南紀”を乗り継げば紀伊半島一周という快挙が可能である。

Img_1258  “南紀”のヘッドマーク。個人的な感想であるが、架線用の電柱の無い非電化区間というのは車窓からの写真を撮影するのに最適である。雄大な自然を前にしても撮影した写真に電柱が写っていると、かなり興ざめであるから(とはいうものの最近のようにデジカメを使うようになると、確認して駄目なら撮り直しということも可能だが)。

Img_1257  さてさて、高山線の全面復旧記念ということで、“ワイドビューひだ”特集に加えて、直接関係無いが、“しなの”や“南紀”の写真を掲載した。なんとなく単なる“ワイドビュー特集”になっているのは、この際スルーの方向でお願いします。

HARUNA

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