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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

千僧駐屯地祭(第三師団) 2006年5月14日

2007-05-11 14:57:04 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■第三師団創立45周年記念行事

 第三師団は第三管区隊を主体として、1962年1月18日に創立された師団で、2005年度に師団改編を受け政経中枢の防衛に適した装備を主体とする編成に移行している。今回は、明後日開催の千僧駐屯地祭の見所やタイムスケジュールを昨年の行事のデータをもとに掲載したい。陸上自衛隊 第三師団記念行事 千僧駐屯地祭平成18年度 千僧駐屯地祭と併せ、ご覧いただければ幸いである。

Img_2004  師団とは、近接戦闘を行う普通科部隊、その火力支援及び敵火砲無力化を行う特科部隊、敵戦車を無力化し火力拠点を近接し無効化する機甲科部隊、障害を除去し施設を復旧する施設科部隊、これらの部隊へ指揮命令を伝達する通信部隊と、部隊能力の維持を行う後方支援部隊などなどを一まとめにした部隊単位である。

Img_1719  式典会場へは、JR福知山線伊丹駅、阪急伊丹線伊丹駅の駅前より無料のシャトルバスが運行されており、小生は0840時頃に阪急伊丹駅に到着、少し行列が出来ていたものの15分程並んだ後、シャトルバスに乗車した。後ろには長蛇の列が出来ており、早めの駅到着が理想的であることをしめしていた。千僧駐屯地はグラウンドと国道171号線を挟んだ司令部施設から成り、0925時頃から部隊が整列準備にかかった。

Img_1692  1000時頃には部隊がグラウンドに行進しつつ入場を開始、1012時、整列を完了した。1021時、観閲台前に国旗入場、部隊は敬礼、観覧者は起立して日の丸を迎える。

Img_1701  1025時、第三師団長五藤陸将が車上より部隊巡閲、隷下部隊は敬礼によりこれに応える。1028時より師団長訓示、今日の自衛隊を取り巻く情勢、京都・大阪・神戸という大都市圏や紀伊半島西部、山陰地方という山間部を警備区域に有する第三師団の任務の重要性や、部隊精強化を求める訓辞を行った。

Img_1711_1  1033時より来賓祝辞、写真は京都府知事。京都府は、兵庫県の豊岡とともに豪雨災害により被害を出しており、災害派遣における陸上自衛隊の支援に感謝を述べ、師団創立記念日を祝った。自衛隊協力会幹部などの祝辞の後、1059時頃より観閲行進準備の為、行進しつつ部隊の退場が開始された。

Img_1724  1110時、行進開始。観閲行進の先頭は、第三師団の警備管区内に所在する府県旗の行進である。第三師団の警備管区には、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、奈良県、滋賀県の二府四県が所在する。観閲行進は、観閲台(グラウンド北側)の前を経て、小生が撮影位置と選んだ会場西側開放地域を曲がり、更に会場南側開放地域を曲がった後、倉庫群のある区画に戻ってゆく。観閲行進中は会場東側は立ち入り禁止であったように記憶する。

Img_2015  観閲行進は、府県旗に続き、司令部付隊の幕僚が乗車した車輌が行進、そして連隊旗を掲げた82式指揮通信車を先頭として各普通科連隊の徒歩行進となった。写真は第七普通科連隊、敬礼しているのは第七普通科連隊長の佐藤1佐である。

Img_2002_1  1117時、徒歩行進に引き続き車両行進である。先頭は普通科連隊の高機動車、軽装甲機動車、中MATなどを搭載した73式小型トラックの行進である。第三師団隷下には、福知山の第7普通科連隊、伊丹の第36普通科連隊、そして信太山の第37普通科連隊が編成されている。かつては大久保に第45普通科連隊が隷下にあったのだが、いまは無い。

Img_2020_1  1119時、第三偵察隊の車列が会場に入場する。勾配付近に撮影位置を配置していた為、曲がってくる車列が一枚のフレームに収まっている。勾配を曲がる車列撮影は、発想としては鉄道撮影の際用いる手法を応用したものである。

Img_2056  1120時、第三特科隊、同時刻、第三後方支援連隊、1122時、第三高射特科大隊、1124時、第三施設大隊、1125時、写真に写っている第三通信大隊、そして警務隊の車両などが観閲行進を展開した(写真の画像データに記載された時間より引用)。

Img_2073  観閲行進の最後は今津の第三戦車大隊より参加した74式戦車が独特の駆動音とともに会場に進入する。時間は1127時。だいたいの駐屯地祭では戦車が観閲行進の殿を務める。先頭の車輌を撮影しておかないと、排気煙で後続が曇ってしまうことも在るので撮影はお早めに。

Img_2044_1  伊丹空港の航空管制の影響もあり、やや遅れて1130時、祝賀飛行が行われる。八尾の第三飛行隊のヘリを中心に、方面航空部隊のAH-1S対戦車ヘリコプターも参加している。陸上自衛隊の駐屯地祭ではヘリコプターが参加する場合は祝賀飛行と訓練展示、装備品展示の際に飛行するが観閲行進が最も機数が多く、どの方向から飛来するかをチェックする必要がある。

Img_2097  訓練展示は、模擬戦闘で、会場東側に仮設敵が侵入し、陣地を構築、これを第三師団が奪回するという内容で、1153時に会場上空へ観測ヘリコプターOH-6Dが進入、状況開始となった。「航空管制の影響で航空支援が遅れる場合がありますがご了承下さい」というアナウンス。写真は状況を把握するべく展開した斥候部隊。

Img_2089  仮設敵部隊。ヘルメットに赤い帯を巻き、小銃を突き出している。後方に一般観客が写っているが、ここは観閲行進中は安全のために立ち入り禁止となっていた場所であるので、訓練展示中は開放されたのであろうか。なお、千僧はグラウンドの面積の関係もあり、仮設敵の隣の通路を通り、部隊は展開、大きく回りこんで火砲展開や降車展開を行う。横から仮設敵が攻撃すればいちころであるが、武士道精神でそういったことは行われない

Img_2112_2  疾風の如く駿足を活かして敵情を探る第三偵察隊の斥候オートバイ。手にしているのは64式小銃である。後方には62式機関銃を搭載した73式小型トラック(一般に言うジープ)、25㍉機関砲を搭載した87式偵察警戒車が威力偵察を行っている。

Img_2126 2003年より配備が開始された新装備の対人狙撃銃を携帯した隊員が忍び寄る。身に着けている野生のガチャピンかムックのようなものはギリスーツというもので、野外においては相当な迷彩効果を発揮する。対人狙撃銃は米軍のボルトアクション式M-24であるが、これも恐らく偽装され、指揮官や重火力無力化などに活躍する。

Img_2065_1  ゴジラのマーチがスピーカーから流れる中、FH-70榴弾砲がトラックから切り離され射撃準備、81㍉迫撃砲が据えられ、そして軽装甲機動車からは87式対戦車誘導弾を構えた隊員が仮設敵を睨む。1206時、FH-70榴弾砲が空包を発射する。

Img_2157  特科火砲に引き続き、74式戦車が砲撃を行う。敵も戦車を繰り出してきたが、数発の撃ち合いの後、圧倒的な火力の差により沈黙した。撃破された戦車はサスペンションを右に傾けオレンジ色の旗を掲げ、ヤラれたことをアピール。

Img_2179  戦車前進、同時に軽装甲機動車からも隊員が降車する。降車の際が一番狙われやすい、ここを狙う敵火力を、軽装甲機動車に搭載されたMINIMI分隊軽機関銃が射撃し、無力化を図る。観閲行進の撮影位置では、この様子を真後ろから撮影することになる為、実は会場南側に空きがあることを望遠レンズで確認した後、撮影位置を変更した。これにより、写真のような順光での撮影が可能となった。

Img_2167  銃剣突撃に備え、89式小銃に新しい30発弾倉を叩き込む隊員。戦闘防弾チョッキには前に四箇所、合計6個の30発弾倉を収めるポケットがある。水筒やスコップ、直接降車戦闘に用いない装備は軽装甲機動車に搭載し、戦闘に特化した装備で状況に臨む。

Img_2169_2  吶喊ッ!突っ込めェ!状況に最後の決着をつけるべく着剣した89式小銃を手に、銃剣突撃を敢行する普通科隊員。秘匿された敵の機銃陣地の生き残りを警戒して74式戦車の105㍉戦車砲が油断なく向けられている。高度な火器管制装置を備えた戦車は近接戦闘において強力な移動トーチカとしても威力を発揮する。

Img_2171_1  銃剣突撃、損耗を見込まねばならない銃剣突撃も、戦闘防弾チョッキの導入や、攻撃基点までの戦術機動を軽装甲機動車により行うことで損耗を局限化することが期待できる。この銃剣突撃により仮設敵陣地は奪回に成功、仮設敵は降伏したところで1209時、状況終了となった。

Img_2072_1 状況終了後、訓練展示参加部隊を歩きがてら撮影する。装備品展示は、このグラウンドではなく、司令部などが置かれた駐屯地の方で行われている為、グラウンドは訓練展示終了後、撤収準備を始める。このため立ち入ることは出来ないものの、装備品などをクリアな状態で、撤収作業を邪魔することなく撮影することが出来る。

Img_2077_1  81㍉迫撃砲の撤収の様子。中々きびきびとした行動で、この様子も訓練展示で示してはどうか、と思うほどのものであった。この他、FH-70榴弾砲の撤収など、訓練展示とは異なった角度で撮影することも可能で、訓練展示では遠すぎて鮮明に撮影できなかったものも撮影できた。駐屯地ごと、師団ごとに展示などは工夫されており、陸上自衛隊を知る機会ということで一つ、足を運ばれてみては如何であろうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (4)
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