井伊影男の植物観察

植物の生き方の不思議さ、彼らのたくましさ、したたかさに触れる。しかし、観察者が井伊加減男だからなあ。

日高富川オコタン川畔の春1

2014年05月21日 | 日記


カブスゲ。カヤツリグサ科スゲ属。
北海道の湿地に生え、こんもり盛り上がった塊状になって「野地坊主」をつくる。
頂部の小穂は雄性、下部の側小穂は雌性。



カブスゲの作る谷地坊主。
カブスゲは集まって一つの株をつくる。株から年々新芽を出して次第に大きくなっていく。
寒冷地では冬季に土が凍結して土を持ち上げていく(凍上という)。カブスゲの株も一緒に持ち上げられ、春の雪融け時には株周辺の土が融雪水で削られたりして谷地坊主になっていく。



ハンノキ・ヤチダモ林。
ハンノキ・ヤチダモ林は典型的な湿性林で釧路湿原などにも多い。
カブスゲが谷地坊主を作るほか、ホザキシモツケやコウヤワラビなども多く見られる。緑色に見えている低木がホザキシモツケである。
ハンノキの通称は「ヤチハンノキ」で何れも「谷地」の字はつくが、耐湿地性はハンノキの方が強い。
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森林総研の春4

2014年05月20日 | 日記


ミヤマエンレイソウ。ユリ科エンレイソウ属。
白い内花被3個と緑色の外花被3個の大きさの差が小さく、首を傾げるように横向き~下向きに咲く。オオバナノエンレイソウと違って全国に分布する。



オオバナノエンレイソウ(4数性)。ユリ科エンレイソウ属。
エンレイソウ属の学名(トリリウウム)は3数性を表す。
内花被も外花被も3個である筈なのだかこの株にはそれぞれ4個ついている。葉も4枚が輪生している。
4数性の株だけでなく、時には2数性のエンレイソウも現れる。こうした異常な株が生じるのはオオバナノエンレイソウに多いように思うが、他のエンレイソウにも出るのかどうか良くわからない。



ナガハシスミレ。スミレ科スミレ属。
地上茎をもち托葉が櫛の歯状に裂けるタイプのスミレで、距が長く斜めに伸びているのが最大の特徴。
その特徴から「天狗スミレ」の別名もある。
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森林総研の春3

2014年05月19日 | 日記


ヒロハヘビノボラズの芽吹き。メギ科メギ属。
枝の各節に3~5本の刺があり、これなら蛇も登らないだろうというので「蛇登らず」の名がついた。
刺のすぐ上に冬芽がつき、開いて短枝となる。葉は互生だが節間がつまって輪生状となる。
葉の縁には刺状の鋸歯があり、葉の間から蕾が姿を見せている。



ミヤマハンノキの芽吹き。カバノキ科ハンノキ属。
ミヤマハンノキもケヤマハンノキも雄花序の冬芽は裸出する。ケヤマハンノキでは雌花序の冬芽も裸出するが、ミヤマハンノキでは裸出せず冬芽の中に収められていて開葉と同時に姿を見せる。
そういう点でミヤマハンノキはヤシャブシに近い。



アカシデの芽吹き。カバノキ科クマシデ属。
カバノキ科の多くは雄花序の冬芽が裸出するが、アカシデ(クマシデ属)は裸出せず冬芽の中に収められている。冬芽でふっくらした方に雄花序が入っていて、スリムな方は雌花序か葉が入っている。
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森林総研の春2

2014年05月18日 | 日記


ガマズミの芽吹き。スイカズラ科ガマズミ属。
ミヤマガマズミが寒地系であるのに対してガマズミは暖地系。北海道も太平洋側には分布するが、日本海側では自生種は見られない。
ミヤマガマズミの若枝は無毛だが、ガマズミの若枝には毛が多い。
同じガマズミ属のオオカメノキの花序には装飾花がつくが、ガマズミ、ミヤマガマズミには装飾花はつかない。



ミズキの芽吹き。ミズキ科ミズキ属。
展開したばかりの葉は淡緑色で白い毛が密生する。
若枝が紅紫色を帯びていてミズキの特徴となっている。



ユリノキの芽吹き。モクレン科ユリノキ属。
芽鱗が割れて特徴のある葉が姿を見せる。その葉の形が「半纏(はんてん)」に似ているというので「ハンテンボク」の別名がある。
昨年の果穂がまだ残っている。果穂の内側についていた翼果は飛んでしまって、外側の翼果だけが残ってコップ状になっている。
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森林総研の春1

2014年05月17日 | 日記


ミツバアケビの花。アケビ科アケビ属。
本州のアケビは5小葉の掌状複葉、北海道のアケビは3出複葉なので「三つ葉アケビ」と呼ぶ。
アケビのことを「木通」とか「道草」と書く。木通の方は漢方の生薬の名前であるが、道草の方は何故これがアケビなのかよく分からない。
花は雌雄異花で下の小さい花の集まりが雄花序で、上の大きい方が雌花、花弁はなく、花弁状の萼が3個で中心に棒状の雌しべが見えている。



キタコブシの花。モクレン科モクレン属。
モクレン属の花は被子植物の中で最も古いタイプと言われる。雄しべも雌しべも多数あってラセン状に並んでいる。
蜜を出さず花弁と香りで昆虫を誘い、花粉媒介の報酬は花粉である。
雌性先熟の花で雌しべが先に活性化し(雌性期)、両性期を経て雄性期に移っていく。
花被片は9枚で内側の6枚が花弁状で、外側の3枚はごく小さい。



ハクモクレンの花。モクレン科モクレン属。
キタコブシに似ているが、9枚の花被はほぼ同大の花弁状になる。
キタコブシが平開するのに対して、ハクモクレンは平開しない。
キタコブシの花の下に葉がつくがハクモクレンにはつかない。
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