大阪のある小さな精肉店、「肉の北出」
牛を飼い 屠(と)殺し、精肉して売る-----
そのすべて行う小売店
今では そういう事をしている精肉店は
この北出家しか無いらしいのです
天上から吊るされる この見事な枝肉!!
枝肉とは内臓をきれいに取り除き
カラダを半分にしたお肉の事
そして包丁一本で 行われるその
手さばきも実に芸術のように見事です
美しい!とさえ思ってしまうほどの枝肉
手間暇かけ育てた牛を 自らの手で肉にするのですから
そこには 並々ならぬ思いがこもっているのです
映画の冒頭 ハンマーの突起部で
牛の前頭部をたたき
気絶させるシーンから始まります
一瞬 残酷と思って目をそらしたくなるのですが、
次々に映し出される解体の美しい手さばきと
枝肉に、始めの思いがどんどん打ち消されていきます
かわいそう-----なんて思っていられません
だって明日、いえ今夜にも 笑顔でおいしいといって
食卓に上るお肉を頂くのですから
これはまさに「いただきます。。。」
自分に代わって、牛をお肉にしてくれる人達に感謝しなければならないのです
現在7代目、江戸から続く 北出精肉店の歴史は長いです
伝統を守る誇るべき仕事。。。。のはずが
実際 北出家のある貝塚市のこの地域の歴史は
被差別の歴史でもあるのです
生き物を殺し生業を立てる
屠畜業------それを悪しきこととして
長年差別を受けてきた事実があるのです
北出家の仕事に無駄は一切ありません
内臓から皮まで捨てるところが無いのです
次男の昭さんはこの牛の皮で だんじり祭りの
太鼓を作ります-----自分の手で殺した牛への
感謝の気持ちがこもっていますし、その良さを
一番知っているのも北出家の人々なのです
スーパーに並ぶ プラスチックトレーに入ったお肉から
牛の姿は想像し難いですが、この映像をみれば
自分たちは いのちによって生かされていることが
容易に分かります。。。。
たまたまその地域に生まれたというだけで 受ける差別
それは次の代まで嫌がうえでも続きます
さらに、生き物のいのちを食べて生きる自分たちの存在
を確認した時に 正当に受け継がれるものの
大切さを実感するのです。
まずは、自分の目で見て知って、確認する----
いのちがつながっている事が分かれば
自分がそれを 安易に断ち切る事などできない事もわかります