Heart and heart

ありきたりになりがちな毎日をオンリーワンな一日に

ある精肉店のはなし

2014-07-08 17:25:46 | 映画

    大阪のある小さな精肉店、「肉の北出」
     牛を飼い 屠(と)殺し、精肉して売る-----
      そのすべて行う小売店
     今では そういう事をしている精肉店は
      この北出家しか無いらしいのです


     天上から吊るされる この見事な枝肉!!
     枝肉とは内臓をきれいに取り除き
     カラダを半分にしたお肉の事


     そして包丁一本で 行われるその
      手さばきも実に芸術のように見事です

     美しい!とさえ思ってしまうほどの枝肉
      手間暇かけ育てた牛を 自らの手で肉にするのですから
      そこには 並々ならぬ思いがこもっているのです



     映画の冒頭 ハンマーの突起部で
      牛の前頭部をたたき
      気絶させるシーンから始まります
      一瞬 残酷と思って目をそらしたくなるのですが、
      次々に映し出される解体の美しい手さばきと
       枝肉に、始めの思いがどんどん打ち消されていきます

     かわいそう-----なんて思っていられません
      だって明日、いえ今夜にも 笑顔でおいしいといって
       食卓に上るお肉を頂くのですから

     これはまさに「いただきます。。。」
     自分に代わって、牛をお肉にしてくれる人達に感謝しなければならないのです

     現在7代目、江戸から続く 北出精肉店の歴史は長いです
     伝統を守る誇るべき仕事。。。。のはずが
       実際 北出家のある貝塚市のこの地域の歴史は
       被差別の歴史でもあるのです
     生き物を殺し生業を立てる
      屠畜業------それを悪しきこととして
        長年差別を受けてきた事実があるのです


     北出家の仕事に無駄は一切ありません
      内臓から皮まで捨てるところが無いのです


      次男の昭さんはこの牛の皮で だんじり祭りの
       太鼓を作ります-----自分の手で殺した牛への
        感謝の気持ちがこもっていますし、その良さを
        一番知っているのも北出家の人々なのです

      スーパーに並ぶ プラスチックトレーに入ったお肉から
       牛の姿は想像し難いですが、この映像をみれば
       自分たちは いのちによって生かされていることが
      容易に分かります。。。。

      たまたまその地域に生まれたというだけで 受ける差別
       それは次の代まで嫌がうえでも続きます
      さらに、生き物のいのちを食べて生きる自分たちの存在
        を確認した時に 正当に受け継がれるものの
        大切さを実感するのです。


      まずは、自分の目で見て知って、確認する----
       いのちがつながっている事が分かれば
        自分がそれを 安易に断ち切る事などできない事もわかります