前向きな人生の整理整頓

人生も後半、一日が短いです。明日やると思っても、若者のようには明日はたくさんないのかもと気づいた今日この頃

可愛い人 / 岡田有希子

2009年02月06日 02時16分54秒 | Weblog
現実逃避 80年代に時間旅行というタイトルで書いていた頃の記事です

毎年、化粧品会社が春の口紅のキャンペーンをしますよね。
????最近は昔ほど盛んじゃないかな?第一最近は口紅の色が美しくない。
もっと言うなら汚い。自然とかナチュラルと言って色味を抑えすぎです。
それが似合う人もいるかもしれないけど、肌の色なんかも考えないと、余計くすんだ肌に見えます。
くすんでいるとき普段より明るい口紅は肌をきれいに見せる応急措置
吹き出物のあるくすんだ肌で、グロスだけだとフライドチキンでもかぶりついて来たの?
って感じで不潔っぽくみえます。と、まあここまではおばさんのたわ言。

80年代のひとつの春、幾つかあった春の中でも特別に印象深い出来事がありました。
その出来事の後ろには春の口紅のキャンペーンソングが流れていました。
86年の春、出来事の中心には、わたしより年上の18才だったその人がいました。
2O年以上たった今もおばさんになることなく彼女は18才のまま。
存命ならばどんな40代の女性になっていたことでしょう。
あの一つの春のたった一瞬をもし彼女が乗り越えていたなら、
恐らく本当の意味で不惑の素敵な女性になっていたのではないかと思います。
その人の名前は岡田有希子。

その日は学校が始まったばっかりで模擬試験か何かを受けに行って、普段より早く
家に帰っていた覚えがあります。
前日遅くまで勉強していた疲れか、妙に開放感に浸って家で昼寝をしたのは確かな記憶。
目が覚めて、テレビで彼女が自殺したという報道が流れていてどうせ未遂だろう、
明日学校で大騒ぎになるだろうなとぼんやりしているところに、
仕事を中断して母があがってきたのでお茶を飲んで、この辺りでようやく覚醒。
「岡田有希子、自殺したとか言ってたけど」
「飛び降りたらしいよ」
まだ、この時わたしは病院に運ばれて命を取りとめたと、勝手に信じていました。
報道で使う『自殺』と『自殺未遂』の意味の違いを初めて区別できるようになった事件でした。
最近では三浦和義氏の『自殺』報道のとき「ああ亡くなったのか」
とすぐに思いましたが、この頃のわたしはそうではありませんでした。「死んだよ」と聞くまでは。

わたしは彼女のファンではありませんでしたが、年も近いそのひとの死に
何故?何故?何故?の疑問符ばかりでした。
個人的見解ですが、ちょうどその頃の彼女は芸能界で絶頂の域にまさに手をかけよ
うという寸前だった気がします。
望んでその道に入って、それなりに欲も持っていて、望み通りの場所にに立とうとしていたのに。
今なら山は登ってみないとそこから見える景色は云々・・・と思ったりしますけど、
当時はそんなことわかりませんでしたし、死の理由は今もって謎とされています。

好きも嫌いもなく、正直何故人気があるのか全然理解できませんでした。
ただ、わたしは岡田有希子 というひとに何か違和感を持っていました。
何か変、どこか変。だけど一体どこが変なのかどう変なのか説明できませんでした。
同じ教室に彼女を嫌いないわゆるアンチの子がいたのですが、嫌っているのに、
彼女の出ている番組をチェックして、ちゃんとドラマとかも観ていて
毎日飽きもせず、悪口、(といっていいのかわかりませんが)熱く語っていたのを覚えています。
席が近かったので聞くともなしに聞いていたのですが、どうも彼女のその悪口が
わたしの感じている違和感と重なるところがあって、内心おかしくなって笑いたくなる時もありました。
嫌いと言いつつ、その違和感に引きつけられて、目が行ってしまう。
ちょっと不思議な魅力があったのかもしれませんが・・・。

だからと言って特別な感じは全くしない印象でした。
わたしの周りで彼女のファンを名乗る人は仲よしだった男の子が1人だけでした。
彼はアイドル大好きさんで、松田聖子の大ファンだったのですが、確か当時結婚したばかりで
活動が控え目になっていた頃だと思います。
そんな彼が次に見つけた『聖子ちゃん』の代わりが岡田有希子でした。
コンサートに行った彼は、どういう経緯だったかは覚えていませんが、
運良く本人と会うことが出来て直接お話したそうです。(こういうところ、当時は緩やかだった)
その時の服装とか帽子とか(タータンチェックとかいってなかったかな?)彼女がどんなにかわいいか散々聞かされました。
ほとんど覚えていないけど今のように携帯電話がある時代でもないのにわざわざ電話で
『あのこは本当にかわいいよ』といった声のトーンを今でも覚えています。
しかもアイドルなどに全く興味のないわたしを相手にですから、よほど可愛かったのでしょうね。

特別美人というわけでもなく、歌も格別に上手いわけでもなかったし、個性的でもなかった、
松田聖子をブリッ子の王道としよう。中森明菜なら歌いっぷり。小泉今日子の圧倒的個性。
ファンなら語れるのかもしれないけど、確かに岡田有希子を説明せよといわれたら、
その友人の言葉を借りて『可愛い』と答えるかもしれません。

彼にとっては手を伸ばせばもしかしたら届くんじゃないかって感じの可愛さで、
悪口を言っていたクラスの女の子にしても、ちょっと頑張れば、自分もなれそうな、
そんな当時の平均的な体形の普通の可愛い女の子っぽさが魅力。
磨かれていく最中で、わたしたちはその過程を見ていたのかもしれません。
完成をみることないまま。

現れた時は空前ではないけど、その去り方は一定の年齢層に絶後の印象を残しました。

                                   つづく