無題・休題-ハバネロ風味-

私の視線で捉えた世の中の出来事を、無駄口、辛口、様々な切り口から書いてみました。

謎のアンダーワールド

2009-09-23 19:20:09 | 建築・都市・港
楽しみにしていたTV番組、世界のドキュメンタリー「低価格食品はお得?」は見逃した。もっとも番組の内容は、そのタイトルが全てを表していると思っている。低価格商品の危うさと地産地消の安全さが、この番組の作る目的なのだろう。
そのシリーズの「苦い紅茶」を見た限りでは、真実を知ることは恐いことだと思った。一流メーカーの紅茶でも、栽培している現地では、農薬の安全とは言えない使用や、小作人の奴隷のような作業に唖然とした。ヨーロッパの安全ナンタラ委員会で、チェック機構がないのかと問われると、監督に任せているし、全てに目は届かないとの事だった。消費者は知る権利を持っている。しかし、知らない方が幸せなのかもと思えるドキュメンタリーだった。

9月の中、慌ただしい日常生活が続いていたのに、急にシルバーウィークが訪れて、何処へ行けるでもなく。私は中途半端な毎日を過ごしていた。そんな時、TVのリモコンでチャンネルを回していたら、見覚えのある洞窟が目に入った。トルコのカッパドキアだった。以下の写真は、私が旅行の時に写したもので、TV番組の物ではないが、カッパドキアはこんな所だ。


きのこ岩の上部は硬い岩で、下のベージュ色の岩は柔らかく、加工しやすい。


ここでは紀元前から、人々が洞窟を掘って住居として生活をしている。


現在も人が住み、ファンタジーな家々もあった。


これはギョレメの博物館である。


ここで有名なのは、岩の中のキリスト教の教会であろう。迫害を受けたキリスト教徒達が、このカッパドキアで地下都市を造り、一時期何千人も住んでいると言われている。


トルコへの旅の目的の一つが、このカッパドキアの地底都市に潜り込む事だった。


洞窟の中は、冬暖かく、夏は涼しい。


観光地として地下都市を見学できる場所もある。


巨大な地下の大空間があると言うのではなく、強いて言うなら蟻の巣のような構造になっている。寝室、台所、貯蔵庫、井戸、空気の流通縦穴が縦横無尽に掘られている。


上の丸い石は、防御の為に通路を塞ぐ扉の代わりになっている。これで敵の侵入を防いだとも言われている。


内部は迷路のようになっていて、この写真のピントがぶれているのは、私がここで迷子になって慌てたからだ。前を歩く人と離れないように進まないと、置いてけぼりになって、帰れなくなってしまう。もっとも、観光客が入って良い場所には明かりが着いているので、暗闇の場所に潜り込まない限りは大丈夫かと思うが、とっても心細かったのを覚えている。

さて、TVの番組の話に戻ろうと思う。この番組名は「謎のアンダーワールド」と言い、世界中の都市の地下を撮している。大都市の地下はあんまり面白くない。下水溝だったり、地下鉄だったりと、ウキウキするものがない。戦争中の地下壕でも、夢がないと思う。それに比べて、このカッパドキアでは発見されていない地底都市はまだまだあると言う。案内人に連れられて、ある一軒の家の前に来た。「ここが有名な建築家の生家だ」と説明した。ミマル・シナンの物だと言う。私は釘付けになった。一般の観光客では見に行けない場所のようだ。そこにも地下は大きく繋がっていた。様々な倉庫や工場として使われたようだ。鳩の糞が単なる肥料ではなく、爆薬を作る為に用いられたとも言っている。キリスト教徒だったシナンが徴兵され、イスラム教徒に改宗させられ、あの沢山のモスクを造る事になるのだが、シナンの家の地下では、モスクの柱や壁に見られるような三本のアーチが連なっていた。シナンの原点がここにあったのだ。

ああ、もっとちゃんと見たかった。この番組に気が付いたのは、45分番組の30分も過ぎた頃で、再放送の予定には入っていなかった。ヒストリーチャンネル
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6 コメント

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建築物 (お幸)
2009-09-24 20:13:44
トルコの素晴らしい建築物と対照的なんだなあと
興味深く拝見していたら
あれらの建築物の基本になったのですね
トルコって魅力的なんですね

趣深い金山町の写真と比べると
また面白い
形はまったく違っても
負けてないですね金山町!
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Unknown (Andi)
2009-09-24 20:31:15
確かに、知らない方が幸せと言えることはたくさんあります。番組見逃して残念でしたが。

私はカパドキアは行ったことがありません。行ってみたい所リストのナンバーワンです。現在も人が住んでるってところが何とも言えないですよね!柔らかくて加工しやすい岩ってどんな種類なんでしょうか?実際触ってみたいです。
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お幸さん (cake)
2009-09-25 09:27:50
トルコは歴史が深すぎます。
近くではオスマントルコ帝国(トルコ人の起源はモンゴル辺りに住んでいた騎馬民族だったようです。)
その前は東ローマ帝国で、現在も国中に遺跡がゴロゴロしています。トロイの遺跡もあるように、歴史物語や神話に出てくる地名がここには並んでいます。キリスト教の聖書しかも旧約聖書にも、ここの山が出ていました。
私は、イスタンブール、イスラム教、モスク、カッパドキアしか知らずにトルコへ行ったら、奥の深さに驚きました。魅力的な国だと思います。

金山町も、来年か再来年に、世界中の建築家が集まることになっています。頑張れ!金山!!
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Andiさん (cake)
2009-09-25 09:41:03
Andiさんの町では、野菜などは地元産の物を買えますよね。こちらでも最近は野菜などの販売にも産地を明示するようになりました。季節によって他の地域からも入ってきますが、産直に行けば作った個人名入りの野菜を買うことが出来ます。これはとても安全だと思います。
「苦い紅茶」では驚きました。この製品も消費量の多いイギリスでは飲まれているのだろうなと思いました。紅茶も日本茶も元を辿れば同じなので、日本の茶畑のような状態で、紅茶も作られるとばかり思っていました。残念!「イギリスの植民地の時の方が生活が良かったと言っている」発言もありましたよ。

Andiさんは、カッパドキアはまだでしたか。トルコも国が広いですから、バスで行くにも飛行機でも遠いですね。もし「ミマル・シナンの生家」が見られるようでしたら、教えてください。何だか一般公開はしていないようでしたが。加工しやすい岩は、岩と言うより砂粒の集合体、もろい砂岩のようです。触って冷たい感じはしませんでした。
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Unknown (yukacan)
2009-10-02 16:18:10
迷子になってあわてても写真を撮っているcakeさんかわいい。
カッパドキアの地下都市で、まだツアーのコースに入っていないところへ数年前に行ったのですが(入場無料だったから)、ここはとんでもなく規模が大きくほとんどの現存の家へも迷路が繋がっているのだそうですよ。ワクワクしますよね。イズミルから100キロくらいのKULA(クラ)という町の近くに、地形と侵蝕状況だけはあと数百年位すれば、ニューカッパドキアになりそうなところがあります。過去に定住状態があったのかどうかは私は知りませんが、最近そこのことを「クラドキア」と呼んでトルコ人のツアーが組まれるようになりました。あはは。
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yukacanさん (cake)
2009-10-03 14:24:55
そのお話、是非お聞きしたいです。
私が観た「ミマル・シナンの生家の地下に続く工場」も、きっとyukacanさんがご覧になった地下都市だと思います。現存する家に繋がっているとも聞きました。規模も、とても広いのだそうですね。地上のレベルで、地図や建物は想像できても、それが地下の迷路で繋がっていると、もう想像を絶します。見たい、行きたい!
yukacanさんは、迷子にはなりませんでしたか。迷路が四方八方上下斜めにも繋がっているので、感覚が掴めなくなりますね。
クラドキアと言うのも面白いですね。
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