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医療崩壊のイメージは?

2020-12-13 | 日記

責任ある立場にいる医療者の一人が、医療崩壊という言葉を挙げ、医療崩壊を「病院の廊下に何人もの患者が治療を受けられないで横たわっている光景」だと単純に想像しないで欲しい、と訴えるのを聞いた。実際の医療崩壊には様々な状況が有り得ること、そして「いつもなら当然受けることのできるはずの治療を受けることが難しい」という状態を、もはや医療崩壊に限りなく近づいたと捉えて欲しい。それを肝に銘じて、個々に感染抑制の努力をして欲しいという切実な訴えである。

 なるほど、3月4月にイタリアやニューヨークの病院内でのそのような光景が報道され、「医療崩壊が起きている」と説明・紹介されたことを良く覚えている。今の日本ではそのような病院の映像が出て来ないので、病院スタッフが懸命に働き窮状を凌いでいる映像を見せて「医療崩壊が近い」と訴えても、世間の人々への説得力を持たなくなっているのかも知れない。しかし、数百人レベルの「ホテル療養者」が出ていること自体、例えば病院のロビーや廊下にベッドを並べて治療を待つ姿と本質的に同じではないのか? 患者にすれば、病院内に居てベッドの直ぐ脇を多くの医療スタッフが通り過ぎるだけ、まだ「いざという時には看てもらえる」という可能性を感じるかも知れないとすら思う。

 確かに病院のロビーや廊下よりはホテルの部屋の方が居心地は良い。「検査陽性」だけで体調に不安の無い人にとっては、その方が良いだろう。しかし、そんなホテル療養での死亡者がついに出た。病院への移送も医師の診察も無く、看護も受けられないままである。さらに、患者が亡くなったことが4時間も把握されなかったことは「崩壊」という言葉で表現するしかないと思う。医師・看護師による定期的な聞きとりや検温は行っていても、酸素飽和度の低下に直ぐに対応できない(つまり、昼夜を通して看ることのできる病院に移送できない)実態があるということだろう。

 新型コロナでの急速な呼吸悪化が知られてない初期の頃ならば、まだ理解できるが、既にそれが一般にも周知されて半年経っている。その上でそのような状況に至り、しかもその状況改善の見込みが当分無いことまで認めざるを得ない。多分、同様のことが日本のいろんな地域で起きるようになるのではないかと、政府も、どこの自治体の行政も実は分かっているのではないか。それは、それらの地域での医療崩壊を意味するのではないか。

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