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「山本五十六」続

2020-12-05 | 日記

昨日録画していた「山本五十六連合艦隊司令長官に関する番組・後編」を見た。後編は真珠湾攻撃以降の話になり、おそらくほぼ既に聞いたことのある内容なのだろう、と思って見ていた。しかし、開戦・真珠湾攻撃後まだ1か月経たないうちに書いた知人へ手紙に、「いずれ東京に爆弾の雨が降るようになれば・・・、と心配だ」という内容が書かれていたと知り驚いた。

 開戦前からいくつかの民間の研究所などが「日米で戦争を行えば、アメリカが勝つ」という分析結果を出していたと聞いたことがあるが、何よりも「真珠湾攻撃を構想した本人」が真珠湾での戦火に熱狂する世論の中で、静かに「アメリカには東京空襲の能力がある」と考えていたというわけだ。而して、その危惧は手紙から3か月後に実際の事となった。その時には二度目の空襲は起きなかったが、山本司令長官としては「真珠湾で取り逃がした米空母の存在」が、その作戦の可能性を想起させる脅威になっていたのだろう。もしかすると、戦艦を主体とする艦隊に気を取られる海軍の中にあって、日本海軍の「空母の行動に対する監視を怠る傾向」を見抜いていたのかも知れない。

 それ以降も、「実戦での失敗を徹底的に検証し次に備えていた米海軍」に対し、日本海軍では実戦での失敗の原因分析はほとんど行われていなかったらしい。解説者の一人の弁に、「日本人は仲間意識が強く、失敗した者を責めたくないという気持ちが働く」との説明。それを聞いて「ああ、これではダメだな。」と感じた。仲間意識と失敗の原因追及を連動させた説明が有効である限り、「失敗の原因を皆で分析し、次の成功へと結びつける」ということがこの国で起きるはずがない。

 逆説的に「アメリカには仲間意識が無いのか?」と問いたくなる。日本人が持つ仲間意識のある部分について、アメリカ人同士では希薄に見えるものがあるかも知れない。しかし、彼らには確かに彼等の「仲間意識」がある。それは、軍人に限らずビジネスや日常生活・友情を扱うアメリカ映画に描かれ、我々にも感動を与えて来た。失敗の分析を怠る原因は、「日本人の仲間意識」ではない。日本では「失敗の原因の分析よりも、失敗した人間への批難に重きを置く傾向が強い」からである。それが、翻っては「失敗した仲間を庇うために、失敗自体を隠したり過小評価する」という解決策へと向かわせる。

 言い換えれば、日本の世論・日本人全体が「失敗の原因や、次の成功につなげるという強い意志を持たず」、「目の前にいる失敗した人間を、一時的感情発露の対象に選ぶ」ことで「失敗自体からは目を背けてきた」のだと思う。それがはっきりと繰り返し強く認識され、その「日本人の癖」を繰り返し摘発して悔やみとしないかぎり、まだまだこの国は「客観的事実の積み重ねを土台とする確かな進歩」へと立ち至らないだろう。これが新型コロナ感染拡大に対する対処や、報道機関・政府・世論の全てについても、今日でもまだ続いているという感がしてならない。

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