goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

喫茶店のナポリタン

2005年11月28日 | 食べ物・食材



「秋色 新宿中央公園4」


このところ続いている暖かさを持続したまま、新しい一週間が始まりました。
気分爽快ってところですが、さてさていつまで続くことやら。
怖い怖い月末が控えてますからね。
でも週初めがこんなに過ごしやすいと、なにか得した気分ではあります。

今どきの若い人にはわからないかな、今日の話は。

「喫茶店のナポリタン」のお話です。

おじさんが学生生活を送ったのは'70年代の初めの頃です。
あの頃を一言で言い表すとしたら、「議論の時代」だったと思うのですよ。
口角泡を飛ばすという言葉のまんま、時間さえあれば語っていましたね。
政治から芸術まで話題は次々と展開し、ときに喧嘩腰で相手をつっかけ、険悪になることもしばしでした。
思い返せば、埒もない赤面ものの内容ですが、当時は真剣そのものでした。
ファストフードもファミレスもなかった時代ですから、舞台はいつも喫茶店です。
コーヒーを1杯注文して、何時間も過ごしてました。水ばかりお替りして。
嫌な客だね。

学生街はマージャン屋と喫茶店だらけでした。
もちろん携帯もなかった時代だから、誰かを探すときは、マージャン屋か喫茶店に行けばなんとかなったんですけどね。
ことある毎に喫茶店に集い、語り続けるという日々でした。

本題のナポリタンの話。
そもそもわれわれが食べていたスパゲティナポリタンって、日本が発祥だということは、もう判っていますよね?
確かにね、アメリカの食文化を代表するトマトケチャップを、イタリアで使うなんてこと有り得ないし。
そういうことも、ずっと後になってから判ったことです。

スパゲティ(そもそも現在では、「スパゲティ」は「パスタ」に取って代わられています)といえば、ナポリタンかミートソースしかなかった時代でした。

ある年代(このあたりの線引きはちょっとわからないのですが)から上の世代にとっては、センチメンタルな郷愁だとわかった上での話ですが、喫茶店のナポリタンを語りだすと止まらなくなってしまいます。
それぞれにそれぞれの思いがありますからね。

ピーマン、タマネギ、ハム(もしくはベーコン)を太目の千切りにし、フライパンにサラダオイルを熱して炒め、そこに茹でた麺を入れトマトケチャップで味付けし、塩、胡椒で味を整えれば、ハイ出来あがり!

いかにもという喫茶店のメニューです。
昨日今日雇われたバイトくんでも出来ちゃう一品です。

この郷愁話のなかで、一様に語りこだわるのは、麺です。
この際の麺は、茹でたてでは絶対駄目なんですよ。
大鍋で一袋全ての麺を茹で上げ、水洗いし、冷蔵庫に保管しておいたものを使わないと、あの喫茶店のナポリタンの味にはならないとうのが、衆目の一致するところです。

コシのない、柔らかなスパゲティこそがポイントだなんて、到底若い人には理解不能でしょうね。
現在はアルデンテ全盛時代だからね(これについてはおじさん?です。なんでもかんでもアルデンテなんて、おかしいと思ってますよ)。
ポソポソプツプツした麺と、過剰に投入されたトマトケチャップ。
タバスコと粉チーズへのこだわり。
食べ終わったあとのお皿は、オレンジ色で油ぎってました。

ねぇ、馬鹿な話でしょう?
紳士然としたオッサン連中が、このときとばかりに、滔々と持論を展開します。
喧喧諤諤、われこそはの「喫茶店のナポリタン」を語るのですからね。

そうなんです、この話の主役は、オッサン連中です。
女性でナポリタンの話に乗ってくる人って、ほんとに稀な存在ですからね。
男というやつは、パスタの何を語ってるのよ…って軽蔑しないでくださいね、怖~~いおねえさまがた。

オッサンたちにとって喫茶店のナポリタンとは、特別な存在なんです。
青春という共通の空気感をもった、それはそれは特別な食べ物だったのです。

大目に見てやってください。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レシピー (pfaelzerwein)
2005-11-29 18:07:04
見出しが琴線に触れてやって来ましたら、なんですかオジサンですか。コメント止めようかと思いましたが、レシピーを教えて貰いましたので。



作ってみたくなりました。飲み物はやはりコーヒーですか?
へへ (悟郎)
2005-11-29 18:37:24
pfaelzerwein さん

久し振りです。

おじさんですよ、前々から。

レシピというほどのことでもありませんがね。



もしも作られるんなら、ケチャップをけちらないでくださいね。

断っときますが、マズくても文句いわないでください。

飲み物はやっぱりコーヒーでしょう。

語れますよ~ ナポリタン! (glenn)
2005-11-29 19:05:30
同年代ですものね^^



今じゃ、”パスタ”と申しますが

スパゲッティの時代ですよね~

何故かピーマンが入っていて、ベーコンよりは

ハムの方がよりベターですわね

これでもかってほどケチャップを入れます

ハイ、お口のまわりまで赤くなりますね



ムズムズ (PanPan)
2005-11-30 00:12:45
悟郎さん、沼田元気さんという方の「東京喫茶店案内」という本をご存知ですか?

ただ喫茶店の写真が出ているだけのさりげない本なのですが・・・



以前、こちらの雰囲気に憧れ、東京の喫茶店めぐりをしたことがあります。そのときに頼むものは必ずホットケーキかナポリタン、もしくはトーストでした。

喫茶店のご飯って何故か妙にそそられます。以外にも量も多いのですよね。あ~、食べたくなりました、ナポリタン!
ありがとうございます (悟郎)
2005-11-30 01:13:02
glennさん

さすが、同年輩!

パスタじゃね、絶対ありません。

断然ハム派も同じですね。

たまに思い出して作ってみるのですが(茹でたて麺ですが)、こんなにもケチャップを使わないと、あの味にならないのかと、びっくりしてしまいます。

普段は塩分控えめ生活ですが、このときばかりは惜しげもなく使ってます。



PanPanさん

世代で、喫茶店に詳しい人は珍しいでしょう。

ドトールにはじまってスタバ世代でしょう。

沼田元気さんの本は未読ですが、今世の中、70年代ブームだったりしますものね。

好奇心旺盛のPanPanさんは、喫茶店巡りをなさったのですね。

今は茹でたて麺のナポリタンになってるのかな?

私はここ数日中に食べますね、きっと。
ごろちゃんのパスタ (ミキパパ)
2005-11-30 04:57:32
ミキパパは、ナジヤで、いつもゴロチャンの作ったガーリックの思い切り効いたスパを、食べてました。ウイスキーのストレートを飲むためには、それがちょうど口にあってたんです。



それで、その頃はごろちゃんのスパが新宿で最高のものと信じてました。



銀座、赤坂、北新地、先斗町などで、遊んでたミキパパですが、最高の味音痴ですので、ナジャのスパが、大好きだったのです。



おそらく、いま ゴロチャンがあのスパを作ってくれても、とてものどを通らないでしょうね。



今は自分でおでん作って食べてる非行老年のミキパパです。

私も語れますよ (ポージィ)
2005-11-30 10:45:31
といっても、麺の茹で具合までは語れませんが。

あの、独特のべたつき感は(←それが嫌じゃなかった私)、

茹でたて麺じゃなかったからなんですね!初めて知りました。



私の故郷愛知の東三河地方は、独自の喫茶店文化を持っているんです。

(↑と、思っています。名古屋の喫茶店文化ともちょっと違うの)

みんな駐車場があって、それぞれ建物にもメニューにも個性のある喫茶店。

でも、どの喫茶店でもスパゲッティ・ナポリタンは

定番メニューに入っています。というわけで何度か食べたことありますよ。

(関東へ来て、車で行って食事できるのが、ファミレスや

ファーストフードばかりと知ったときはがっくりしました。

近年都会ではカフェなるものが流行ってますが、三河の喫茶店は

もっと気取らない、老若男女気兼ねなく行ける雰囲気をもってました。

今でも変わらないでいてくれるかな?それとも廃れちゃったかな?)



あ…ナポリタンじゃなくて喫茶店論で熱くなっちゃった。
ありがとうございます (goro's)
2005-11-30 18:15:06
ミキパパさん

ナジャのスパゲティは、ガーリックトーストと同じソースを使ってました。

溶かしバターにニンニクを絞り込んで、刻みパセリを入れて固めておくのです。

それを、茹で上げておいたスパゲティ麺とともにフライパンで炒める。元来はエスカルゴソースからの転化のようです。

確かに狭い店内に、香ばしいガーリックの匂いが充満して、食欲を刺激してましたよね。

大いなる偏食家で、なになに「最高の味音痴」ですか?そんなミキパパさんからお褒めいただいても、複雑な思いではありますが…



なんでもいいから、食べてくださいね。



ポージィさん

名古屋の喫茶店文化は、折に触れ目にすることはありますが、東三河のそれもまた独特なんですね。

さすが車王国なんですよ。

車社会が発達したからこそ、駐車場付きの喫茶店しか成立しなかったんじゃありませんかね。

家族揃っていける喫茶店文化を持ってるなんて、素敵ですね。

今も残ってて欲しいです。
は~い、よく分かります! (しんみこ)
2005-12-02 22:05:52
お久しぶりです。

お話の中身・・・よ~く分かります。

でも、私は少しだけ若いようですから、

デパートの最上階のレストランの思い出とでも

いいましょうか?



喫茶店で何時間もおしゃべり・・・

私が住んでいたのは学生街だったので、

お店の真ん中の大きなテーブルがあって、

みんなでノート広げたりしてました・・・・。



そういえば、「心のノート」なんてのもあったなあ!

教科書をバンドで留めてた時代です。



その後、私は「パスタ」世代に上手くマッチしましたが、夫は未だにあの「ナポリタン」神話から根家出せていないようです・・・同じく(笑)



田舎ではここ数年、馴染みにしていた喫茶店が次々弊店しています。学生は何処へ?



別格 (悟郎)
2005-12-03 01:36:19
しんみこさん

少しじゃありませんよ。

世代が違うとおもいますよ。

とにかく、議論議論の時代でした。

いかに相手を負かすか、話題なんか何でもよくって、それだけでした。

パスタ世代で思い出しましたが、スプーンが出てきたとき、これをどうしろってんだって、ポカンとしちゃいましたもの。



パスタは大好きなんですが、あのナポリタンは別格です。



東京だってそうだと思いますが、町の喫茶店はすっかり減ってます。

今時の学生さんは、時間潰しには漫画喫茶とかに行くんでしょうかね?