へたよれ というのではない、よたへろ だそうである。ぴんころ ぴんぴんころり というのは、どうか。大往生などの送る言葉でない、自覚しての高齢を健康に過ごすという、80歳のころから、樋口恵子さん1932年生まれ、による提言である。まだ先と思っているうちに、世たへ路を、へ頼れ、と勘違いして、もうすぐにも・・・
https://book.asahi.com/article/13022264
人生100年時代、〝ヨタへロ期〟を楽しく明るく生きるには 評論家の樋口恵子さんが講演
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健康寿命が尽きてからの「ヨタへロ期」をどう生きるか
誰もが理想は「ピンピンコロリ」と言いますが、それはめったにありません。大抵、ピンピンスタスタからヨタヨタヘロヘロ、そしてドタリ。寝たきりになる場合もあるでしょう。私はこのヨタヨタヘロヘロの時期を「ヨタへロ期」と名付けています。
政府は健康寿命の延伸を目標に掲げています。健康寿命は、自分の行きたい場所へ行ける、食事、トイレ、入浴が一人で行えるなど、自立して生活できる期間だそうです。平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳、健康寿命は男性が72.14歳、女性が74.79歳(2016年厚生労働省発表データ)。平均寿命と健康寿命の差は男性が約9年、女性が約12年あり、女性の方が男性よりも3年長くなっています。
健康寿命が尽きてからを「ヨタヘロ期」とすると、この時期をどう生きるかがとても大切です。私がそれを意識するようになったのは、体全体に違和感を持ち始めた80歳の頃から。一人で歩けるのですが、外出すると〝ヨタヘロ〟するようになりました。階段は手すりがあれば、上ったり下りたりできますが、和式のトイレは使えません。そんな経験から、高齢者も出歩きやすい街づくりとして、商店街や駅にベンチや清潔なトイレを整備して欲しいと思っています。また「ヨタヘロ期」の人への生活サービスとして、移動のサポートがあると助かると感じています。
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そんな「ヨタヘロ期」を生きる基本は、3つのショク「食」「触」「職」です。1番目の「食(ショク)」は食べることをきちんとすること。私は少し前に輸血が必要なほどの大貧血を起こしました。この病気の診断名を自分で「中流型無精性栄養失調症」と名付けました。冷蔵庫には中流家庭にあるような食料や飲み物はそろっています。でも80歳を過ぎたころから、朝、目が覚めても、外出先から帰って来ても胃袋が食べ物を要求しなくなりました。また食事作りが面倒になる「調理定年」にも陥りました。そういうことが積み重なり栄養失調症になってしまったのです。食生活を改めると貧血の症状もなくなりました。しっかり食事をすることは生きることの基本だと強く感じています。
2番目の「触(ショク)」はコミュニケーション。一人で食べている「孤食」の人の死亡率は、みんなと一緒に食べている人の1.5倍という研究結果もあるそうです。顔を見合わせながら食べられる仲間をつくっておくことはとても大事です。また年を取るとなかなか遠くへ行けなくなります。地域社会に積極的に関わったり、自宅を開放して人に来てもらうのもいいかもしれません。
3番目の「職(ショク)」は働くことです。高齢者は社会や地域のために、役に立つような働き方をしたいと思っています。高齢者は非力でありますが、無力ではありません。0はいくつ足しても0ですが、0.1は10個足せば1になります。力を出し合って、みんなで助け合い、地域の中などでルールを決めてお礼をし合うというような、いくつになっても働けるシステムというのをぜひつくって欲しいと思います。