読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

始皇帝は「中国人」の始祖

2012-02-17 09:46:16 | 歴史

始皇帝はそれ以前の旧中原諸国の築いた長城を繋ぎ合わせ、北西に延ばし

さらに、東は遼東地方から、西は甘粛省の臨洮に至る五千余里の万里の長城を

完成させた。その万里の長城に取り囲まれた領域は現在の中国の版図とほぼ

一致している。従って、万里の長城は、それにより夷狄の侵入を阻止すると言う

軍事的な意義よりは、寧ろ所謂「中国人」の生活空間を設定した、つまり縄張りを

作った政治的、文化的な意義が大きかった。その意味で始皇帝は政治的、文化的

に「中国人」の始祖と言えた。この後、始皇帝は度量衡、通貨、車軌、文字の統一

を進めていった。これらの統一により、就く文字の統一は中国人の社会的な

連帯感を生み、この意味でも始皇帝は中国人の宗祖でもあった。

安能 務著「始皇帝」文芸春秋社から



最新の画像もっと見る

コメントを投稿